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国立能楽堂

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【千駄ヶ谷だより】国立能楽堂令和8年9月主催公演がまもなく発売です!

国立能楽堂令和8年9月公演ちらし

≪月間特集 能・狂言の景物 - 月 -≫

能楽の作品に描かれる風物に着目する新企画。
9月は、月にまつわる多彩な名作を取り上げます。

能・狂言を初めてご覧になる方にも親しみやすい作品を選んで、コンパクトに上演する入門向けの公演です。当日の上演前には、ロビーに能楽体験コーナーを設け、舞台では能楽師による簡単なプレトーク(解説)を行います。

狂言 盆山

 世間では今、盆山(盆の上に石や砂で風景を象(かたど)った)箱庭のような置物)が大ブーム。男はかねてから、豪華な盆山をたくさん所有する知り合いの何某に、ひとつ分けて欲しいとねだっていますが、いっこうに譲ってくれません。しびれを切らした男は、盆山を盗み出そうとこっそり何某の家に忍び込みますが、見つかってしまい、とっさに盆山の陰に隠れます。盗人が顔見知りの男だと気づいた何某は...。

能 鵺

 摂津国・芦屋の里を訪れた旅の僧が、化生(けしょう)が出ると噂の海べりの御堂で一夜を過ごしています。そこに朽ちた小舟に乗ってひとりの男が姿を現し、自らを妖怪・鵺の亡魂だと明かして姿を消しました。
 その晩、鵺の魂を弔う僧の前に鵺の亡霊が現れて、国を傾け仏法を妨げようとしたため源頼政に討たれた自らの顛末を語ります。討った頼政が名を上げた陰で、討たれた自分の亡骸はうち捨てられて淀川を漂い、この里で朽ちた口惜しさ。鵺はいまなお闇をさまよう苦しみを語り、救済を願いながら闇に消えてゆくのでした。

 

狂言 隠狸

 太郎冠者が狸を釣って(捕獲して)売買する副業をしているのではと疑う主人。真偽のほどを問われた太郎冠者は、「狸を釣ったこともない」としらを切ります。そこで主人は「来客に狸汁をふるまいたいので市場で狸を買ってこい」と太郎冠者に命じました。絶好のタイミングとばかりに、昨日仕留めた狸を売りに太郎冠者がいそいそと市場に向かうと、そこには主人が待ち受けていて...。

能 三井寺

 わが子と生き別れになった母親が、清水寺の観世音の霊夢を蒙(こうむ)り、三井寺へと向かいます。
 今宵、中秋の名月の三井寺では、寺に仕える稚児たちが僧に伴われ月見をしています。子への思いで物狂いとなり、鐘の音に心を乱した母親は、境内にたどり着くと僧の制止を振り切って自らも鐘をつき、月光のもとで舞い興じます。やがて心の落ち着きを取り戻した母は、三井寺の稚児となっていたわが子とめでたく再開を果たすのでした。

 

狂言 箕被

 連歌にうつつを抜かす男は、とても良い発句(ほっく)(連歌のはじまりとなる五・七・五の句)ができたので、そのお披露目に連歌会を催したいと思い立ちます。ところが妻は「暮らしが貧しくてそれどころではない」とけんもほろろ。男は「借財をしてでも接待の料理をなんとかしてほしい」と食い下がりますが、愛想をつかした妻から離縁を切り出されます。そうして妻は「暇(いとま)のしるし(離縁の際に受け取る品)」として夫から渡された、使い古しの箕を頭にかぶり、家を後にします。その後ろ姿を見送っていた夫が思わず歌を詠みかけると...。

能 融

 中秋の名月の六条河原院跡。旅の途中の僧の前に汐汲みの老人が現れ、かつて風流人として知られた融大臣(とおるのおとど)がこの場所に陸奥の塩竈の景色を再現し、難波から毎日海水を運ばせて塩焼きの風趣を愛でていた様子を語ります。今は廃墟となった庭で僧のとともに月の景色を眺めた老人は、「さあ汐を汲もう」とつぶやいて姿を消しました。
 夜が更け、僧の夢の中に、融大臣の亡魂が在りし日の優美な姿で現れ、懐旧の舞を舞います。そうして夜明けとともに、月の世界へ帰っていくのでした。

 

狂言 月見座頭

 中秋の名月の夜、下京に住む座頭(階級の低い盲人の呼称)が、目は見えずともせめて耳で秋の風情を楽しもうと野辺に出て、さまざまな虫の音に耳を傾けています。そこに上京の男がやってきて、ふたりは打ち解けて酒を酌み交わします。風流のひとときを楽しんだ後、ふたりは上機嫌のうちに別れ、それぞれの家路に向かいます。ところが、上京の男はふと心変わりして...。

能 小督

 高倉院が寵愛する小督局(こごうのつぼね)は、中宮徳子の父・平清盛の権勢を恐れて宮中を去り、嵯峨野に身を隠してしまいました。嘆き悲しんだ院は、小督の行方を探すよう源仲国(みなもとのなかくに)に命じます。仲国は、「中秋の名月の今宵、琴の名手の小督は必ずや琴を弾くはずだ」と考えて、嵯峨野に馬を走らせました。予想は的中し、聞こえてきた「想夫恋(そうふれん)」の曲を頼りに仲国は隠れ家を突き止めます。一度は対面を拒む小督でしたが、熱意に打たれて仲国を招き入れます。院が切々と思いをしたためた文を受け取った小督は、自分も同じ思いでいるという返事を仲国に託します。名残の酒宴で仲国は月に心を寄せて舞い、やがて小督に見送られ都へと帰っていくのでした。

 

狂言 靱猿

 京の都に長逗留している大名は、気晴らしに狩りでもしようかと、太郎冠者と共に遊山(ゆさん)に出かけます。道すがら、猿引の男に出会った大名は、猿の毛並みの良さに目を留めて、靱(矢を入れて背負う筒状の道具)を毛皮で飾りたいので譲ってくれと迫ります。男は、小さいころから芸を仕込んだ大事な猿を、命を取られるとわかっていながら渡せないと断りますが、弓矢で脅されて、泣く泣く承知します。せめて自らの手でと、男が猿に因果を含めて打ち杖で殺めようとすると、猿はその杖を取って芸をはじめました。その無邪気な姿を見た大名は...。

能 姨捨

 陸奥国・信夫(しのぶ)の住人の何某が、中秋の名月の夜、月の名所として名高い信濃国・更科(さらしな)の姨捨山を訪れます。月の出を待つ一行の前に、ひとりの女が現れ、この場所にあった"姨捨"の跡へと案内します。そして、自分はかつてこの山に捨てられた老女であると明かして、姿を消してしまいました。
 やがて、澄みわたる秋の夜空に見事な満月が昇ると、老女の霊魂が姿を現します。老女は、さまざまある月の名所のなかでもひときわ美しい姨捨山の月は勢至(せいし)菩薩であると讃え、極楽浄土の景色を心に描きながら無心に舞います。夜が明け初(そ)めて、山を後にする何某の一行を見送る老女。その霊魂はひとりまたその墓所に残されるのでした。

 

【文/氷川まりこ(伝統文化ジャーナリスト)】

 

●令和8年9月主催公演発売日
  • 電話インターネット予約:令和8年8月10日(月)午前10時~
  • 国立能楽堂チケット売場窓口・自動発券機は国立能楽堂主催公演日(*)のみの営業(午前10時~午後6時)です。
    *販売開始は電話・インターネット予約開始日の翌日以降

  • 国立劇場チケットセンター(午前10時~午後6時)
    0570-07-9900/03-3230-3000(一部IP電話等)
    https://ticket.ntj.jac.go.jp/
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