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国立能楽堂

トピックス

【千駄ヶ谷だより】国立能楽堂令和7年2月主催公演がまもなく発売です!

《月間特集 絵巻物と能》

 2月は、演目と同じ題材で描かれた絵画とともに能の魅力を味わう、恒例の「絵画と能」シリーズです。 今回は日本独自の絵画形式である絵巻物に描かれた能を取り上げます。

 

狂言 千鳥

 主人から酒を買ってくるよう命じられた太郎冠者。けれど酒屋からは「たまっているツケを払え」と逆に催促をされてしまいます。酒を持って帰らなければ主人に怒られる、されど金はない。困った太郎冠者は、話好きな酒屋の隙を見て酒を奪おうと一計を案じます。津島祭見物に行った話をはじめ、浜の様子を語りながら千鳥に見立てた酒樽に近づいていくと…。

能 隅田川

 武蔵国と下総国の境を流れる隅田川の渡しで客待ちをする船頭の前に、さまよい出たひとりの狂女。人商人(ひとあきびと)にさらわれたわが子を探して都からはるばるやってきたというその女は、子への執心による物狂い(心が極度に高ぶった状態)ながらも、『伊勢物語』の歌やエピソードを引いた教養ある話しぶりで船頭と会話します。船中、対岸から大念仏の声が聞こえてくると、船頭が「去年の今日、人買いにさらわれ、病になり見捨てられて亡くなった少年の供養」だと教えます。それこそわが子と悟った女は、船が岸に着くと弔いに加わります。塚の中から響くわが子の声。けれど手を取り合うことはかなわず、泣き暮れる母の絶望と悲しみが晩春の川辺に広がるばかりでした。

関連絵巻物=《梅若権現縁起絵巻》

 

狂言 吹取

 かねてから清水寺の観世音菩薩に参籠(お堂にこもって夜通し祈願する)し、「妻がほしい」と願っていた男。ついにある夜、「月夜に五条橋で笛を吹けば、良い妻を授けよう」という夢のお告げを得ます。喜んだのもつかの間、男には笛の心得がありません。そこで知人に頼んで代わりに吹いてもらうことにし、橋へと向かいます。月光の下、笛の音が流れ出すと、お告げの通り小袖を被(かず)いた女が現れますが…。

能 生田敦盛

 黒谷(くろだに)の法然上人(ほうねんしょうにん)が賀茂の明神への参詣の折、拾った幼な子は、一ノ谷の合戦で討死した平敦盛の忘れ形見でした。時が経ち、少年となったその子は、自らの出自を知り「夢でもいい、まだ見ぬ父に、ひと目会いたい」と願います。少年は上人の従者に連れられて賀茂の明神に願をかけて、今日はその満願の日。そこで明神から「津の国・生田の森へ行け」との霊夢がくだり、少年と従者は生田へと向かうことにします。森の中で、灯りがともる人家を見つけて宿を借りようと訪ねると、そこにいたのは甲冑(かっちゅう)を身に着けた華やかな若武者でした。不思議がる少年に、若武者は敦盛の亡霊と名のります。賀茂の明神の計らいで、しばしの間、地獄から戻ることを許された敦盛の亡霊は、平家一門の繁栄と没落を語り、わが子との再会を喜んで舞います。やがて閻魔の使いが現れて、あたりは修羅道の景色に変わります。敦盛の亡霊が太刀をかざして戦いのさまを見せるうちに夜明けとなり、親子はふたたび別れ別れとなっていくのでした。
 替之型の小書(特殊演出)により、後半の舞や型が常とは変わります。

関連絵巻物=《小敦盛絵巻》

 

 讒言(ざんげん)によって左遷され、憤死して雷神となり、やがて学問の神、天神様として祀られるようになった菅原道真にまつわる作品を特集します。

舞囃子 老松

 菅原道真の菩提寺、筑紫の安楽寺を訪ねた男の前に、老松の精が現れて松と梅の徳を語り、御代を寿ぎ舞を舞います。
 舞囃子は、能一曲の中でシテの所作や舞の見どころとなる部分を抜き出して、面・装束をつけず、地謡と囃子によって舞う上演形式です。紅梅殿の小書により、通常は登場しないツレが登場し舞を舞います。

狂言 弓矢太郎

 実は臆病者なのに強そうなふりをして威張る弓矢太郎。天神講(菅原道真公の掛け軸を飾り、学業成就などを願って催す会)仲間は、そんな彼をからかってやろうと企み、鬼が出ると噂の天神の森で肝試しをすることにします。証拠の松を取ってくることになった太郎を、鬼に化けた講仲間のひとりが脅かす、という計画です。ところが、怖さを紛らわすために太郎も鬼の面をつけて行ったので、森の中で出会ったふたりは、互いを本物の鬼だと思って気絶してしまいました。やがて、太郎が先に目を覚ますと…。

復曲能 雷電

 比叡山の法性房僧正(ほっしょうぼうそうじょう)の前に、菅原道真の霊が姿を現します。かつてふたりは仏道の師弟の関係でした。道真の霊は、恨みを残して亡くなった自分は雷となって、これから内裏を襲って復讐をすることを打ち明けます。そして、「勅命でも参内しないでほしい」という頼みを僧正が断ると、道真の霊はたちまちに鬼の形相となり、火炎を吐きつけ姿を消してしまいました。
 やがて、黒雲が立ち込める内裏に僧正が召し出されます。そこに雷神となった道真の霊が現れて祟りをなそうとしますが、僧正には近づくことができず、激しい応酬が繰り広げられます。法力で勢いが衰えた道真の霊は帝から神号が贈られると、怒りを収めて天へと昇って行くのでした。
 宝生流では古くは他流と同じく「雷電」が上演されていましたが、幕末に、後場の展開が異なる「来殿(らいでん)」が作られて、現行曲となりました。今回の「雷電」は、廃曲となっていたもとの作品を宝生会が2011年に復曲試演した作品です。

関連絵巻物=《北野天神縁起絵巻》

【文/氷川まりこ(伝統文化ジャーナリスト)】

 
●令和7年2月主催公演発売日
  • ・ 電話インターネット予約:令和7年1月10日(金)午前10時~
  • ・ 窓口営業日:令和7年1月11日、17日、24日、29日、
                2月15日、19日、22日、28日
      国立能楽堂チケット売場窓口・自動発売機は国立能楽堂主催公演日のみの営業となります。
      詳細は「国立能楽堂 チケット売場営業時間のお知らせ(2024.11.30)」をご覧ください。
  国立劇場チケットセンター(午前10時~午後6時)
  0570-07-9900/03-3230-3000(一部IP電話等)
  https://ticket.ntj.jac.go.jp/
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