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国立能楽堂

トピックス

【千駄ヶ谷だより】国立能楽堂令和7年6月主催公演がまもなく発売です!

 

狂言 悪坊

 乱暴者の悪坊は、道で出会った旅の僧を無理やり道連れにし、馴染みの宿に連れ込みます。困惑する僧に、食事を奢ると言いながら、酒に酔い暴言を吐き散らし、按摩までさせて、とうとう眠り込んでしまいました。これまでの成り行きを思い返すとどうにも腹の虫がおさまらない僧は、悪坊の自慢の大長刀を持って逃げ出します。やがて悪坊が目を覚ますと…。

玉井

 彦火々出見尊(ひこほほでみのみこと)は、兄の火闌降尊(ほのすそりのみこと)から借りた釣り針で釣りをしていましたが、釣り針を魚に取られ失くしてしまいました。自らの剣を打ち直して代わりの釣り針を作って返そうとしても、兄はどうしても元の針を返せと言って許してくれません。そこで尊は、海中に入って兄から借りた釣り針を探すことにしました。船に乗り大海をはるかに進んで行くと、海の都の門前に井戸があり、桂の木が生えていたので、身を寄せてしばらく都の様子を見ることにします。そこに海神の娘・豊玉姫(とよたまひめ)と玉依姫(たまよりひめ)の姉妹がやってきました。不老長寿の玉の井の水を汲もうとしたふたりは、水面に映った尊に気づき、龍宮の宮殿に招き入れます。父の海神は、釣り針を探すことを約束し、尊と豊玉姫を結婚させます。そうして三年の月日が経ち、国に帰ることになりました。

 海神は約束の釣り針と宝の玉を調えて尊を鰐(わに) (鮫)   (さめ)に乗せ、豊玉姫と玉依姫とともに見送るのでした。

 貝尽の小書(特殊演出)で、間狂言が替間(かえあい)となり、尊が帰る前に貝たちによる酒宴が繰り広げられます。

 

狂言 真奪

 世間では今「立花(りっか)」(「真(しん)」となる枝を中心に立てる、形式をもった生け花)が流行しています。主人は、近々開かれる花会に参加するために、太郎冠者を連れて真の枝を採りに出かけました。すると道すがら、見事な真をもった男に出会います。どうしてもあの真が欲しくなった主人は、太郎冠者に手に入れてくるよう命じます。なんとか男から真を奪い取ることに成功した太郎冠者ですが、逆に大切な主人の太刀を奪われてしまい…。

敦盛

 かつて一ノ谷の合戦で、平家の公達・平敦盛を討ち取った熊谷次郎直実。わが子と同じような年の少年を手にかけたことに無常を覚えた彼は、平家が滅びた後に出家して(れんしょう)蓮生法師と名乗り、敦盛の菩提を弔うため、一ノ谷を訪ねます。そこに笛を吹きながら現れた草刈男は、蓮生に十念(じゅうねん)を授けてほしい(仏との縁を結ぶこと)と願い、敦盛のゆかりの者だと名乗って、姿を消してしまいました。

 やがて敦盛のために回向する蓮生の前に、敦盛の亡霊が甲冑姿で現れます。一ノ谷で直実に討たれたさまを再現した敦盛の亡霊は、昔日は敵として戦った相手が今はこうして自分の後世を弔ってくれる仏法の友であると感謝し、さらなる回向を頼みながら闇へと消えて行くのでした。

 二段之舞の小書により、後場での敦盛の舞が常とは変化します。また、前シテは挟草(はさみぐさ)を肩に担いで登場するのが通常ですが、鎌を手に草刈籠を背負っての登場となります。

 

狂言 秀句傘

 近ごろ、あちらこちらの集まりで、秀句(しゅうく)(ジョーク)が大流行り。世の中の流れに乗り遅れまいと、大名は、秀句を得意とする者を召し抱えて習うことにしました。命を受けた太郎冠者は、元傘張りで傘に関する秀句を得意とする男を連れてきます。大名の所望に応じて男が秀句を繰り出しますが、洒落のわからない大名はそれが秀句とは気づかず…。

能 六浦

 山々が紅葉する相模国六浦の称名寺(しょうみょうじ)。旅の僧が立ち寄ると、1本だけ紅葉していない楓(かえで)が目に留まります。現れた里の女は、かつて鎌倉の中納言・藤原為相(ためすけ)がここを訪れた時、他に先駆けて1本だけ紅葉していたこの楓を和歌に詠んだこと、喜んだ楓は誉(ほまれ)を得た上は身を引くことが天道(自然の道理)と心得て、以来、常盤木(ときわぎ)(常緑樹)になったことを語ります。そして自らがその楓の精だと打ち明けて姿を消します。

 夜になり、ふたたび僧の前に姿を現した楓の精は、草木国土悉皆成仏(そうもくこくどしっかいじょうぶつ)を説く仏徳をたたえ、舞を舞うのでした。

 

狂言 附子

 外出することになった主人は、使用人の太郎冠者と次郎冠者を呼び出して留守番を命じます。その際、「この桶に入っているのは附子という猛毒で、桶の方から吹いてきた風に当たっただけで死んでしまうほど危険なので、絶対に近づいてはならない」と言い置いて出かけて行きました。附子が気になって仕方ない太郎冠者が果敢にも桶を開け、舐めてみると、中に入っていたのは砂糖! あまりの美味しさに、少し、また少し、ふたりは交互に附子を舐め、ついに桶は空になってしまいました。我に返ったふたりは、主人が返ってくる前にこの事態を取りつくろうと…。

能 鉄輪

 京都の北、鞍馬の山中にある貴船神社に夜な夜な丑(うし)の刻(こく)(午前一時から三時の間)詣りをする女。自分を捨てて新しい妻を迎えた夫を呪いたいと願い、今夜もはるばる洛中からやってきました。すると社の神職から、「鉄輪(五徳。火鉢などの灰の上に設置して鍋などを据える三本足の鉄の輪)の足に蝋燭を灯して頭上に戴き、顔に丹(に)(赤い顔料)を塗り、赤い衣を着て、怒りの心をもてば望みはかなう」という神託が告げられます。

 一方その夜、下京で新しい妻と暮らす元夫は、夢見が悪いことを気にして陰陽師・安倍晴明を訪ねていました。晴明は、男の顔を見るなり、このままでは前妻の呪いで今夜にも絶命すると言い、祈祷をはじめました。そこに、鬼女となった前妻の怨念が現れ、恨みを述べつつ元夫の命を取ろうと人形を責め苛みます。けれど護法の神々に妨げられ、衰弱した鬼女は「とりあえず今夜は帰ろう」と言い残して、闇の中へと消えて行くのでした。

【文/氷川まりこ(伝統文化ジャーナリスト)】

 

●令和7年6月主催公演発売日
  • 電話インターネット予約:令和7年5月10日(土)午前10時~
  • 国立能楽堂チケット売場窓口・自動発券機は国立能楽堂主催公演日(*)のみの営業(午前10時~午後6時)です。
    *販売開始は電話・インターネット予約開始日の翌日以降

  • 国立劇場チケットセンター(午前10時~午後6時)
    0570-07-9900/03-3230-3000(一部IP電話等)
    https://ticket.ntj.jac.go.jp/
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