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国立文楽劇場

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研修修了者インタビュー 吉田玉彦さん(令和5年1月掲載)

国立文楽劇場では、第32期文楽研修生を募集しています(応募書類の受付は令和5年2月17日まで)。
現在、研修見学会(1月21日開催)の参加申込みを受付中です!

文楽研修の魅力とは? 今回は、第23期文楽研修修了者で人形遣いの吉田玉彦(たまひこ)さんにお話を伺いました。

玉彦さん

―文楽を初めて見た時のことを教えてください。

初めて見たのは、小学生の時でした。観劇好きの母に色々な所へ連れていってもらったのですが、そのうちの1つが国立文楽劇場の文楽公演でした。幼い頃ですし、正直よくわからなかったです。人形が遣われている様子を不思議に思った記憶はあります。
高校1~2年生の頃は進路に悩んでいて、これという将来のビジョンが今一つ思い浮かんでこなかったんです。そんな時に母親が持って帰ってきたチラシが、研修生募集のチラシでした。それを見て受けてみたところ、合格だったんです。どうせ進路に悩んでいるところでしたし、まだ学業に戻れるタイミングでもありましたから、高校を中退して、思い切って文楽研修に入りました。

―普通の人は想像もしないような職業で、不安はなかったのでしょうか。

もちろん不安でした。どうなるか全く想像つかなかったですしね。でも、大学に行って就職するにしても、同じような感覚だとは思いますよ。

―研修に入った時には、もう人形専攻と決めていたのでしょうか。。

最初は、経験のあった三味線志望でした。中棹の三味線を習っていたのですが、文楽で使う太棹三味線との違いが大きすぎて、正直なところ習っていた経験は役に立たなかったと思います。人形の方は研修が結構楽しくて、体を動かすのも実は好きだったので、研修が始まってわりと早い時期に人形志望に変更しました。

―研修中に心がけていたことや、強く印象に残っていることはありますか。

研修は基礎ばっかりで辛かったのですが、とにかく受けた研修はすべて頑張りました。1回1回を大事にしていたつもりです。もっと回数を受けたかったですね。
ある師匠が「立つ・歩く・座るなんて、入ってからいくらでもやるんだから」と仰って、「適当に遣うからついてこい」という研修がありました。「『こういう動きがある』というのを一度体験してみろ」と仰って、師匠が思いつく限りの振りを全部やってくださったのが、強く印象に残っています。とても楽しかったですし、すごく勉強になりました。ついていけたかどうかの記憶は全くないですが、「主遣いがこういう動きをした時は、こんな感じで動く」というのを体得することができました。あの時の自然な動きというか、「舞台では本当はこういう感じに動くんだ」という感覚は今でも覚えています。

―研修生で良かったと思うことがあれば教えてください。

研修で、奈良県の吉野山(『義経千本桜』「道行初音旅」の舞台)に行ったことでしょうか。大阪からは遠い場所なので、時間的な制約があるプロになる前に、研修で行けたのは良かったです。桜がたくさん咲いていて本当に綺麗な所でした。プロになってからできないことができるというのは、研修の良いところですよね。
プロになってからだと、正面から舞台を見るというのも全然できません。ですが、研修期間中ならそれができます。正面から見て、舞台裏から見て、もう一度正面から見て、また裏から見る。何回も色々な角度から舞台を見られるというのは、研修生の大きな強みだと思います。

玉彦さん

―実際に技芸員になって、想像と違ったことはありますか。

こんなに忙しいとは思っていませんでした。朝から晩まで公演をしているなんて、他のジャンルではあまりないですよね。体力には自信があると思っていたのですが、今より公演時間も長かったですし、僕が入門した当初は人も少なかったせいもあって、最初はなかなか辛かったです。それでも、できないことがあれば先輩方が時間を割いて教えてくださるので、入門して良かったと思います。

―最近は左遣いや、文楽若手会などで主遣いをする機会も増えていらっしゃいますね。

そうですね、若手会の存在はとても大きいです。師匠や先輩方も教えてくださいますし、思っていたように動けないと、もっと頑張らなくちゃと思いますし、とても勉強になります。
入門して13年になりますが、入門当初よりも、主遣いがどういう考えで動いているのかが汲み取れるようになってきました。あとは、どうしたら他の人に迷惑をかけずに動けるかということもわかるようになってきたと思います。

主遣い以外の役割は小割(こわり)といって、担当の師匠方が決めてから楽屋に掲示されるのですが、事前に「次は左遣いだから」と言われることはありません。ですので、初めて左遣いのところに名前があったときは驚きました。
少しずつ足遣いから左遣いへシフトする時期に来ていると感じています。今までは入門した吉田玉也師匠の足遣いが多かったのですが、11月の大阪公演も12月の東京公演も左遣いだったんです。2か月連続で師匠の左遣いというのは初めてでしたので、もしかしたら「これからは左遣いの勉強もしろよ」という意味でつけられているのかな、と思っています。主遣いの意思をどう汲み取るかということにしても、足遣いに求められる方法と、左遣いに求められる方法は変わってくると思うので、上手く切り替えられるようになりたいですね。足遣いの感覚のままでいると、左遣いはできないのではないかと思うので。

―憧れの役や「この役を早くやりたい」という希望はありますか。

どんな役でも遣えるようにはなりたいと思います。『一谷嫰軍記』の熊谷とか、ああいう大きい人形も一度遣ってみたいですね。勇壮な役なので憧れます。

―この研修に応募を検討している人に、何かメッセージをいただけますか。

あまり気負わずに応募してきてほしいです。気負わずに入ってきた方が続きやすいと思いますよ。
珍しい仕事ですから、他人の知らない経験ができます。それは大きいと思います。みんなで「うちの上司が…」とか「新しいシステムが…」とか、共通の話題で盛り上がるのも楽しいとは思いますが、誰に話しても「そういう世界があるんだ!」「そんな仕事があるの?」という話ができるのは面白いです。人が経験できないことを経験できる。これは大きな強みだと思いますし、楽しいです。

―今後のご活躍も期待しております。ありがとうございました。

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