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国立能楽堂

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【千駄ヶ谷だより】「檀風」ゆかりの地・佐渡を宝生欣哉さんと共に訪れました![5月30日(火)特別企画公演]


 国立能楽堂は、今年9月に開場40周年を迎えます。開場当初より名作はもちろん、新作・復曲作品等様々な作品を上演し、その魅力を紹介してきました。開場40周年記念の第一弾である5月30日(火)特別企画公演では、ワキ方(主役をつとめるシテの相手役)に焦点をあてた特に珍しい作品を上演いたします。

 今回、特別企画公演で能「檀風(だんぷう)」を上演するにあたり、作品にも能楽にもゆかりの深い地である佐渡を訪れました!
 佐渡には今回「檀風」ワキを初演する宝生欣哉さんに同行していただき、「檀風」や世阿弥ゆかりの地を巡りました。欣哉さんは「檀風」への出演にあたり、「ワキ方としての節目になると思います。心してかかりたい」と決意を語ってくださいました。
 また、作品への思いや、役を勤めるにあたり大切にしていることなど、多岐にわたるお話がありました。

 以下、写真とともに佐渡での様子を少しだけ先出しでお知らせします。詳しくは国立能楽堂の公演プログラム「月刊国立能楽堂」5月号でお届け予定ですのでご期待ください!

 国立能楽堂5月主催公演は、国立劇場チケットセンター他にて4月10日(月)より発売開始です。
 [チケットセンターはこちらから

ワキ方の秘事が伝承されてきた能「檀風」



下掛宝生流能の会「檀風」森常好   撮影=亀田邦平

 「檀風」は、佐渡に身を預けられ処刑を待つ父・日野資朝(ひの すけとも)と、父の仇である本間三郎を討つ子・梅若の物語です。登場人物が10人と多い中、梅若を助ける帥の阿闍梨(そつのあじゃり)をはじめ、ワキ方が重要な役を演じます。中でも資朝の亡骸に見立てた装束を阿闍梨が丁重に扱う場面は、ワキ方の秘事として殊に大切に伝承されています。

能楽と「檀風」のゆかりの地 ”佐渡”



佐渡の風景  撮影=芝田裕之(以下写真同)

 室町時代、世阿弥がその晩年に配流された地である佐渡。鎌倉時代、「檀風」の登場人物のひとりである日野資朝が配流されたのもまた佐渡でした。さらに、江戸時代になって佐渡代官となった大久保長安が多くの能楽師を引き連れて渡島したことをきっかけに、住民の間で能楽が深く愛好され続けてきました。今でも30以上の能舞台が各地に現存しています。
 また、取材で各地を巡る際にお話しした地域の方々も、能楽を昔習ったことがあったり、「檀風」の話は知っているからぜひ見たいと話してくださったりと、能楽との結びつきの深さを随所で感じることができました。

日野資朝のお墓参り


阿佛房妙宣寺


日野資朝の墓前でお参りをする欣哉さん

 佐渡市阿佛坊に所在する妙宣寺。ここが、日野資朝の配流となった地です。
 少し前の時代に同じく佐渡配流となった日蓮に仕え、熱心な法華経信者となった遠藤為盛(阿佛房日得上人)が、妻・千日尼と共に自宅を寺として開いたのが始まりといわれています。かつては佐渡守護代・竹田本間氏の居城で、今もどことなく城跡の雰囲気を残しています。境内には、国指定重要文化財で、新潟県内唯一の五重塔もあります。
 欣哉さんは日野資朝の墓前で丁寧にお参りをし、梅若のモデルである阿新丸(くまわかまる)が敵討ちのあと追っ手から逃れるために身を隠したという「隠れ松」なども熱心に見て回っておられました。

 その他、日野資朝が合祀されている大膳神社や檀風城跡地、本間の菩提寺で、世阿弥の配所としても知られる正法寺などを巡りました。

   ◇ ◇ ◇ 

 同時上演は能「源氏供養 舞入・語入」、狂言「舟船」。
 「源氏供養」には小書(特殊演出)により、常にはないシテの舞と、唱導を基にしたといわれる語りが入ります。特に語りは、「檀風」同様にワキ方で大切に受け継がれてきたもので、上演の機会は極めて稀です。
 「舟船」では、舟を「ふね」と呼ぶか「ふな」と呼ぶか……古歌を引き合いに繰り広げられる、太郎冠者と主の風流な問答をお楽しみください。

国立能楽堂 令和5年5月公演のご案内


定例公演

5月10日(水)午後1時開演
狂言「佐渡狐」野村万作(和泉流)/能「賀茂 素働」上田貴弘(観世流)間狂言「御田」野村萬斎(和泉流)

普及公演

5月13日(土)午後1時開演
解説・能楽あんない「狂うことと舞うこと」横山太郎/狂言「貰聟」井上松次郎(和泉流)/ 能「班女」浅井文義(観世流)

定例公演

5月19日(金)午後5時30分開演
狂言「杭か人か」小笠原由祠(和泉流)/能「東岸居士」中村邦生(喜多流)
関連トピックスはこちら:【千駄ヶ谷だより】小笠原由祠さんからコメントをいただきました![5月19日(金)定例公演]

外国人のための能楽鑑賞教室
Discover NOH & KYOGEN

5月27日(土)午後1時開演
解説(英語・日本語他字幕付)茂山千之丞/狂言「二人袴」茂山茂(大蔵流)/ 能「邯鄲」山崎正道(観世流)

国立能楽堂開場40周年記念 特別企画公演

5月30日(火)午後1時開演
能「源氏供養 舞入・語入」大槻文藏・福王和幸(観世流)/狂言「舟船」山本東次郎(大蔵流)/ 能「檀風」大坪喜美雄・宝生欣哉(宝生流)


◆ 2023年(令和5年)、国立能楽堂は開場40周年を迎えます ◆
 5月30日(火)特別企画公演を皮切りに、9月から2024年(令和6年)3月までの多彩な30公演に、「開場40周年記念」と冠して上演いたします。
 現代の能楽界を代表する豪華出演者による舞台の数々に、どうぞご期待ください!
 一同、皆様のご来場を心よりお待ちしております。


◆国立能楽堂では、引き続き新型コロナウイルス感染症拡大予防の取り組みを講じたうえで、皆様のご来場をお待ちしております。 (ご来場のお客様へのお願い)