開催日:10月15日(日)
場所:国立劇場伝統芸能情報館レクチャー室
この11月に二代立花家橘之助を襲名された三遊亭小円歌さんをゲストにお迎えし、「あぜくらの集い」を開催しました。初代橘之助は明治・大正・昭和にかけて一世を風靡した浮世節の名人です。落語家の吉原朝馬さんをご案内役として、日本で唯一の女性三味線漫談家として活躍する小円歌改メ二代橘之助さんに、襲名披露興行直前の胸の内を伺い、三味線漫談もご披露いただきました。
初代橘之助は、山田五十鈴主演の名舞台『たぬき』のモデルとしても知られています。寄席を舞台にしたこの芝居に、落語家の三代目古今亭志ん朝さん、物真似芸の三代目江戸家猫八さんらと共に役者として出演していたのが、本日のご案内役、当時「金原亭駒八」を名乗っていた朝馬さんでした。「あの橘之助の名跡が小円歌さんによって復活する、こんなに嬉しいことはございません」と朝馬さんは感慨もひとしおの様子です。
新・橘之助さんが登場すると、パッと会場が華やぎます。橘之助さんは、東京浅草の生まれ。母は長唄の師匠で、父も祖父母も芸事好きという一家に育ちました。女優を目指して俳優養成所に通っていたころ、夏期講習に講師として訪れた圓歌師匠と出会い、あれよあれよという間に入門したのが1980年。同年、「三遊亭あす歌」を名乗り、国立演芸場で初高座をつとめます。1992年には「三遊亭小円歌」を襲名。その際、五代目柳家小さん師匠に「立花家橘之助って三味線弾きの名前があるから、継いだらどうだい?」と言われたそうです。「将来、継いでもいい名前なのだろうか……」という思いがよぎったそうです。四半世紀を経て、小さん師匠の言葉が実現することになり、名人橘之助の名跡が82年ぶりに復活します。
「初代の芸に追いつくのは大変だと思いますが、私が36年間やってきた三味線漫談も取り入れ、新たな浮世節に挑戦します」と、浮世節の立花家橘之助を名乗る覚悟を語りました。
国立演芸場12月中席で行われる「三遊亭小円歌改メ 二代立花家橘之助襲名披露公演」に向けて、ますます期待の高まる熱い「あぜくらの集い」となりました。
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