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【千駄ヶ谷だより】国立能楽堂令和8年8月主催公演がまもなく発売です!

≪国立能楽堂夏スペシャル≫
お子様にもわかりやすい狂言の演目を選んでふたつの作品を上演します。公演の冒頭には演者による鑑賞のポイントのご案内もあります。
狂言 梟
山からもどってきた弟の様子がおかしいので、兄は山伏に祈祷を頼むことにしました。山伏が一心に祈ると、やがて弟は「ホホン!」と不思議な声をあげだします。実は、弟は山で梟の巣を木から下ろしたために、どうやら梟が憑(と)りついてしまったようです。そこで山伏が、梟が嫌う鳥の印を結んでさらに懸命に祈り続けると、今度は梟が兄にも憑りついて…。
狂言 首引
九州一帯を制覇して、剛勇無双と謳われた鎮西(ちんぜい)八郎為朝。下っていた西国から都へ上ろうと播磨国・印南野(いなみの)にさしかかると、そこに鬼が現れ出ます。鬼は為朝を取って食おうとしますが、為朝の男っぷりの良さに目をつけ、愛娘の姫鬼に“食い初(ぞ)め”をさせることにしました。呼び出された姫鬼が近づこうとすると、為朝は扇を打ったり、咳ばらいをしたり、そのたびに姫鬼は怯えて近寄ることすらできず逃げ帰ってきます。鬼から咎められた為朝は、「姫鬼と勝負をして、負けたら食われるが、勝ったら命を助けてもらう」という約束を取り付けました。まずは腕押し、つぎに脛(すね)押し、いずれも姫鬼は簡単に負けてしまい、いよいよ首引きで勝負をつけることになりますが…。
面や装束を用いずに演じることで、ダイレクトに伝わってくる演者の声や動きにご注目ください。
袴狂言 八尾
ここは、あの世の入口。死後の行く先の分かれ道・六道の辻で、亡者となった河内国・八尾の里の男がひと休みしています。そこに閻魔大王がやってきて、「近頃、人間が信心深くなり、みな極楽に行ってしまうので地獄が飢饉状態だ」と嘆き、自ら罪人を責めて地獄に落とすことにすると語ります。そして、傍らで休んでいる男に気がつき、声をかけると、男は「八尾の地蔵から閻魔大王に宛てた文だ」と言って書状を差し出しました。さて、そこにはどんな地蔵からのメッセージが書かれているのでしょうか?
袴能 半蔀
夏の終わりの京都紫野(むらさきの)・雲林院(うんりんいん)。夏安吾(げあんご)(夏の間、一所に籠って修行すること)を終えようとしている僧が、仏に献じる花を立てて供養しています。そこに夕顔の花を手にした女が訪れ、僧に素性を問われると「五条あたりに住む者」と名乗って、花蔭に姿を消してしまいました。
僧が五条のあたりを訪ねてみると、雑草が生い茂る家の蔀戸(しとみど)をあげて先ほどの女が現れました。女は、夕顔の花をきっかけに光源氏と出会った“夕顔の女”の亡霊だと打ち明け、光源氏との短くも深い縁を懐かしく語ります。そうして恋慕の舞を舞った後、夜明けとともに姿を消すのでした。
お子様にもわかりやすい能の作品を選んで、上演します。冒頭の演者による解説で鑑賞のポイントをご案内します。
能 小鍛冶
一条院に仕える橘道成(たちばなのみちなり)が、「夢のお告げに従って御剣(みつるぎ)を打て」という宣旨を携えて、小鍛冶(刀鍛冶(かたなかじ))・宗近(むねちか)のもとを訪れます。けれど宗近は、自らに匹敵する力量を持つ相槌(あいづち)(二人一組で刀を打つ際の相方)がいないことで逡巡(しゅんじゅん)し、もはや神仏の加護に与(あずか)るしかないと、かねてから信心する稲荷明神に詣でます。すると、どこからともなく現れた不思議な童子が、中国や日本の伝説を引きながら剣の徳を語って宗近を励まし、すぐに戻って刀を打つ準備を調えて待てと告げます。
帰宅した宗近は、鍛冶場に壇を設え、祈りを捧げます。すると、稲荷明神が霊狐(れいこ)の姿となって顕れ、相槌をつとめ、見事な剣が打ちあがりました。造刀のエピソードにちなんで剣には「小狐丸」の銘が与えられます。霊狐は、剣が勅使に手渡されたのを見届けると、雲に飛び乗り、稲荷の峰へと帰って行くのでした。
「茶碗」をめぐって繰り広げられる狂言、落語、講談で、他ジャンルとの競演をお楽しみいただきます。
講談 大名荒茶の湯
豊臣秀吉が世を去った後、秀吉腹心の七人の大名を味方に取り込もうと画策する徳川家康は、軍師・本多佐渡守に相談して茶の湯の席を設けます。招かれた七人はいずれも戦いに明け暮れてきた荒大名で、茶の心得があるのは細川忠興(ただおき)ただひとり。「とりあえず、すべて自分の真似をしていればよい」と忠興に言われ、挨拶から立ち居振る舞い、席入り、茶の飲み方、何から何まで全員が次々と忠興の真似をするのですが…。個性豊かな武士たちが珍騒動を繰り広げる一席です。
落語 井戸の茶碗
人の好い屑屋の清兵衛が町を流していると、千代田卜斎(ぼくさい)なる人物から古い仏像の引き取りを頼まれます。目利きのできない清兵衛は、売れた時には儲けを折半にすることを提案し、二十文で引き取りました。その仏像を、高木佐久衛門という士が三百文で買うと、中から五十両の小判が出てきます。高木は「仏像は買ったが五十両は買っていない」と、清兵衛を探し出し五十両を持ち主に返すように頼みます。けれど卜斎は「気づかなかったのは己の不徳」と言って、受け取りを拒否。生真面目な卜斎と高木の間を何度も行き来して、困り果てた清兵衛は卜斎が暮らす長屋の大家に仲立ちをしてもらいます。「卜斎と高木にそれぞれ二十両、清兵衛に十両」という提案にも卜斎は首を縦に振らず、「何か品物を高木に渡して、“商い”という形にする」ということで、卜斎が折れ、ようやく騒動は決着に。ところが、卜斎が高木に譲った父の形見の茶碗が「井戸の茶碗」という名器だと判明して…。登場人物のだれもが清廉な心をもった、人情噺の傑作です。
新作狂言 井戸茶碗
ある日、主人のもとを訪ねて来た道具屋は、言葉巧みに高価な茶碗を売りつけようとしています。妻は、その茶碗が縁日で自分が買ってきた安物の茶碗と瓜二つだと言います。そして、道具屋に「目利きなら、どっちが持参した高価な茶碗か当てられるはず」と、二つの茶碗を並べ替えたところ…。作者の故本多静雄氏は、豊田市出身の陶芸家であり、実業家。地域や陶芸にちなんだ数々の新作狂言を世に送りだしています。
【文/氷川まりこ(伝統文化ジャーナリスト)】
●令和8年8月主催公演発売日
- 電話インターネット予約:令和8年7月10日(金)午前10時~
- 国立能楽堂チケット売場窓口・自動発券機は国立能楽堂主催公演日(*)のみの営業(午前10時~午後6時)です。
*販売開始は電話・インターネット予約開始日の翌日以降 - 国立劇場チケットセンター(午前10時~午後6時)
0570-07-9900/03-3230-3000(一部IP電話等)
https://ticket.ntj.jac.go.jp/





