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【8・9月文楽】吉田勘彌・吉田玉助・吉田玉佳が『菅原伝授手習鑑』を語る!

8・9月文楽公演の第一部・第二部では、『菅原伝授手習鑑』の三段目から五段目を上演しています。
5月公演から続く通し上演の後半で、菅丞相が配流されたその後を描いています。

様々な魅力的なキャラクターによって展開していくこの作品。
その中でも、梅王丸・松王丸・桜丸の三つ子は物語の中心となる重要な役どころです。
本公演で桜丸を遣う吉田勘彌、松王丸を遣う吉田玉助、梅王丸を遣う吉田玉佳が『菅原伝授手習鑑』について語りました。

◆◆◆


『菅原伝授手習鑑』は言わずと知れた名作です。8・9月公演では、5月から引き続き、上演が稀な場面を含めた完全通し上演をお楽しみいただいています。


桜丸を遣う吉田勘彌

吉田勘彌「このお話は父と子の物語だと思います。白太夫と三つ子、菅丞相と苅屋姫、松王丸と小太郎など、親子の中でも父親に焦点が当たっていて。父親の子供に対する想いが全編にあるような気がします。」



松王丸を遣う吉田玉助

吉田玉助「親に対する情愛が描かれた作品ですね。また、前半の加茂堤の段で前髪のある子どもっぽいところから始まり、後半ではかなりの苦悩が描かれます。通し上演で全段ご覧いただくと、変化をお分かりいただけると思います。」



梅王丸を遣う吉田玉佳

吉田玉佳「お二人にみんな言われてしまいました(笑)。やっぱり親子の情愛じゃないですか。それと葛藤ですね。親子や兄弟の切っても切れない関係を切るという葛藤も見どころです。」


重要な役どころである三兄弟は、三つ子でありながら人形の大きさやかしらも異なり、それぞれ個性のあるキャラクターとして描かれています。

勘彌「このかしらの違いがそのままキャラクターの違いを表しています。桜丸は“若男”というかしらです。桜丸は決して身分の高くない舎人です。しかし、彼が自らの犯した罪から義理を果たすために自らの命を絶つという覚悟をした結果、その最期には品格が感じられます。桜丸は佐太村に来た時には既に半分死んでいるのではないか、だからこそ「桜丸切腹の段」には、本質の人間性が出てきていると解釈しています。桜丸の持っている性根があの品格に繋がるのです。そう思うと自分自身も納得できました。」


桜丸切腹の段


玉助「松王丸は三兄弟の中で唯一子供がいて、それもあってしっかりしているように思います。かしらは“文七”です。松王丸はかしらをあまり動かしたらあかん、と言われます。どしっと肚を据えて遣う役どころで、特に寺子屋の段では余計にそうする必要があります。自分の子供を菅秀才の身代わりとして差し出し、子供と忠義の狭間で自分では解決できないような気持ちが渦巻いてきます。本公演で勤めるのは今回で2度目ですが、難しい役だなと思いますね。」


寺子屋の段


玉佳「梅王丸は実直な印象です。かしらは“検非違使”で、ピシっと決めるところは決める遣い方をしています。松王丸と喧嘩をして追い出されてからも隠れて桜丸の切腹を見届けたり、天拝山の菅丞相のもとへ向かったり……桜丸や松王丸のようなここぞ、という場面はあまりありませんが、各方面の状況や人々を見守る、優しさを持っていると思います。」


天拝山の段


物語には三兄弟の父・白太夫も登場し、柔らかい人柄や厳格な父としての姿を見せます。


天拝山の段


勘彌「白太夫は茶筅酒の段での滑稽な雰囲気から、真逆の悲劇へ巻き込まれていきます。桜丸は切腹の覚悟を決めて一番朝早く白太夫に会いに行っているわけですので、桜丸切腹の段でのれんから出てくるところでは、立ち姿や小さな視線の動きで父や兄弟への気持ちを意識しています。」

玉助「松王丸が白太夫と関わるのは訴訟の場面のみですが、嫁たちに対する顔と、三兄弟に対する顔が全然違うなと思います。息子たちにとっては、とにかく怖い父親だったんだと思います。」

玉佳「梅王丸は三兄弟の中でも白太夫と一番近い存在です。同じく丞相に仕えていますし、桜丸が切腹した後を頼まれるなど、長男と父の信頼関係がありますね。また、一番近いからこそ厳しい部分を一番知っているんじゃないかなと思います。」

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ぜひ三兄弟の個性の違い、それぞれの気持ちへの思い入れも注目してお楽しみください。
8・9月文楽公演は24日(日)まで!

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