トピックス
【千駄ヶ谷だより】国立能楽堂令和7年8月主催公演がまもなく発売です!
◎親子で楽しむ狂言の会
お子様にもわかりやすい狂言の演目を選んでふたつの作品を上演します。公演の冒頭には演者による鑑賞のポイントのご案内もあります。
※ この公演は、親子でご覧になるお客様に限り、特別料金で先行予約中です。
先行予約で売り切れた場合は、7月10日(木)からの一般申込みでの販売はございませんので、あらかじめご了承ください。
詳細はこちらをご覧ください。
狂言 水掛聟
日照り続きを心配して田の見回りにやってきた舅。案の定、田は水が枯れ、せっかく育った稲は瀕死の状態です。ところが、隣の聟の田を見ると、なみなみと水があり、稲は生き生きとしています。舅は畔を切り、聟の田から自分の田に水を引き入れて帰っていきました。入れ替わりにやってきた聟も、同じく畔を切って自分の田に水をもどします。翌日、田で鉢合わせとなったふたりは…。
能 蟹山伏
修行を終えて国元へともどる途中の山伏。蟹が沢という沢にさしかかると、辺りにはにわかに暗雲が立ち込め、何やら得体の知れないものが飛び出してきました。正体をたずねると、なんと、それは蟹の精。山伏が金剛杖で打つと、蟹のハサミで耳をはさまれてしまったので数珠をもんで祈りますがはさむ力は強まるばかり。ならば今度は祈り殺そうとするのですが…。
◎素の魅力
面や装束を用いず、ダイレクトに伝わってくる演者の声や動きにご注目ください。
小舞 海老救川
小舞は狂言方が舞う舞で、劇中で披露されるものと、舞踊曲として独立したものの二種類があります。この曲は後者で、和泉流固有のもの。四季の景物を織り込みながら、さまざまな川海老の名をあげて軽やかに楽しく舞います。
狂言語 朝比奈
地獄に落ちる人間が激減していることを憂う閻魔大王は、自ら罪人を地獄へ責め落とそうと亡者を待ち受けています。そこにやってきたのは、猛者として名高い武将・朝比奈三郎。どれだけ責めても動じない朝比奈に、閻魔大王はついにあきらめ、かわりに和田合戦の様子を語らせることにするのですが…。今回は、この朝比奈の戦語りの部分を独演でお聴きいただきます。狂言のセリフ術の真髄である語りの妙をお楽しみください。
小謡 水汲
寺の門前のいちゃ(若い娘の通称)が野中の清水で濯ぎ物をしています。そこに、お茶に使う水を汲みに新発意(しんぼち)(仏門に入って間もない若い僧)がやってきました。かねてからいちゃに思いをよせる新発意は、いちゃの背後にしのびより小歌で謡いかけ…。新発意といちゃの掛け合いの謡の部分を取り出し、暮れ時の清水のほとりで繰り広げられる若い男女の恋のやりとりを描き出します。
袴能 砧
袴能は、面や装束はつけず紋付袴姿で演じる能の上演形式です。
訴訟のため長らく都に滞在している夫を待ち続ける妻は、里人が打つ砧(布をやわらかくし艶を出すのに用いる木槌)の音を耳にして、無聊(ぶりょう)を慰めます。しんしんと冷えさびる秋の夜に、妻の心を託した砧の音が響き渡ります。そこに夫から、この年末も戻れなくなったという知らせが入り、希望を失った妻は重い病を得て息をひきとりました。
訃報に、急ぎ帰郷した夫。現れ出た妻の亡霊は、待つ日々の疑心暗鬼の辛さや恋慕の妄執を切々と訴えます。やがて亡霊は、夫の厚い弔いの功徳により成仏をはたすのでした。
講談 『義士銘々伝』より 安兵衛婿入り
高田馬場の仇討に加勢して名を挙げた剣豪・中山安兵衛のもとに、赤穂藩士・堀部弥兵衛の妻と娘が訪れて「ぜひとも安兵衛を婿に迎え、家を継がせたい」という弥兵衛の願いを伝えます。叶わなければ自害すると言うふたりに、安兵衛は断り切れず受け入れますが、実は中山の家を立てる大義のため、やがては離縁する腹づもりでした。向こうから愛想づかしされるようにと、毎日毎日わざと吞んだくれる安兵衛。さすがの弥兵衛も耐えかね、高いびきで眠り込む安兵衛を槍で突こうとしますが、見事によけられてしまいました。「見込まれたが身の不運と諦めて娘に優しい言葉をかけてほしい」と涙ながらに懇願する弥兵衛に、安兵衛も感じ入り、ついに婿入りを決意、となります。
落語 『大岡政談』より 小間物屋政談
京橋の長屋に暮らす小四郎は、自らが売り物を背負って売り歩く、しがない小間物屋。ある時、上方へと向かう道中、箱根山のあたりで、身ぐるみはがれて助けを求めている男を見つけます。その男は江戸一番の小間物屋の主人・若狭屋甚兵衛でした。小四郎は、着物と少しばかりの銭を与え、もし追ってお礼をいただけるならと、自分の名前と住所を書いた紙を甚兵衛に渡し、別れました。ところが江戸に帰る途中、甚兵衛は病をこじらせて宿で急逝してしまいます。すると、持ち物の中に小四郎の名前と住所が書かれた紙があったので、その亡骸は小四郎として葬儀まであげられてしまいました。しばらくの後、未亡人となった小四郎の女房・おトキは小四郎の遠縁にあたる三五郎と再婚をします。その婚礼の晩、死んだはずの小四郎がひょっこり帰ってきて…。
狂言 八幡前
有徳人(金持ち)が掲げた「一芸に秀でた者を婿にする」という高札を見て、志願することにした男。懇意にしている人に相談をして「まずは弓の名手と名乗って鳥を射て、外れたら、取り繕う見事な和歌を詠んで歌の名手として売り込む」という計画を立てます。けれど、物覚えが悪い男は、和歌を覚えられず、いざというときには思い出すための合図を送ってもらうことにしました。向かった先で、案の定、放った矢ははずれ、和歌を詠むことになったのですが…。
◎親子で楽しむ能の会
お子様にもわかりやすい能の作品を選んで、冒頭では演者による解説で鑑賞のポイントをご案内します。
※ この公演は、親子でご覧になるお客様に限り、特別料金で先行予約中です。
先行予約で売り切れた場合は、7月10日(木)からの一般申込みでの販売はございませんので、あらかじめご了承ください。
詳細はこちらをご覧ください。
能 土蜘蛛
武勇で知られる源頼光(みなもとのらいこう)は、このところ体調がすぐれず床に臥せっています。侍女の胡蝶が特別に調合した薬を届けても、ついつい弱音を漏らすほど。夜が更けて、怪しげな僧が頼光の前に姿を現し、蜘蛛の糸を繰り出して襲い掛かってきました。頼光が枕元の刀で斬りつけると、怪僧は血を流しながら逃げ去って行きました。
この騒ぎに駆け付けた独武者(ひとりむしゃ)は、軍勢を引き連れ、流れた血の跡を追って葛城山中の古い塚にたどり着きます。塚を突き崩すと中から土蜘蛛の精が現れて、千筋の糸を投げかけて激しい戦いを繰り広げます。けれど土蜘蛛の精はついに力尽き、討ち取られるのでした。
【文/氷川まりこ(伝統文化ジャーナリスト)】
●令和7年8月主催公演発売日
- 電話インターネット予約:令和7年7月10日(木)午前10時~
- 国立能楽堂チケット売場窓口・自動発券機は国立能楽堂主催公演日(*)のみの営業(午前10時~午後6時)です。
*販売開始は電話・インターネット予約開始日の翌日以降 - 国立劇場チケットセンター(午前10時~午後6時)
0570-07-9900/03-3230-3000(一部IP電話等)
https://ticket.ntj.jac.go.jp/