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芸術文化振興基金

文化庁文化芸術振興費補助金助成事業令和4年度助成事業事例集

新潟ファイブ・リングス・プロジェクト

公益財団法人新潟市芸術文化振興財団 新潟市民芸術文化会館(りゅーとぴあ)(助成金額:56,262千円)

令和4年12月 専属オルガニスト、にいがた東響コーラス(市民コーラス)が出演
「東京交響楽団 第129回新潟定期演奏会」

活動概要

新潟ファイブ・リングス・プロジェクト(計画期間:H30~R4年度)は、地域の特性や当館(りゅーとぴあ)の特色などを反映した「新潟市文化創造交流都市ビジョン(計画期間:H29~R5年度:当初R3年度迄を2年延長)」に対応のうえで、下記「3つの社会的役割(ミッション)」、「5つの基本方針(ビジョン)」を掲げ、これらを具現化する方法として「5つの事業(ファイブ・リングス)」を関連性を持って展開し、ミッション実現の証左となるアウトカムの発現を目指しました。

【3つの社会的役割(ミッション)】

  • ・新潟から全国へ 世界へ発信
  • ・芸術文化を通じて「生きる力」を育む
  • ・新潟の文化を次世代へ継承し、市民の誇りにつなげる

【5つの基本方針(ビジョン)】

  • ・地域に根差した文化の創造
  • ・地域特性を踏まえ、文化で人と人をつなぐ
  • ・文化を支える人材の育成
  • ・質の高い専門性に富んだ芸術を鑑賞する機会の提供
  • ・社会的役割を果たす基盤の整備・拡充

【5つの事業(ファイブ・リングス)】

  • ・音楽事業(コア事業:準フランチャイズ・オーケストラ東京交響楽団新潟定期演奏会)
  • ・演劇事業(コア事業:りゅーとぴあ発・同プロデュース演劇公演)
  • ・舞踊事業(コア事業:国内唯一の劇場専属舞踊団Noism Company Niigata)
  • ・伝統芸能事業(コア事業:専用能楽堂を活用した能楽事業)
  • ・育成事業(コア事業:ジュニア音楽3教室、演劇スタジオAPRICOT)

助成を受けて

劇場法を踏まえた助成の趣旨である「我が国の実演芸術の水準向上、並びに地域コミュニティの創造及び再生をはじめとする様々な社会課題の解決を目指す事業計画(5年間)に対して支援します」に対応するため、前述の【3つの社会的役割(ミッション)】【5つの基本方針(ビジョン)】【5つの事業(ファイブ・リングス)】及び、ミッションの実現度を測定するための【アウトカム指標】を定め、H30年度~R4年度の5年間に渡って取り組みました。

実演芸術の水準向上の面として、東京交響楽団新潟定期演奏会では、20年以上に渡る準フランチャイズ・オーケストラという関係性を活かした新潟独自の演奏プログラムや当館専属オルガニスト、市民コーラスとの共演等をR4年度に実現することができました。同じくりゅーとぴあ発・同プロデュース演劇公演では、R1年度に「イン・ザ・プール」を制作、R4年度には「住所まちがい」を制作し新潟を含む5都市で上演し各地で好評を得ました。国内唯一の劇場専属舞踊団Noism Company Niigataでは、毎年度新作を創作・上演、R4年度は新潟県佐渡島を拠点に活動する太鼓芸能集団「鼓童」と共演の「Noism×鼓童『鬼』」を制作し、地域に根差した文化を全国5都市へ発信することができました。専用能楽堂を活用した能楽事業では、R3年度に茶道の大成者・千利休(せんのりきゅう)をテーマにした新作能「利休」を上演、能の愛好者・茶道関係者等多くの来場がありました。

令和4年7月 太鼓芸能集団「鼓童」と共演「Noism×鼓童『鬼』」 撮影:村井 勇

地域コミュニティの創造及び再生をはじめとする様々な社会課題の解決の面として、国内唯一の劇場専属舞踊団Noism Company Niigataでは「Noismオープンクラス、ワークショップ」を学校、地域NPO等と協働のうえR2年度より開始し、子供、親子、バレエ初心者、高校&大学ダンス部、視覚障がい者等、年齢や障がいの有無を越えた多様で幅広い市民が参加しました。R4年度は43回、参加者655人となり、市民同士(ダンサー等アーティストも新潟市民)の新たなつながり作りの場ともなっています。ジュニア音楽3教室(オーケストラ・合唱・邦楽)、演劇スタジオAPRICOT(子ども劇団)は通年に渡る教室及び練習活動と年2回程度の発表公演を実施することで、子どもたちにとって「家庭・学校とは異なる第3のコミュニティの場」となっており、将来の地域を担う青少年の健全な育成につながっています。また講師への地元人材活用(例.ジュニアオーケストラ教室講師15名中12名が新潟県内在住、うち7名がOG)にも取り組んでおり、文化の担い手が地域で循環するよう努めています。

令和4年7月 ジュニア邦楽合奏教室練習風景

R2~4年度にかけては新型コロナウイルス感染拡大の影響を大きく受けました。この間、東京交響楽団新潟定期演奏会は20年以上に渡る準フランチャイズの強固な関係性により日程変更等はありましたが公演を中止することはなく生の音楽を市民に届けることができました。国内唯一の劇場専属舞踊団Noism Company Niigataは、ダンサー等アーティストが新潟在住である利点を生かし活動を継続、ジュニア音楽3教室、演劇スタジオAPRICOTはR2年度は十分なコロナ対策下での活動継続と演奏会(発表会)を実施、R3年度はデルタ株の流行により活動休止を余儀なくされる期間もありましたが、活動再開指針の策定等コロナ対策の見直しを行い活動を再開し、R4年度は予定した活動と演奏会を実施することができました。

劇場法を踏まえた助成の趣旨に対応するために【社会的役割(ミッション)】【5つの基本方針(ビジョン)】【5つの事業(ファイブ・リングス)】【アウトカム指標】を、連関性をもって整理・策定すること及び指標の測定は、非常に難易度が高いですが、劇場法に基づく政策誘導型の本助成を受け事業計画に取り組み試行錯誤することで、館としてレベルアップできていると考えております。

助成の意義

公的助成を5年継続採択で受けることにより「社会における文化芸術の公益性(文化的・社会的・経済的意義等)」を意識した長期的な視点で事業計画に取り組むことができました。文化的意義としては前述の「実演芸術の水準向上の事例」等、社会的意義をしては前述の「地域コミュニティの創造及び再生をはじめとする様々な社会課題の解決の事例」等の成果をあげることができました。

アウトカムを発現するためには、当館の内部変化も必要と考えておりましたので事業計画に「専門人材(職員)の確保」と「財源の多様化」を組み込み、前者は3名の職員がH30・31年度に准認定ファンドレイザー・認定ファンドレイザー試験に合格することができました。後者はファンドレイザーの知識を基に「Noism活動支援会員・寄付会員制度の見直し(R4年度に約620万円の資金獲得)」、新たな寄付制度「芸術の未来プロジェクトの創設(R1年秋創設からの累計で約105万円の資金獲得)」を実現し、当館の【財源の多様化】に資するとともに新潟市域、特に舞台芸術分野における寄付文化の醸成に大きく貢献することができました。同時に舞台芸術分野における資金提供者獲得に大切なことは「会費や寄付金の見返り(特典)」ではなく「施設や事業の運営方針への共感」であることがわかり、資金調達を実現するための重要な知見を得ることができました。これらには経済的意義があると考えております。

今後の活動

新潟ファイブ・リングス・プロジェクトはR4年度で計画期間が終了し、ミッション実現の証左となるアウトカムの発現等一定の成果があったと考えておりますが、劇場法が目指す高みには未だ至れていないというのが自己認識です。

R5~9年度の事業計画は「五つの力を磨き実現する芸術と創造のみなと」と題し、新潟ファイブ・リングス・プロジェクトを「新潟地域の特性」「当館の強み・特色」を踏まえ『より新潟らしく』ブラッシュアップしたもので、本助成の5年採択を受けることができました。当館には「社会における文化芸術の公益性を更に高めていくこと」が求められている、それ故の5年採択と考えておりますので、新たな事業計画で掲げた「改めて劇場法を踏まえて再構築したミッション」の実現にステークホルダーと協働しつつ、邁進してまいります。

公益財団法人新潟市芸術文化振興財団 新潟市民芸術文化会館(りゅーとぴあ)