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歌舞伎公演ニュース

2026年7月7日

【7月歌舞伎鑑賞教室】

『神霊矢口渡』頓兵衛住家の場
好評上演中、

大田区民ホール・アプリコで15日(水)まで!

(舞台写真あり)

 大田区では初めての歌舞伎鑑賞教室の開催となる7月は、大田区の史跡「矢口の渡し」にゆかりの演目『神霊矢口渡』頓兵衛住家の場を上演します。大田区民ホール・アプリコで、初日の幕が開きました!
 お芝居の前には『解説 歌舞伎のみかた』もあり、歌舞伎を初めてご覧になる方にも分かりやすい解説付きの公演です。中村鴈治郎が渡し守頓兵衛を勤め、坂東新悟が初役でお舟に挑むほか、充実した顔ぶれでお届けします。

 舞台写真とともに、公演の魅力をご紹介します。

◆◆◆

 『解説 歌舞伎のみかた』のご案内は、中村萬太郎です。歌舞伎独特の表現方法やあらすじなどを、演目にちなんだあの人物にも特別に登場してもらいながら、楽しくご紹介しています。

解説をする中村まんたろうと平賀源内

『解説 歌舞伎のみかた』
(中村萬太郎[左])

◆◆◆

 続いて、『神霊矢口渡』頓兵衛住家の場の上演です。『神霊矢口渡』は江戸の才人・平賀源内による作品で、南北朝の動乱を描いた『太平記』を題材にしています。今回上演する場面「頓兵衛住家」では、大田区・多摩川にあった「矢口の渡し」を舞台に、お客を乗せて川を行き来する渡し守(船頭)の頓兵衛と、その娘・お舟を中心に物語が展開します。

 ここは矢口の渡しの近くにある頓兵衛の家。頓兵衛は、南朝方の武将・新田義興の船に穴を開けて殺した褒美のお金でぜいたくな暮らしをしています。
 そこへ、義興の弟・新田義峰(中村萬太郎)と、その恋人の傾城うてな(中村玉太郎)が訪ねて来て、頓兵衛の家とは知らずに一晩泊めてほしいと言います。留守番をしていたお舟(坂東新悟)は、表へ出て義峰を一目見るとたちまち恋に落ちてしまい、二人を家に招き入れます。
 義峰の美しさに想いを募らせながら、連れの女性の存在にやきもきするなど、初々しい恋心をかわいらしく表現するお舟の演技にご注目ください。

戸を開けよしみねと出会うおふね
『神霊矢口渡』頓兵衛住家の場
[左より]傾城うてな(中村玉太郎)、
新田義峰(中村萬太郎)、
娘お舟(坂東新悟)

よしみねとうてなを部屋に招き入れたおふね"
『神霊矢口渡』頓兵衛住家の場
[左より]娘お舟(坂東新悟)、
新田義峰(中村萬太郎)、
傾城うてな(中村玉太郎)

 お舟は義峰と二人になると、恋心を大胆に伝えます。兄が命を落としたこの場所で渡し守が立派な家に住んでいることを怪しむ義峰は、その理由を探ろうとお舟の思いを受け入れる素振りを見せますが、二人は急に不思議な力により気を失ってしまいます。それを目にしたうてなが、義峰の持つ新田家の神聖な旗を取り出し開くと、二人は目を覚ましました。

よしみねに思いを伝えるおふね
『神霊矢口渡』頓兵衛住家の場
[左より]娘お舟(坂東新悟)、
新田義峰(中村萬太郎)

 門口からひそかに様子をのぞいていたのは、この家で下働きをする六蔵(中村亀鶴)です。義峰が持つ旗を見て、彼こそ今追われている義峰だと気が付き、すぐに捕えようとする六蔵。しかしお舟にとりなされ、ひとまず頓兵衛に知らせに行くことにします。
 六蔵をうまく立ち去らせたお舟は、義峰の命を助けたい恋心と、褒美の金目当てに彼を捕らえようとする父との間で思い悩みます。義太夫節の演奏にのせて情感豊かに表現されるお舟の苦悩の演技にご注目ください。

おふねに手を取られ喜ぶろくぞう
『神霊矢口渡』頓兵衛住家の場
[左より]娘お舟(坂東新悟)、
下男六蔵(中村亀鶴)

 知らせを聞いた頓兵衛(中村鴈治郎)が六蔵と一緒に戻ってきました。頓兵衛は、二階にいるはずの義峰に床下から刀を突き立てます。しかし、頓兵衛が刺していたのはお舟でした。二人をどこへやったと怒り狂う頓兵衛に、改心してほしいと嘆くお舟。しかし、頓兵衛は今更根性が治るものかと開き直り、追っ手を呼ぶ狼煙(のろし)を上げて義峰を追いかけます。
 この時、頓兵衛は刀のつばを鳴らしながら、「蜘蛛手蛸足(くもでたこあし)」と呼ばれる特殊な走り方で花道から去っていきます。独特の扮装や演技による、歌舞伎ならではの悪役の表現をお楽しみください。

刀を持ち怒るとんべえと大きく背中を反らせるおふね
『神霊矢口渡』頓兵衛住家の場
[左より]娘お舟(坂東新悟)、
渡し守頓兵衛(中村鴈治郎)

よしみねを追ってくもでたこあしという独特の演技で走り去るとんべえ
『神霊矢口渡』頓兵衛住家の場
渡し守頓兵衛(中村鴈治郎)

 残されたお舟は、深手を負い苦しみながらも、義峰を捕えた合図となる太鼓を打てば包囲網が解かれるはずだとひらめき、最後の力を振り絞り、櫓を登っていきます。一方、舟を漕いで義峰を追いかける頓兵衛。思いがけない奇跡により、物語は意外な結末を迎え……!?

太鼓を打とうとするおふね
『神霊矢口渡』頓兵衛住家の場
娘お舟(坂東新悟)

◆◆◆

 強欲非道な父から愛しい人を命がけで守る純真な娘の悲恋と奇跡の物語を、ぜひ劇場でご堪能ください。
 予備知識をコンパクトにまとめた鑑賞の手引きやイラスト入りプログラムの無料配布もあり、初めての歌舞伎鑑賞にもぴったりです。
 また、全日程が「親子で楽しむ歌舞伎教室」としても開催され、親子向けの特別割引がございます。
 皆様のご来場をお待ちしております。

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