'

日本芸術文化振興会トップページ  > 国立劇場あぜくら会  > 国立劇場3月花形歌舞伎公演『新皿屋舗月雨暈‐お蔦殺しと魚屋宗五郎‐』 特別インタビュー 祖父や親父の力を借りて・・・ 尾上松緑

トピックス

国立劇場3月花形歌舞伎公演
『新皿屋舗月雨暈‐お蔦殺しと魚屋宗五郎‐』 特別インタビュー
祖父や親父の力を借りて・・・ 尾上松緑

3月花形歌舞伎公演『新皿屋舗月雨暈‐お蔦殺しと魚屋宗五郎‐』で、初役で宗五郎を演じる尾上松緑さんが、役にかける意気込みを語りました。

宗五郎の“想い”を大切にしたい

尾上松緑
尾上松緑

宗五郎は、祖父(二代目)や親父(三代目)が演じた役の中でも、特に思い入れのあるものです。この役を勤めることは、有り難いと同時に恐れ多くもあり、身の引き締まる思いです。

宗五郎は、江戸の町で日々の暮らしを送る、家族思いの庶民です。そして、妹お蔦を犠牲にして幸せを手に入れたことが負い目になってもいます。歳は今の僕と同じか、少し若いくらいでしょうか。宗五郎が生きてきた道筋、そこから滲み出る想いを大切にしながら、菊五郎の兄さんのご指導に従い、行儀よく演じていきたいと思っています。

“芸を継ぐ”ということ

尾上松緑
尾上松緑

今回の舞台では、湯呑みや片口といった小道具は、かつて祖父がこの芝居で実際に用いていたものを使おうと思っています。祖父や親父の力を借りている、という気持ちになりますね。同時に、“芸を継ぐ”ということも実感できる。とても重いことですが、変にプレッシャーを感じることなく、役に向き合いたいですね。

最近楽屋で、「ふとした仕草が先代や先々代に似ている」と言われることもあります。菊五郎の兄さんから教えていただく宗五郎の中にも、祖父や親父の匂いが自然に出てくるのではないでしょうか。これらのものが自分の中で化学変化を起こすように一体となった時、僕の宗五郎の基礎ができあがることになるのでしょう。今回の公演はその第一歩となるものです。役を突き詰めて、丁寧に。目の前の一言一句に集中して演じていきたいですね。