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国立能楽堂

トピックス

【千駄ヶ谷だより】国立能楽堂令和8年11月主催公演がまもなく発売です!

国立能楽堂令和8年11月公演ちらし

 

 

狂言 鬼の継子

 昨年の秋に夫の藤五三郎(とうごさぶろう)を亡くした妻が、忘れ形見のわが子とともに実家へむかう途中、日が暮れて恐ろしい鬼が現れます。鬼は妻を捕って食おうとしますが、その美しさにほだされてしまいます。妻の身の上を尋ねた鬼は、その夫が三郎だと知って、三郎は地獄に堕ちて責めを受けていると教えます。妻が「三郎が極楽へ行けるよう閻魔大王に頼んで欲しい」と乞うと、鬼は「自分の妻になれば願いをきこう」と言います。一度は拒んだ妻ですが、食われるよりはと思い直し、子どもをかわいがってくれることを条件に、鬼の妻になることを承知します。けれど、鬼にとって人間の子どもはおいしそうな食べ物にしか見えず…。

能 盛久

 源平の戦いで生き延び、身を隠していた平盛久は、居場所を突き止められ捕らわれの身となります。鎌倉へと護送される途次、盛久は許可を得て、日ごろから信心する清水寺に立ち寄って観世音(観音菩薩)に祈りを捧げました。到着した鎌倉で、処刑の前夜、覚悟を決めた盛久が観音経を唱えて眠りにつくと、とある霊夢を蒙(こうむ)ります。翌朝、由比ヶ浜の刑場で、盛久の首が打ち落とされようとした瞬間、不思議なことに太刀が二つに折れてしまいました。処刑はひとまず保留となり、事の次第を耳にした将軍・頼朝は盛久を召し出します。そこで盛久が、老僧が「身代わりになろう」と姿を現した霊夢を語ると、奇しくも頼朝も同じ夢を見ていたのです。霊験に心打たれた頼朝は盛久を赦し、酒宴となります。舞を所望された盛久は、晴れ晴れと舞を舞った後、御前を退出するのでした。

 

狂言 茫々頭

 無断で旅に出た太郎冠者を叱るつもりの主人でしたが、京内参(きょううちまいり)(京都見物)をしてきたと知ると、都の様子を聞かせてもらうかわりに今回の出奔を許すことにします。太郎冠者が語るには、祇園に向かう途中で大輪の菊の花を手折って頭に挿して歩いていると、身分の高い女性から歌を詠みかけられ、誘われるまま祇園の野遊びについて行くことになって…。

能 井筒

 旅の途中の僧が在原寺(ありわらでら)の旧跡に立ち寄ります。ここは、『伊勢物語』に「筒井筒(つついづつ)」の話として伝えられた、在原業平とその妻・紀有常(きのありつね)の娘にゆかりの場所。幼なじみで、やがて夫婦となったふたりに思いを馳せ、僧は彼らの後世を弔います。するとそこに里の女が現れ、「実は自分こそ、物語に書かれた"井筒の女"(紀有常の娘)だ」と名乗り、姿を消してしまいました。
 月明かりのもと、ふたたび姿を現した女は、業平の形見の衣を身に着けて舞い、井戸の水鏡に業平の面影を追慕します。やがて寺の鐘が鳴ると、夜明けとともに女の姿は消えていくのでした。

 

11月14日(土)普及公演 午後1時開演

狂言 栗燒

 いただきもののたくさんの見事な栗。主人は、客を招いてふるまおうと思いつき、太郎冠者に焼き栗にしろと命じます。さっそく囲炉裏で焼き始めると、焼きあがった栗はいかにもおいしそうで、太郎冠者は味見と称してひとつ、またひとつ。あまりのおいしさに手がとまらなくなり…。

能 班女

 美濃国・野上(のがみ)の宿(しゅく)の遊女・花子(はなご)は、東国へと向かう吉田少将と恋仲になり、再会の約束に互いの扇を取り交わします。その日以来、花子は、扇を眺めてばかりで仕事に身が入りません。やがて秋になり、吉田少将は再び野上に立ち寄りますが、すでに花子は宿を追い出されて行方知れずになっていました。
 都に戻った吉田少将が糺(ただす)の森(下鴨神社)に参詣すると、そこに偶然、恋慕を募らせて物狂いとなった花子がやってきます。あまりに変わりはてた風貌に吉田少将はそれが花子とは気づきません。けれど、かつて取り交わした扇がきっかけとなって、ふたりはめでたく再会を果たすのでした。

 

20日と21日の公演では、『太平記』や『平家物語』をもととする作品、琵琶をめぐる狂言を通じて、琵琶と能楽の魅力をお楽しみいただきます。同じ物語が芸能によって見せる味わいの違いにご注目ください。

11月20日(金)企画公演◎琵琶と能楽 午後6時30分開演

筑前琵琶 大楠公

 足利尊氏の大軍を迎え撃つため、京都を発った楠木正成(くすのきまさしげ)。途中の摂津国・桜井の駅で、数え11歳の嫡男・正行(まさつら)(のちの小楠公(しょうなんこう))に、天皇への忠義を尽くすことを託して故郷の河内国へと帰します。そうして向かった先の湊川で、足利軍と激戦を繰り広げ獅子奮迅の戦いを見せた正成でしたが、ついに力尽き自刃します。
 忠臣の鑑として"大楠公"の異名をもつ楠木正成の壮烈な最期を描く、琵琶語りの名曲です。

狂言 伯養

 盲人たちが集う涼みの法会に参加するため、座頭の伯養は、嗜みとして持参する琵琶を借りにある人のもとを訪ねます。首尾よく拝借の了解が取れたところに、同じく琵琶を借りようと勾当(こうとう)(座頭よりも上の位)がやってきて、言い争いが始まります。そこである人は、「どちらに貸すかを勝負で決めよう」と提案するのですが…。

能 楠露

 九州から上洛を目指す足利尊氏の大軍を迎え撃てと、後醍醐天皇の宣旨(せんじ)を受けた楠木正成は、新田義貞の軍と合流すべく都から摂津へと向かいます。出陣に際して正成は、この戦いに勝ち目はないことを見通し、自らの討死を覚悟していました。途中の桜井の駅で、正成は同行していた幼い息子・正行に、家臣の恩地満一(おんちみつかず)とともに故郷へ帰るよう命じます。正行は涙ながらに同行を訴えますが、正成はそれを許さず、「父亡きあと、天皇のために忠義を尽くし、楠木家を存続させることこそが真の忠義である」と説き伏せます。今生の別れの酒宴がひらかれ、満一は主君親子の覚悟を讃えて舞を舞います。やがて父と子は、二度と見(まみ)えることのない、それぞれの道へと別れていくのでした。

 

11月20日(金)企画公演◎琵琶と能楽 午後6時30分開演

平曲 先帝御入水

 平家一門の敗北が決定的となった壇ノ浦の戦い。清盛の妻・二位尼(にいのあま)は「波の下にも都の候」と言い含め、孫の安徳天皇を抱き、三種の神器とともに入水します。
 数え年八歳の幼い帝の最期と、栄華を極めた平家一門の滅亡を、平家琵琶の演奏に合わせて語ります。

能 碇潜

 平家にゆかりの僧が、一門の菩提を弔うため長門国・早鞆浦(はやとものうら)(現在の壇ノ浦)にやって来ました。そこで出会った年老いた船頭は、経文を船賃として僧を船に乗せます。船頭は、壇ノ浦での激しい戦いを、なかでも能登守教経(のとのかみのりつね)の戦いぶりと最期について詳しく語ります。敵方の安芸の太郎・次郎兄弟を道連れにして海に沈んだくだりになると、船頭は自らが教経の亡霊であり、周囲に船を浮かべていた2人の船頭も太郎・次郎兄弟の亡霊であると明かして、戦いの様を再現し、海中に沈んでいきました。
 その夜、浜辺で回向する僧は、いつしか眠りに落ち、平家一門を乗せた巨大な船が夜の海に浮かび近づいてくる夢を見ます。船には、安徳天皇、二位尼、大納言局(だいなごんのつぼね)、そして平知盛の亡霊の姿があります。幼い帝を腕に抱き、大納言局とともに入水する二位尼。敵を振り払い、碇を担いで海中に飛び込む知盛。壮絶な平家の最期を見届けて、夜明けとともに僧の夢は覚めるのでした。
 「古本による」演出では、登場人物が増えて視覚的な華やかさを増し、スケールの大きな戦の場面が繰り広げられます。

【文/氷川まりこ(伝統文化ジャーナリスト)】

 

●令和8年11月主催公演発売日
  • 電話インターネット予約:令和8年10月10日(土)午前10時~
  • 国立能楽堂チケット売場窓口・自動発券機は国立能楽堂主催公演日(*)のみの営業(午前10時~午後6時)です。
    *販売開始は電話・インターネット予約開始日の翌日以降

  • 国立劇場チケットセンター(午前10時~午後6時)
    0570-07-9900/03-3230-3000(一部IP電話等)
    https://ticket.ntj.jac.go.jp/