国立文楽劇場友の会

イベントレポート

第136回文楽のつどい
「スタンプラリー!&『心中宵庚申』ゆかりの地 銀山寺にて特別講座開催!」
<国立文楽劇場友の会>

12月1日から初春文楽公演の千秋楽1月26日まで、文楽にゆかりのある社寺を巡るスタンプラリーを開催しました。
今回巡っていただいたのは『心中宵庚申』ゆかりの銀山寺、『夏祭浪花鑑』ゆかりの高津宮、『仮名手本忠臣蔵』ゆかりの吉祥寺、『曽根崎心中』ゆかりの露天神社(お初天神)、『菅原伝授手習鑑』ゆかりの大阪天満宮の5か所です。
完走された方々には初春文楽公演中に国立文楽劇場で記念品をお渡ししました。参加者からは「文楽の聖地巡礼ができて楽しかった」「大好きな演目のゆかりの社寺をお参りすることができた」等の感想をいただきました。

(イラスト:中西らつ子)

1月19日(日)には銀山寺の本堂で、特別講座を開催しました。
銀山寺は1591年、豊臣秀吉の城下町建設で創建された秀吉ゆかりの寺で、観光寺院ではないため普段は本堂に入ることはできませんが、今回は本堂を特別講座の会場でお借りし、ご住職から仏像や欄間などもご紹介いただき、たいへん貴重な機会となりました。
銀山寺ご住職の末高隆玄氏からは、お千代・半兵衛の心中事件に関する後日談についてお話いただきました。江戸時代に二人の供養のために建てられた石塔のこと、当時心中はご法度でその石塔の関係者が幕府から処分されたこと、また取り調べがお千代の檀那寺であった銀山寺にも及んだことなどをお話しいただきました。

(御住職の末高隆玄氏)

つづいて広瀬依子氏(追手門学院大学上方文化笑学センター長)より『心中宵庚申』について講演いただきました。
お千代と半兵衛の心中は、当時は誰もが知る有名な事件であり、江戸時代のみならず多くの作家がこの実話を元に1980年代にはテレビドラマが作られたことなどをお話しいただきました。

(広瀬依子氏)

その後の対談では、初代吉田玉男(重要無形文化財保持者(人間国宝))は、お千代と半兵衛の比翼塚があり、国立文楽劇場にも近いので、銀山寺に墓を作ることを決めたエピソードなどのお話もお二人からうかがいました。
参加者からは半兵衛の墓についての質問があり、ご住職から半兵衛の墓は銀山寺にはなく、お千代については銀山寺の過去帳に土葬との記録があり、墓地整理の時に掘ってはみたが、遺骨は見つからなかったというお話をうかがいました。
そして最後に抽選で国立文楽劇場オリジナルカレンダー等をプレゼントしました。
特別講座終了後には多くの方々がお千代・半兵衛の比翼塚と初代吉田玉男のお墓にお参りされました。

(対談の様子)

(お千代・半兵衛の比翼塚。お千代は身ごもっており、塚には「離身童子」とも記されている)

(人形遣いで人間国宝の初代吉田玉男の墓。講座参加者もお花をお供えされました)

国立文楽劇場友の会では、これからも日本の伝統芸能について、いろいろな楽しみ方を提案してまいります。次回の開催にご期待ください。