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文楽三味線鶴澤清介さんを迎えて、「あぜくらの集い」を開催しました。

12月7日、文楽三味線の鶴澤清介さんをお迎えして、あぜくら会員限定のイベント「あぜくらの集い」が開催されました。国立劇場では開場以来初の上演となる『伊達娘恋緋鹿子』八百屋内の段を勤める清介さん。文楽との出会いや、三味線弾きならではの熱い視線など、魅力たっぷりに語られたお話をダイジェストでレポートします。

中学生の時にハマった文楽

鶴澤清介さん

私は生まれも育ちも大阪です。文楽に興味を持った大きなきっかけは、八世竹本綱大夫師匠の義太夫をラジオで聴いたことでしょうか。もともと、噺家になりたいと思っていた時期もあって「語り」への興味は持っていましたが、綱大夫師匠の語りは何度聞いても新鮮な発見があり、あっという間にその魅力に取りつかれてしまいました。泣くということ一つとっても、悲しさ、悔しさ、うれしさなど様々な感情がこもっていて、素直に感動したのを覚えています。

ラジオで義太夫に出会う前、日本文学全集に出ていた浄瑠璃の丸本を活字で読んで、面白いと感じたことがありました。文楽を聴くようになって、大夫の語りや三味線の節がついて、ますますわくわくしましたね。宝塚歌劇なども同じだと思うのですが、感情が高じてくると、セリフの語尾がだんだんとのびて、“歌”になる。この伸びやかな感情表現が、文楽と宝塚との意外な共通点ではないでしょうか。

長く続けているからこそ気づく瞬間がある

文楽の三味線を始めて、40年ちかくになりますが、これだけ長く続けていても新たな発見が必ずあります。例えば、ばちの角度であったり、指のおさえの位置など微妙な加減で三味線の音色は変わります。長く三味線を続けているからこそ、「わかった」、「技術として習得できた」、と思えることがありますね。
また、大夫との演奏でも、語りと三味線の音が、追いかけっこをしながら絶妙なバランスで調和する、そのコツのようなものは続けていることによって気づくものだと思いますね。

三味線を演奏する鶴澤清介さん

劇場にお越しいただいたら、文楽ですから悲しいお話に泣いたりして、でも最後は本当に楽しんで帰っていただけたら嬉しいですね。今月は国立劇場では初上演となる『伊達娘恋緋鹿子』八百屋内の段というめずらしい演目がかかっていますので、この機会にぜひご来場ください。

清介さんの文楽にかける情熱や独自の視点が、楽しい語り口と共にたっぷり語られた1時間。軽妙洒脱なお話で、絶えずお客様の笑いに満ちていた今回のあぜくらの集いでした。
あぜくら会では、今後もこのような会員限定イベントを随時企画していきます。皆様のご参加をお待ちしております。