採用年月 | 令和3年4月 |
出身学部 | 教養学部 教養学科 |
所属部署 | 国立劇場制作部歌舞伎課制作係 |
簡単な業務内容紹介 | 主催公演(歌舞伎)の企画・制作 |
先輩職員からのメッセージ(国立劇場制作部歌舞伎課制作係 T・O)
入職を決めた理由を教えてください。
入職理由は「純粋にお芝居が好きだったから」。大学で受講していた日本文学系の授業で文楽が取り上げられ、それがきっかけで国立劇場の文楽鑑賞教室を鑑賞しました。入門者向けの解説と共に『菅原伝授手習鑑』という作品の「寺子屋」という場面を鑑賞し、芸術性の高さとお芝居としての完成度に衝撃を受けたんです。それからどんどん伝統芸能にのめり込み、文楽や歌舞伎を毎月必ず鑑賞するようになりました。
就職活動では伝統芸能に携われることを軸に据えて公的機関と民間企業を複数受け、日本芸術文化振興会の内定をいただきました。就職活動中は感染症拡大の影響であらゆる劇場の機能が停止しており、国立劇場で数か月ぶりに開催された公演を見たときの「やっとお芝居が戻ってきた!」という感動は忘れられません。日本の伝統や文化を未来へ繋ぐ公的機関である日本芸術文化振興会の存在意義を再認識し、入職を決めて良かったと心から思いました。
現在の仕事内容を教えてください。
国立劇場制作部歌舞伎課に所属し、歌舞伎公演の企画・制作を行っています。業務内容は非常に幅広く、歌舞伎俳優への出演交渉や楽屋周りの手配、そして台本作成など、公演を上演するために必要な様々なことを歌舞伎課では担当します。歌舞伎課に異動したのは入職4年目で、それまでは総務企画部総務課で文書管理を行っていました。決裁書類を日々確認し、各公演の予算などお金の流れや、組織が行っている事業の全体像を理解できたことは、現在の業務でも役立っています。
これまでの仕事で特に印象に残っているのは、若い世代に伝統芸能を親しんでもらうことを目的とした歌舞伎鑑賞教室の台本を作成したことです。演目は『義経千本桜』。お芝居の前の解説パートで、三枚目の敵役を登場させ、解説者とのやりとりを見せる構成にしました。人気アニメのネタを台本に盛り込んだところ、敵役を演じた俳優さんが、別の人気アニメの台詞も提案してくださったんです。毎日どちらの台詞にするかは客層を見た俳優さんの判断にお任せしました。目の前のお客様の心を必ず掴む役者さんの「粋」に感銘を受けると共に、公演を作り上げるやりがいをひしひしと感じました。
今後の目標を教えてください。
歌舞伎は歴史が長い分、直近の上演が江戸時代や明治時代というような演目もあり、そういった演目を現代のお客様に伝わる形で再演するには、台本を再編集する「補綴」という作業が不可欠です。日本芸術文化振興会には、長時間かけて物語の全体像を描く「通し狂言」を何度も成功させてきた補綴のエキスパートが在籍しています。ベテランの先輩方から学べる時間は長くはありません。特殊技能ではありますが、限られた時間でできるだけ多くを学び、高いレベルで補綴の仕事ができるようになりたいと思っています。
広く文化が好きな仲間たちと、歌舞伎から美術展、現代演劇に至るまでありとあらゆる芸術の話ができる日本芸術文化振興会は、私にとって理想の職場。就職活動中の学生には、「好き」を原動力にした仕事は毎日が新しい発見に満ちていると伝えたいです。新たな仲間に出会えるのを楽しみにしています!