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絵入根本「文月恨切子」の公開について


 国立劇場では、伝統芸能の調査・研究事業のひとつとして、平成21年度から「正本写合巻集」を刊行してまいりました。「正本写」とは、幕末期の江戸の出版物である合巻(長編の草双紙)のうち、歌舞伎で上演された脚本を小説風に直して出版されたものです。脚本そのままではありませんが、現在、脚本が失われている演目については、これによって詳しい内容を知ることができ、草双紙の特性として、見開きごとに大きな挿絵が入っているので、初演時の演出を知ることができる貴重な資料として刊行を続けてまいりました。

 一方、上方においては、文化・文政、天保期を中心に、歌舞伎脚本をそのままの形で出版する「絵入根本」というものがありました。根本というのは脚本のことで、口絵、挿絵は少なく、文字が主体の刊行物です。現在、60点弱ほどの作品が確認されており、なかには、すでに活字化されて簡単に読めるものもありますが、多くは活字化されていないため、内容を知るのが困難でした。

 このたび国立劇場では、将来の復活狂言のための準備として、さらに近世演劇研究のための資料整備として、鶴屋南北や河竹黙阿弥等の江戸の作品に対し、これまで資料整備が遅れてきた上方歌舞伎の資料を活字化する必要があると考え、上方系の「絵入根本」を公開することとなりました。

 第一巻として公開する「文月恨切子」は平成16年に当時の国立劇場芸能部文芸室において将来的な復活狂言の候補として翻刻した作品であり、今回公開にあたり、北川博子先生はじめこれまで絵入根本を研究してきた研究者の方々に改訂及び校訂をお願いしました。

 公開については、公演制作及び演劇研究資料として広く活用していただけるよう、文化デジタルライブラリーにおいて電子図書として公開いたします。今後も国立劇場が収集した絵入根本を中心に、内容の充実を図るとともに継続して公開をすすめる予定です。
 

国立劇場調査養成部調査資料課

 
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