日本芸術文化振興会トップページ  > 鑑賞教室  > 歌舞伎・文楽鑑賞教室(東京)  > 事前学習のご紹介 千代田女学園高等学校 様

鑑賞教室

ご利用校の取り組み

鑑賞教室ご利用校の取り組みを取材させていただきました。

取材先 千代田女学園高等学校(1年生)
平成20年12月文楽鑑賞教室(演目「二人三番叟」「解説 文楽の魅力」「菅原伝授手習鑑‐寺入りの段・寺子屋の段‐」を観劇)

1.事前学習について

実際の観劇に先立ち、校内で行われた事前学習の模様を見学させていただきました。
(平成20年11月26日 午前8時40分~午前9時30分)


授業の模様1
先生が説明に合わせ画面を操作し、生徒は机上のモニタを視聴。

授業は「マルチメディア教室」にて行われ、国立劇場が配信するWeb教材「文化デジタルライブラリー(以下、文化DL) 舞台芸術教材」をモニターで見せながら、先生が (1)文楽の基礎知識 (2)鑑賞演目「菅原伝授手習鑑」のあらすじ (3)菅原道真の人物像と天神信仰 の各項目について説明しました。


授業の模様2
「百人一首にある道真の和歌は?」との先生からの問いかけに、スラスラと暗誦できる生徒がいたのが印象的でした

(1)「文楽の基礎知識」では、文化DLの映像を用いて、文楽を構成する大夫・三味線・人形の「三業」や、人形の首(かしら)の仕掛けを紹介し、文楽への具体的なイメージを持たせることを重視した内容でした。

(2)「あらすじ」では、実際に観劇する「寺子屋の段」に至るまでの過程や、その後の物語の展開を説明し、物語全体の理解を促しました。

続く(3)「菅原道真の人物像と天神信仰」では、日本史や古文で学んだ内容との関連付けが重視されていました。また、都内の湯島天神、亀戸天神や学校近隣の平河天満宮を例に、学問の神としての道真にも言及し、鑑賞演目をより身近に感じさせるための情報が盛り込まれました。

使用教材

1. 文楽の基本的知識

(左図)文楽の概要
文化DL≫舞台芸術教材1≫文楽編1≫「はじめての文楽」

(左図)かしらのしかけ
文化DL≫舞台芸術教材1≫文楽編2≫「とことん文楽人形」≫「かしら」≫「かしらのしかけ」

2. 菅原伝授手習鑑のあらすじと人間関係

(左図)全段のあらすじ
文化DL≫舞台芸術教材3≫演目解説「菅原伝授手習鑑」≫「菅原伝授手習鑑コース」≫「あらすじ」

(左図)主な登場人物
文化DL≫舞台芸術教材3≫演目解説「菅原伝授手習鑑」≫「菅原伝授手習鑑コース」≫「主な登場人物」

3. 菅原道真の解説と天神信仰について

(左図)菅原道真人物像
文化DL≫舞台芸術教材3≫演目解説「菅原伝授手習鑑」≫「菅原道真コース」

(左図)天神信仰
文化DL≫舞台芸術教材3≫演目解説「菅原伝授手習鑑」≫「天神信仰コース」

2.先生、生徒の皆様の声

観劇後にアンケートをお願いし、先生、生徒の皆様に感想を聞きました。

(1)先生の回答から

質問

学校行事に文楽鑑賞教室を選んだ理由を教えてください。

答え

本校では、文楽・歌舞伎・能と伝統芸能の鑑賞を行っています。日本の文化を後世に伝えるためと、国際社会の中で自国の文化を知り、紹介できることを目的とし、分かりやすい鑑賞教室を選んでいます。

質問

文楽鑑賞教室を観劇して、どのような感想を持ちましたか。

答え

(一般のお客様と一緒に鑑賞したので、生徒が)きちんと観劇できるか不安でしたがかなり熱心に観ていたように思います。

質問

事前学習についてどのようにお考えですか。

答え

演目に少しでも興味が持てるように必要最低限の筋は教えていきたいと考えています。予備知識があるとそれだけ意欲的な鑑賞ができます。

(2)生徒の皆様の声

質問

文楽鑑賞教室を観劇して、どのような感想を持ちましたか。

答え

  • 私は、人形の動きがとても素晴らしいと思いました。舞台を見ているだけでは内容が分からなくなってしまうと思っていましたが、人形には表情がないにも拘らず、細かな動きまで再現されていてその時その人物が一体何を考えていたのか、何を思っていたのかがとてもよく分かり、(文楽に対する)自分のイメージと全く違っていたので驚きました。
  • 一番感動したことは、大夫が登場人物のセリフも言い、その場の情景の説明もしていたことに、とても驚きました。とても感情がこもっていて、すごいなと思いました。
  • 話の内容は少しかわいそうだった。松王丸は自分の子どもを菅秀才の身代りにしたけれど、今の世の中じゃ考えられないことだと思う。
  • 普段日本の文化に日本人でありながら触れる機会がないので、文楽がどういうものかも知らなかったけど、くわしく、おもしろく教えてくれたのでとても分かりやすかった。<中略> 外国で生まれたミュージカルや映画もおもしろいけど、日本にはこんな独特な劇があって残っていることや、外国に流されず、染まらずに存在していたことが、私はなんだかもっと日本が誇らしく、好きになった。

質問

事前学習を受けて役に立った部分を教えてください。

答え

  • まず事前にストーリーを説明されていたのでなんとなく分かりやすかったです。(観劇当日も「解説 文楽の魅力」で)舞台でももう一度説明をしてくれたので忘れていた部分もちゃんとわかって良かったです。
  • 事前学習の映像で「人形に目がいきがちですが大夫と三味線が人物の言葉なども担当しているから見ましょう。」と言っていたので、そっちも注意して見られたと思いました。

※回答は原文の一部を抜粋し、誤字等訂正、補足を括弧書きの上掲載しています。

(3)留学生から見た日本の伝統芸能

ニュージーランドからの留学生に、日本の伝統芸能を鑑賞して感じたことを聞きました。


リリー・サンダーソンさん

私は日本に来て、日本の伝統的な三つの伝統芸能、歌舞伎・能楽・文楽を鑑賞することができ、とてもうれしく思っています。歌舞伎については、ニュージーランドでも多少学びましたが、文楽や能については知識がありませんでした。

(文楽)

まず1つの人形を3人の人形遣いが操っていることに驚きました。そして本当の人間のように表情があり、実際に小物も使っている様子に、とても興味を持ちました。ソロの三味線や大夫の吟唱(声のトーンの違いなど)、心から楽しむことが出来ました。

(歌舞伎)

非常に大きな舞台とセリ、場面によって動くステージの効果に驚きました。また役者の動きも大きく衣裳は色鮮やかで豪華なものでした。男性が女性の役を演じることに最初、違和感がありましたが、また別の魅力を感じました。

(能楽)

能の役者が初めて舞台に現れた時の印象が忘れられません。そしてゆっくり静かな動き、エキゾチックな衣裳、面など、とても心に残りました。鼓や笛の音色も美しかったです。

以上、こうした貴重な体験を通して日本文化の歴史をより一層理解することができたと思います。

※英文の感想文を和訳の上、全文掲載しています。