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国立能楽堂

トピックス

【千駄ヶ谷だより】国立能楽堂6月主催公演がまもなく発売です!

 まもなく発売となる国立能楽堂6月主催公演のラインナップをご紹介いたします。20日(火)~24日(土)には、能楽師による解説付きで、初めて能と狂言に触れる方にぴったりな能楽鑑賞教室を開催いたします。ぜひ皆さまお誘いあわせの上、国立能楽堂のへおいでください。

縄綯

 博奕(ばくち)好きの主人が勝負に負けて、借金のかたに奉公人の太郎冠者を差し出すことになりました。使いに出すふりをして太郎冠者を相手のもとへ向かわせますが、到着して事の真相を知らされた太郎冠者はヘソを曲げてしまいます。使いを命じられると、持病の脚気で歩けないと言い、縄を綯えと言われれば縄など綯ったことがないと言って、まったく役に立ちません。いったん帰されてきた太郎冠者に主人が「縄を綯え」と命じると…。

国栖

 大海人皇子(おおあまのおうじ・後の天武天皇=浄見原(きよみはら)天皇)は、追手を逃れて落ち延びた吉野の山中で、里の老夫婦と出会います。夫婦が皇子に献上した国栖魚(鮎)の食べ残しを川に放つと、鮎は生き返り、一同は吉兆を喜びました。そこに追手が迫り、夫婦は皇子を船の下に隠して敵を欺き切り抜けます。やがて夜になると、天女と吉野山を守護する蔵王権現ざおうごんげんが現れ、皇子が浄見原天皇となって治める世の到来を予祝し寿ぐのでした。
 白頭と天地之声の小書によって、後シテの登場の仕方が変わり、重厚さが加わる演出となります。

惣八

 ある家の主人が、僧と料理人を募集します。雇われたのは、料理人を辞めて出家したばかりのにわか坊主と、還俗して料理人になったばかりの元僧・惣八。相手に与えられた仕事が自分の得意分野と知って、ふたりは互いの仕事を交換するのですが…。

半蔀

 夏の終わりの京都紫野(むらさきの)・雲林院(うんりんいん)。夏安吾(げあんご・夏の間、一室にこもって修行すること)を終えようとしている僧が、仏に献じる花を立てて供養しています。そこに夕顔の花を手にした女が訪れ、五条あたりに住む者だと名乗って花蔭に姿を消しました。
 僧が五条のあたりを訪ねて行くと、雑草が生い茂る家の蔀戸(しとみど)をあげて先ほどの女が現れました。実は女は、夕顔の花を縁に光源氏と出会った“夕顔の女”の亡霊で、光源氏との短くも深い縁を懐かしく語ります。やがて女は、恋慕の舞を舞った後、夜明けとともに姿を消すのでした。

人を馬

 主である大名が新たに召使いを雇いたいと言い出したので、太郎冠者は求人のため街道に出て、奉公を希望する男を連れ帰ります。大名に「何か芸はないか」と聞かれた男は「人を馬にする芸がある」と答え、その芸を見せるには「馬になる人間が必要だ」と言います。そこで大名は、太郎冠者に馬になることを命じるのですが…。

飛鳥川

 都の男が、母と生き別れになった少年・友若を連れ、再会を祈念するために吉野参詣に訪れます。その帰路、飛鳥川に着くと、囃子にのせて謡いながら田植えをする女たちの様子が目に留まりました。ふたりは、しばしその様子を眺めた後に、昨日渡ってきた瀬を越えようとします。すると、女たちのひとりが声をかけ、ここより上流を渡るように言い、飛鳥川は水量が多く、日によって渡れる場所が変わるのだと古歌を引いて教えるのでした。さらに女は、古歌を口ずさみながら田植えを続け、やがて生き別れの我が子を思い出し、嘆き悲しみます。そこに至って友若は、その女こそ自分の母親だと気づき、名乗りをあげて、母子は再会を喜ぶのでした。

伯母ヶ酒

 酒屋を営む伯母はとてもケチな人で、作った酒を一度もふるまってくれたことがありません。甥は、今日こそは飲ませてもらおうとあれこれ理由をつけますが、まったく取り合ってもらえません。一計を案じた甥は、「そう言えば、近ごろ山から鬼が出るというから気をつけて」と嘘の忠告をして去って行きます。伯母は早々に店じまいして戸締りをしますが、やがて、酒を売ってほしいという客の声がします。戸を開けると、そこには鬼に扮した甥が立っていました。甥が化けているとは気づかない伯母は、脅されるまま鬼に酒を飲ませますが…。

羽衣

 穏やかに波が打ち寄せる春の三保の松原(現在の静岡県清水市の景勝地)。漁夫の白龍(はくりょう)が漁を終えて浜にあがってくると、松の枝にかかった衣が目にとまります。この世のものとは思えないその美しさに、手に取り持ち帰ろうとすると、そこに天人が現れ、それは自分のものだから返してほしいと頼みます。白龍は、天人の舞を見せてもらうことを条件に衣を返すことにしますが、先に返してしまったら天人は舞わずに天に帰ってしまうのではないかと疑います。けれど天人から「疑いは人間にあり、天に偽りなきものを」と言われ、疑った自分を恥じるのでした。天人は、返された衣をまとうと、美しい舞を見せ、数々の宝を降らせながら天高く昇って行きました。

【文/氷川まりこ(伝統文化ジャーナリスト)】

 
●6月主催公演発売日
  • ・電話インターネット予約:5月10日(水)午前10時~
  • ・窓口販売:5月11日(木)午前10時~
  国立劇場チケットセンター(午前10時~午後6時)
  0570-07-9900/03-3230-3000(一部IP電話等)
  https://ticket.ntj.jac.go.jp/