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国立能楽堂

トピックス

【千駄ヶ谷だより】国立能楽堂令和7年10月主催公演がまもなく発売です!

 

狂言 空腕

 淀までひとりで使いを命じられた太郎冠者。物騒だからと護身用に主人の太刀を借りて出かけました。根が臆病な太郎冠者の性格をよく知る主人は、あとをつけて様子を見ることにします。案の定、物影に怯え、いもしない盗賊が出たと勘違いした太郎冠者は、あわてて地面に伏して太刀まで差し出す始末。あきれた主人が、太刀を取り上げ背中を打つと、太郎冠者は気絶してしまいました。意識を取り戻した太郎冠者は…。

能 咸陽宮

 秦の始皇帝は、「敵対する燕(えん)の地図と、逆臣・樊於期(はんねき)の首をもってきた者には、どんな望みも叶える」というお触れを出し、寵姫・花陽夫人かようぶにんや侍女たちとともに居城・咸陽宮で地図と首を待ちわびています。そこに、燕の刺客・荊軻けいかと秦舞陽(しんぶよう)が、この機会を利用して始皇帝を討とうとやってきます。地図と首を携えて進み出たふたりは、箱の底に隠し持った剣を始皇帝に突きつけました。ふたりに捕らえられた始皇帝は、末期の思い出に花陽夫人の琴の演奏を所望します。花陽夫人が弾く琴の音の素晴らしさに誰もが気を緩めた隙に、始皇帝は逆襲に出て、刺客たちを返り討ちにしました。やがて燕は始皇帝によって滅ぼされ、秦はますますの繁栄を遂げるのでした。

 

狂言 狐塚

 狐塚にある田に行って鳥追いの番をするよう命じられた太郎冠者。狐塚には悪い狐が出て人を化かすので嫌だと断りますが、主人から鳥や獣を追うための鳴子を渡されて、しぶしぶ狐塚へと向かいます。昼は鳴子を振って鳥を追い払っていましたが、日が暮れるにつれ、だんだんと心細くなってきました。そこに、様子をうかがいに次郎冠者がやってきました。ところが、てっきり狐が次郎冠者に化けているのだと思い込んだ太郎冠者は…。

能 松虫

 摂津国・阿倍野(あべの)の市で酒を売る男のもとに、いつも仲間を伴って酒を飲みに来る男がいました。ある日、酒に酔ったその男が「松虫の音に友を偲ぶ」と口にしたので、酒売りがその言葉の意味を訊ねると、男は昔語りをはじめました。――かつて、仲の良い二人の男がこの阿倍野の原を通りかかった時、松虫の音に心ひかれたひとりが草むらに分け入り、なかなかもどってこなかった。心配したもうひとりが探し行くと、すでに友は草むらの中でこと切れていた。死ぬ時は一緒にと思っていた相手を失い、ひとり残された男は今も松虫の音に友を偲んでいるのだ、と。そして、自らが亡霊であることを明かし、姿を消してしまいました。

 夜が更け、消えた男の亡霊が酒売りの夢に現れます。そうして、友と心通わせた日々を懐かしみ、集(すだ)く虫の音に包まれて舞を舞うのでした。

 

10月17日(金)国立能楽堂ショーケース 午後7時開演

能・狂言を初めてご覧になる方にも親しみやすい作品を選んで、コンパクトに上演する入門向けの公演です。公演当日の上演前には、ロビーに楽器体験コーナーを設け、舞台では能楽師による簡単なプレトーク(解説)を行ないます。

 狂言 文山賊

 山中で、狙いをつけた旅人に逃げられてしまった二人の山賊。互いに失敗を相手のせいにしていさかいがはじまり、とうとう果たし合いで決着をつけることになりました。けれど見届ける人もなく命を落とすのは犬死にも同然と、それぞれ家族に遺し文を書くことにしたのですが…。

 能 小鍛冶

 一条院に仕える橘道成(たちばなのみちなり)が、「夢のお告げに従って御剣(みつるぎ)を打て」との勅諚を携え、小鍛冶(刀鍛冶かたなかじ)・宗近(むねちか)のもとを訪れました。宗近は、自らに匹敵する力量を持つ相槌(あいづち)(二人一組で刀を打つ際の相方)がいないので、もはや神仏の加護に与あずかるしかないと、信心する稲荷明神に詣でます。すると、どこからともなく現れた不思議な童子が、中国や日本の伝説を引きながら剣の徳を語って宗近を励まし、すぐに戻り刀を打つ準備を調えて待てと告げます。

 帰宅した宗近が鍛冶場に壇を設え、祈りを捧げていると、稲荷明神が霊狐れいこの姿となって現れ、相槌をつとめます。そうして霊狐の力を得て打ちあがった見事な御剣には、造刀のエピソードにちなんで小狐丸の銘が与えられ、勅使に渡されました。霊狐は雲に飛び乗り、稲荷山の峰へと帰って行くのでした。

 

10月25日(土)企画公演 ◎蠟燭の灯りによる 午後1時開演

蝋燭のほの灯りに照らされた舞台で、光と陰のコントラストのなかに描き出される幻想的な世界をお楽しみください。

狂言 伯母ヶ酒

 酒屋を営む伯母はとてもケチな人で、作った酒を一度もふるまってくれたことがありません。甥は、今日こそはと、あれこれ理由をつけて飲ませてもらおうとしますが、まったく相手にしてもらえませんでした。一計を案じた甥は、「そう言えば、近ごろ山から鬼が出るというので気をつけて」と嘘の忠告をして立ち去ります。伯母は早々に店じまいして戸締りをします。やがて、外から酒を売ってほしいという客の声が聞こえたので戸を開けると、そこには鬼に扮した甥が立っていました。甥が化けているとは気づかない伯母は、脅されるまま鬼に酒を飲ませますが…。

能 梅枝

 摂津国・住吉を訪れた旅の僧は、村雨に降り込められ、近くに一夜の宿を借りることにしました。迎え入れてくれた女の庵には、質素な暮らしぶりとは不釣り合いな舞楽の太鼓や舞衣装があり、僧は違和感を覚えます。僧に問われた女は、かつて宮中での太鼓の役をめぐる争いで殺(あや)められた楽人・富士の話をはじめました。そして、実は自分はその富士の妻の亡霊だとほのめかし、姿を消しました。

その夜、富士とその妻を弔って読経する僧の前に、妻の霊が現れます。形見の舞衣装に身を包んだ妻の霊は、夫を偲んで謡い、楽を舞い、僧の弔いにより妄執を晴らせたことを感謝して、夜明けとともに消えていくのでした。

【文/氷川まりこ(伝統文化ジャーナリスト)】

 

●令和7年10月主催公演発売日
  • 電話インターネット予約:令和7年9月10日(水)午前10時~
  • 国立能楽堂チケット売場窓口・自動発券機は国立能楽堂主催公演日(*)のみの営業(午前10時~午後6時)です。
    *販売開始は電話・インターネット予約開始日の翌日以降

  • 国立劇場チケットセンター(午前10時~午後6時)
    0570-07-9900/03-3230-3000(一部IP電話等)
    https://ticket.ntj.jac.go.jp/
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