トピックス
【千駄ヶ谷だより】国立能楽堂令和8年3月主催公演がまもなく発売です!

狂言 左近三郎
狩りに行く途中の山中で僧と出会った猟師の左近三郎は、僧をからかって、「酒は飲むか?」「魚は食べるか?」「妻はいるか?」と次々に訊ねます。僧が否定すると、その都度、弓矢で脅して無理やり肯定させ面白がったあげくに、檀那(だんな)(後援者)になってやろうと言い出します。殺生をする猟師は檀那にできないと僧が断ると、ここから殺生をめぐってふたりの問答がはじまり…。
能 須磨源氏
日向国の神官・藤原興範(おきのり)が、伊勢参宮の途中、須磨の浦で桜を眺めるひとりの老人と出会います。老人はその木が光源氏にゆかりの桜だと言って、光源氏の生涯を出生から詳らかに語り始めます。花見の宴の夜に朧月夜と関係をもったことが発端となって須磨、明石に蟄居(ちっきょ)したが、不思議なお告げによって都に戻ることができ、その後は栄華をきわめたことを語り終えると、実は自身こそ光源氏の霊だとほのめかし、消えてしまいました。
夜が更け、光源氏の霊が興範の夢に現れ、今は兜率天(とそつてん)に住む身だと明かします。そして、今宵ここに天降り、華やかな宮中を思い返して青海波(せいがいは)の舞楽を奏すると言い、月光の下で舞うのでした。
狂言 横座
牛を拾った男が、牛の目利きをする人を訪ねることにします。一方、目利きの牛主は、飼っていた美しい牛が行方知れずになり占いの言葉を頼りに探しに出たところ、牛を引いて来た男と出会います。この牛の目利きを頼みたいという男に、牛主は、それは探していた自分の牛「横座」だと主張して、名づけた経緯を語ります。男は、名前を呼んで牛が答えれば返し、答えなければ牛主を家来にするという条件を出し、三度呼ぶことを許可します。さて、牛は答えてくれるのでしょうか?
能 祇王
加賀国から上って来た白拍子・仏御前が相国入道(しょうこくにゅうどう)・平清盛に自らの芸を見て欲しいと面会を求めますが、かねてから寵愛する白拍子・祇王に夢中の清盛は受け入れません。けれど情け深い祇王の取り計らいで、連れ立って御前へ出よとの声がかかり、ふたりは相舞(あいまい)を舞うこととなります。
いざ祇王と仏御前が舞いはじめると、清盛は若く美しい仏御前の舞に心を奪われ、仏御前ひとりで舞うようにと命じます。見物にまわれと言われた祇王は、ここに自分がいても意味がないと御前を退出しようとします。すると、仏御前は、祇王なくしてひとりで舞うことはできないと言って、引き立ててくれた祇王への感謝を表すのでした。
主人は自分が留守の間に使用人たちが酒を盗み飲みしないよう、太郎冠者に米蔵、次郎冠者に酒蔵の番を命じ、決して蔵を離れてはならないと言って出掛けます。それぞれ蔵に入ったふたりですが、次郎冠者はひとりで酒蔵の番をするうちに、さびしさを紛らわそうと酒を飲みはじめてしまいます。それに気づいた米蔵の太郎冠者も飲みたくなりますが、蔵を離れることを固く禁じられているので飲むことができません。すると次郎冠者が、蔵に放置されていた外(はず)れた雨樋を見つけて…。
能 小塩
ある春の日、下京に住む男たちが大原野に花見に訪れると、そこで桜の枝を手にした老人と出会いました。老人が「大原や小塩の山も今日こそは神代のことも思ひ出づらめ」と口ずさんだので、男たちが誰の和歌かと訊ねます。すると老人は、かつてこの大原野に行幸した二条の后・藤原高子に供奉(ぐぶ)した在原業平が詠んだ歌だと答え、男たちとともに花見に興じますが、やがて夕暮れに霞む桜の影に姿を消してしまいました。
老人が常人(ただびと)ではないと察した男たちは、この土地に小塩明神として祀られるようになった業平の霊が顕現したのであろうと察して、ふたたび見まみえるまで待つことにします。やがて、在りし日の姿で現れた業平は、桜に彩られた春宵一刻値千金の春の夜を讃え、往時を懐かしみながら舞を舞うのでした。
3月28日(土)企画公演 〈復興と文化〉東日本大震災15年 午後1時開演
東日本大震災から15年となる今年3月は、東北・名取の地を舞台とする復曲能「名取ノ老女」を、復曲狂言「鷺」とともに上演します。
熊野三山の山伏は、「名取の老女という巫女を訪ねて、虫食いの跡が和歌になったこの梛(なぎ)の葉を届けよ」という夢のお告げに導かれて、陸奥国・名取の里へとやってきました。老女は、若き日には毎年欠かすことなく、はるばる熊野詣をしていましたが、年老いた今はもう参詣がかなわず、名取の地に熊野三山を勧請して祈りをささげていました。梛の葉に虫食いで記された「道遠し年もやうやう老いにけり思ひおこせよ我も忘れじ」の歌に感涙した老女は、山伏に勧められて法楽の舞を舞います。すると、熊野権現の使いである護法善神が現れ、篤い信仰心を祝福し加護を約束するのでした。
別名「護法(ごおう)」という古作の能で、国立能楽堂で平成28(2016)年に復曲上演されました。
【文/氷川まりこ(伝統文化ジャーナリスト)】
●令和8年3月主催公演発売日
- 電話インターネット予約:令和8年2月10日(火)午前10時~
- 国立能楽堂チケット売場窓口・自動発券機は国立能楽堂主催公演日(*)のみの営業(午前10時~午後6時)です。
*販売開始は電話・インターネット予約開始日の翌日以降 - 国立劇場チケットセンター(午前10時~午後6時)
0570-07-9900/03-3230-3000(一部IP電話等)
https://ticket.ntj.jac.go.jp/





