助成事業事例

芸術文化振興基金助成事業令和3年度助成事業事例集

第6回ジュニア浄瑠璃フェスティバル

徳島県(助成金額:1,080千円)

左:第1回ジュニア浄瑠璃フェスティバル(犬飼農村舞台)
右:第6回ジュニア浄瑠璃フェスティバル(阿波市交流防災拠点アエルワ)

活動概要

「人形浄瑠璃」は日本固有の人形劇で、古典芸能のひとつです。江戸時代の初め(約400年前)から上方(関西)を中心に発展しました。「太夫」と「太棹三味線」の伴奏で物語が語られる「浄瑠璃」に合わせて人形を遣うので「人形浄瑠璃」と呼びます。

人形遣いの本場である淡路島は、当時徳島藩の領地でした。阿波藍で莫大な富を得た藍商人の財力と歴代藩主の保護を受けた淡路島の人形座は、徳島城下で多くの興業を行い、徳島に広がり、小屋掛けの仮設舞台や常設の農村舞台で盛んに公演が行われました。「阿波人形浄瑠璃」の特徴は、野外公演や夜間に上演されることが多かったため、客席からも見えやすいように頭、手足、胴体が大きく創られているところです。

平成11年(1999年)に阿波人形浄瑠璃は国の重要無形民俗文化財に指定されましたが、近年、伝統芸能の担い手の高齢化や減少が課題となっています。そこで、阿波人形浄瑠璃に取り組む生徒や児童の活動を活性化させることで、伝統芸能に取り組む若い世代を増やし、技術向上と文化財保護の高揚を図るため、「ジュニア浄瑠璃フェスティバル」を開催しています。平成28年に国指定重要有形民俗文化財 犬飼農村舞台で開催して、第6回目を迎えました。

助成を受けて

令和3年度は、吉野川流域で盛んに行われてきた伝統舞台「小屋掛け」を再現したセットで、第6回ジュニア浄瑠璃フェスティバルを開催しました。また、それぞれの演目に合わせた舞台セットや照明で演出し、上演中の内容が誰もがわかるようにモニターで演目の内容を表示しました。司会は、あわっ子文化大使(郷土徳島の文化や文化財について学び、ふるさとを愛し、大人になってからも、徳島の文化について誇りを持って、県内外で発信できる中学生。本人の希望をもとに、作文や検定の結果により知事が認定)が行い、プロの人形遣いの勘緑氏が軽快な話術で講評し、小学生、中学生、高校生を激励しました。

出演校と演目

・徳島県立小松島西高等学校勝浦校民芸部「壺坂観音霊験記 沢市内の段」
・徳島市川内北小学校+平成座ジュニアクラブ「傾城阿波の鳴門 順礼歌の段」
・徳島県立那賀高等学校人形浄瑠璃クラブ「えびす舞」
・兵庫県立淡路三原高等学校郷土部「増補大江山戻り橋の段」
・徳島市川内中学校民芸部「傾城阿波の鳴門 順礼歌の段」
・徳島県立城北高等学校民芸部「艶容女舞衣 酒屋の段」

新型コロナウイルス感染症対策として、事前申込により受付を行い、入場者数の制限を実施しました。

来場者のアンケートでは、浄瑠璃フェスティバルの満足度は、「大変良かった」と「良かった」を合わせて、99.9%と高評価をいただきました。また、感想として「若い方々が伝統芸能に魅せられ活動している姿を見られるのは嬉しいことです」や「各地域でのそれぞれのカラーがあって面白かった」、「小学生、中学生、高校生、そして地域の大人や先生の御指導と伝統芸能が脈々と引き継がれていくきずなの強さも感じました」などありました。

今後も引き続き、この活動で育った人材が将来、地域の伝統芸能における新たな伝承者となるように取り組んでいきます。

左:徳島県立那賀高等学校人形浄瑠璃クラブ「えびす舞」
右:徳島県立小松島西高等学校勝浦校民芸部「壺坂観音霊験記 沢市内の段」

徳島県教育委員会学校教育課 教育文化創造担当

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