文化芸術振興費補助金助成事業令和3年度助成事業事例集
一般社団法人 茂山狂言会(助成金額:635千円)
「釣狐」 撮影:川西善樹
一般社団法人 茂山狂言会は、京都で約400年続く茂山千五郎家の狂言を世の中へ広め、そして継承していくことを最も重要な目的として活動しています。その活動の中でも春と秋に開催している「茂山狂言会」は、昭和42年から50年以上続いている茂山千五郎家の中心的な公演です。
助成を受けました「2021年茂山狂言会 秋公演」は五世茂山千作の三回忌追善公演とし、故人が好んでいた演目の中から「二九十八」「禰宜山伏」「棒縛」「釣狐」の4演目を上演しました。中でも「釣狐」は【極重習】と位置付けられており、狂言の中でも最も難しく、また大切にしている演目です。この難曲を次男の茂が勤めました。
「二九十八」 撮影:川西善樹
「禰宜山伏」撮影:川西善樹
「棒縛」 撮影:川西善樹
当初は全席使用する予定でしたが、コロナ禍により入場者数を制限したので資金面で大変苦労しました。コロナを理由に申請した訳ではなかったですが、助成がなければ公演を成立させるのも難しかったかもしれません。お客様にも安心・安全にご覧いただく事ができて、本当に良かったと思っております。
文化芸術はライフラインや、警察・消防などのように、社会に必要不可欠なものではないかもしれませんが、このコロナ禍で絶対に必要なものであると再認識しました。特に古典・伝統芸能は一度途絶えてしまうと取り戻すことができないので、私達も強い使命感を持って活動しております。
しかし、使命感だけではどうにもならないこともあります。計画段階では公演当日の社会状況が見通せず、不安な状態で準備をせざるをえません。周りには急遽中止になっている公演もまだまだあります。この様な非常時に於いて、公的な助成の役割は大きいと感じました。
今後も年2回の「茂山狂言会」を中心に、狂言の普及・発展に努めていきます。
先ずはコロナ禍で遠のいてしまったお客様の足を公演に向けていただくように、情報発信に力を注いでいきます。そして、次世代も成人の年になってきておりますので、彼らの育成にも取り組んでまいります。
Copyright (C) Japan Arts Council, All rights reserved.