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国立文楽劇場

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【11月文楽公演】竹本千歳太夫、竹澤團七、桐竹勘十郎が抱負を語りました!

本年が浄瑠璃作者近松門左衛門300回忌にあたることにちなみ、11月文楽公演第3部では『冥途の飛脚』を上演します。
11月4日(土)の初日に先駆け取材会を行い、『冥途の飛脚』に出演する竹本千歳太夫、竹澤團七、桐竹勘十郎が意気込みや近松作品への思いを語りました。


左から、竹本千歳太夫・竹澤團七・桐竹勘十郎

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竹本千歳太夫
(『冥途の飛脚』切 封印切の段)

「封印切の段」はこれまでにもつとめましたが、近松の文章は、字余り字足らずなところがあり、現在では通じない当時の俗語も出てくるので難しいです。近松は言葉への感度が鋭かったんでしょうね。難儀していますが、やはりさすが名作で、聴きどころも見どころも多いです。近松の作品は人物造形や内容が深いので、よくかみしめるととても面白いんです。100年後でも通用する作品だと思います。
世話物なので表現がリアルになりすぎてしまうのですが、やはり浄瑠璃としての型や形式がありますので、バランスをとれるようにしたいです。お客様に梅川のクドキ(女性が切々と心情を訴える聞かせどころ)をしみじみと楽しんでいただけるように語りたいです。



竹澤團七
(『冥途の飛脚』道行相合かご)

師匠の十代竹澤弥七が「近松の世話物が好きや」とよく言っていました。私も師匠に倣ってか、近松の世話物好きなんですよ。我々文楽座の技芸員は近松に尊敬の念を抱いて演奏・演技をしています。
文楽の三味線弾きは三味線の音色で語らないといけない、無駄な撥は一撥もないと師匠に教わりました。とにかくお客様に人物の情や風景を伝えたい、盛り上げたいという気持ちが強いです。芸術と言われるのはあまり好まず「文楽は芸能だ」と思ってやっていますが、三味線弾きが弾いた音色でお客様に作品の情景が伝わった時、そこに芸術が生まれるのではないでしょうか。いつもそういう状況になるようにやりたいですね。しっかりがんばりたいと思っております。


桐竹勘十郎
(『冥途の飛脚』亀屋忠兵衛)

忠兵衛は何度か遣わせていただきましたが大好きな役です。忠兵衛はアホな男でダメな奴ですが、やっていて非常に楽しいですね。相手役の梅川も遣いましたが、師匠の吉田簑助も近松作品の、特に女方が大好きでよく遣われていました。私もその足や左をつとめましたし、先代の吉田玉男師匠との素晴らしい舞台を何度も拝見しました。近くにいて感じたことですが、師匠は役柄を一つ一つ非常に丁寧に、大事につとめていました。師匠が大事にしていたものを引き継いで、丁寧に遣いたいです。私は人形を動かしすぎるきらいがありますので、今回は動きをおさえた忠兵衛にできたらと思っています。
300年前に近松が、当時の人々の生活の中で感じたことが作品に込められています。『冥途の飛脚』が書かれたころの時代のにおいを、舞台で少しでも出せるようにつとめたいです。

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取材会の後は、近松門左衛門の墓へ移動し、その事績を顕彰しました。



近松門左衛門墓

江戸時代に実際に起きた公金横領事件。近松はそれを、欲に溺れて冥途への道を転がり落ちていく男とそんな彼を案じる周囲の人々のドラマに脚色しました。近松屈指の世話物を、300回忌にあたる本年、ぜひ文楽劇場でお楽しみください。
11月文楽公演は他にも、深まる秋にふさわしいしみじみと胸を打つ演目揃いです。どうぞご期待ください。

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11月文楽公演
11月4日(土)~26日(日)
第1部(午前10時30分開演) 『双蝶々曲輪日記』・『面売り』
第2部(午後2時15分開演) 『奥州安達原』
第3部(午後5時45分開演) 『冥途の飛脚』

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