芸術文化振興基金助成事業令和3年度助成事業事例集
一般社団法人 北海道二期会(助成金額:1,205千円)
北海道二期会は2020年度に創立57周年を迎えました。この間、北海道における芸術文化の振興・発展を目的に毎年1回以上オペラを上演し、創立時の趣旨が今日に至るまで受け継がれて、北海道を代表するオペラ団体として確実に成長しています。
2016年には念願だった法人化を果たし、社会的貢献を見据えた活動を模索してきました。その一つとして2018年10月に開館した札幌文化芸術劇場hitaruにおいて「椿姫」を上演し、新劇場の設立による文化向上に寄与したと自負しています。
そして2021年度は、世紀の危機と思われる未知のウイルスにより多くの犠牲者が出ている状況に鑑み、患者さんを救うため日夜戦っている医療従事者に対し、私達オペラ歌手は少しでも音楽で感謝の意を尽くすことを考え、「La Storia GALA Concerto 北海道二期会オペラ・ガラ・コンサート」を社会的貢献として企画をしました。
オペラ公演の支出は、従来舞台制作にかかる外部スタッフの支払が大きな比重を占めています。一方出演者は相変わらず、大きなチケットノルマを抱え、また出演料は僅かということから生活の面で成り立たないでいるのが現状です。そのため、出演の躊躇や拒否が慢性的になり、制作はキャストの編成に苦慮しています。このままではグランドオペラの実施は困難になり、我々の目的とする文化発展は先細りとなります。よって本会は昨年度から出演料の増額を決意しました。
しかし、収入はチケット一定価格ラインがあり、値上げは難しいのが現状です。法人化したことで、北海道の経済界に支援を求めていきますが、間もないため軌道に乗るためには時間が必要です。北海道の文化向上、オペラ愛好者の拡大・発展、会員の演奏技術向上のため、振興会の助成が不可欠と考えました。
文化の向上は日常生活に潤いを与えていますが、北海道の芸術文化はまだまだ発展途上にあると思います。関東の最先端で活躍中の指揮者や演出家を招聘することは、出演者の音楽的なレベルアップはもとより、地元の舞台制作スタッフ育成の一助にもなっています。
今回は演奏会形式のため複雑な演出はなかったのです。演奏会当日、演出家は都合で参加できなかったのですが、事前練習の段階で舞台監督がその意思をくみ取り、見事な進行を果たしてくれました。このことは外部スタッフの成長と制作は評価しています。
当会の活動は、次世代を担う新人声楽家の活躍の場を与えるとともに、より多くの愛好家や、これまでオペラに触れることがなかった層にも、本格的なオペラに触れる機会を提供することで、北海道の文化発展に大きく寄与するものと考えています。
当会は2024年度に創立60周年を迎えます。今後の展望として、今まで培ってきたオペラファンの拡大はもとより、若い世代にこの文化の魅力を理解してもらい制作のへの参加を促したいと思っています。
例えば、
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