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【千駄ヶ谷だより】7月23日・24日国立能楽堂ショーケースをピックアップ!
7月の国立能楽堂では、能楽師による体験コーナー&プレトーク付きで好評のショーケースを、
多彩な演目で集中的に開催します!その中でも、23日・24日上演の狂言「寝音曲」と能「鵜飼」をピックアップ!
こちらの能面をご存知ですか。口を固く結び、小癋見(こべしみ)と言って、力を内に込めた表情が特徴の面です。宝生流八世の古将監重友は『面論記』で小癋見について「鵜飼野守の面也」と記しており、地獄の鬼の役などに用います。また、「申楽談儀」によると、世阿弥が「鵜飼」に使ったのが最初だといわれています。下記の23日、24日ショーケースで上演の能「鵜飼」では、後シテの閻魔大王でこの能面にもご注目ください。また、狂言「寝音曲」は主人と太郎冠者の駆引きが見どころです。横になって調子良く謡う様は、演者の技量が試される聴きどころにもなっています。
国立能楽堂ショーケース:7月23日(水)午後2時開演・24日午後7時開演
プレトーク(事前解説) 川瀬隆士(シテ方宝生流)
狂言「寝音曲」 23日:能村晶人・24日:野村拳之介(和泉流)
ある晩、太郎冠者の家の前を通りかかりその謡を耳にした主人は、翌日、太郎冠者を呼び出して、謡うように命じました。けれど、これからたびたび謡わされることになるのは面倒だと思った太郎冠者は「酒をたっぷり飲んで、妻の膝枕がなければ謡えない」と嘘をつきます。ならば酒を飲ませよう、自分の膝も貸そう、と主人に言われ、酒を飲んだ太郎冠者は仕方なく主人の膝枕で謡い出しますが…。
能「鵜飼」 23日:野月聡・24日:大友順(宝生流)
甲斐国・石和(いさわ)を訪れた旅の途中の僧は、石和川のほとりで里の男に一夜の宿を乞います。けれど、この土地では旅人に宿を貸す事は禁じられていると断られ、怪しいものが出没するという川辺の御堂で一夜を明かすことになります。やがて御堂に、鵜使いの老人を乗せた一艘の鵜舟が漕ぎ寄せました。僧は、老人に殺生をやめるよう諭しますが、老人は「仕事だからやめるわけにはいかない」と答えます。そのやりとりを聞いていた供の僧が、数年前にこの川下で、同じような鵜使いの家に泊めてもらったことを思い出します。すると老人は、その鵜使いが殺生禁断の掟を破ったため里の人々に捕らえられ川に沈められた経緯を語り、自分はその亡霊であるとほのめかし、消えていきました。やがて僧が鵜使いを弔っていると、閻魔大王が現れて、かつて僧を泊めた善行と法華経の功徳で鵜使いが成仏したことを告げるのでした。
【文/氷川まりこ(伝統文化ジャーナリスト)】
開演前のプレトークでは能楽師が能・狂言や当日の演目について分かりやすくお話をするため、気軽に楽しく舞台をご覧いただくことができます。また、体験コーナーでは、能楽で使われている楽器(小鼓・大鼓)を実際に触って体験いただけます。
初めての能楽鑑賞からもっと能楽を知りたい方にもオススメの内容です。能楽師に直接教わるチャンスをお見逃しなく!
国立能楽堂ショーケースはリーズナブルなチケット価格(正面=3,500円、脇正面=3,000円(学生2,100円)、中正面=2,500円(学生1,800円))でお買い求めいただけます。


ロビーでの体験コーナーや舞台でのプレトークは、チケットをお持ちのお客様のみご参加いただけます。
23日、24日以外にも、7月は多彩な演目でショーケースを開催します。
下記のご案内も併せてご覧ください。
7月国立能楽堂ショーケースのご案内
電話・インターネット予約=6月10日(火)午前10時より


狂言「寝音曲」/能「鵜飼」 体験コーナー:小鼓・大鼓
狂言「棒縛」/能「葵上」 体験コーナー:能・狂言の面装束
狂言「蝸牛」/能「船弁慶」 体験コーナー:笛・太鼓
皆様のご来場を心よりお待ちしています。