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国立能楽堂

トピックス

【千駄ヶ谷だより】7月公演が間もなく発売開始です!

 間もなく発売開始となる、国立能楽堂7月主催公演のラインナップをご紹介いたします。盛夏の頃、皆様のご来場をお待ちしております。

 7月は《狂乱の系譜》と題した月間特集で、心が高ぶって狂乱の態となった人物をシテ(主人公)とする“物狂い”の能をご覧いただきます。

6日(水) 定例公演  午後1時開演

骨皮

 師匠が隠居することになり、後継者として寺を任された新発意(しんぼち=新米僧)。師匠は、寺の維持に大切なことは檀家あしらいだと教えます。そこに檀家が傘を借りに来たので、新発意が新品の傘を貸してやると、「そういう時は、あいにくと大風に吹かれて骨と皮(地紙)がばらばらになってしまったのでお貸しできませんと断わるものだ」とダメ出しが出ます。次に、馬を借りに来た檀家が来ましたが、新発意は先ほど教えられたとおり答えてしまい…。

籠太鼓

 松浦某は、口論の末に人を殺めてしまった家人の関清次を牢に閉じ込めますが、清次は脱獄してしまいました。某は清次の妻を引っ立て、夫の代わりに牢に閉じ込めると、牢番に油断をしないよう牢に掛けた鼓を一刻ごとに打って見張れと命じます。
 やがて幽閉された妻が狂乱の態となり、あわれに思った某は扉を開けてやります。妻は、夫への思いに駆られて鼓を打って舞います。心打たれた某がついに清次の罪を許し、夫婦は元通りの暮らしを取り戻すのでした。

9日(土) 普及公演  午後1時開演

とちはくれ

 ある朝、寺の住持(住職)のもとにふたりの檀家から勤行の依頼が来ます。一方は「布施はないがお斎とき(食事)を差し上げる」と言い、もう一方は「お斎はないが布施を用意する」と言います。どちらに行くべきか長々と悩んだ末に、住持はお布施をいただける檀家へと向かいました。けれど、もう別の僧に勤行をしてもらったと追い返されて、住持はもう一方の檀家へと向かいますが…。

百万

 今日は嵯峨野・清凉寺の大念仏の日です。境内は釈迦堂にお参りする人々で賑わい、そのなかに母と生き別れになった子どもを連れた僧がいます。何か面白い芸を見たいという僧の所望に応えて、門前の者が百万という女芸人を呼び出します。行方不明のわが子を思う気持ちが募った百万は、物狂い(心が高ぶった状態)となって謡い舞います。やがて百万は、僧が連れている子どもがわが子だと知らされます。再会を果たした母と子は、阿弥陀如来の法力に感謝し、ともに帰っていくのでした。

20日(金) 定例公演 午後5時30分開演

御冷

 あまりに暑いので、参詣かたがた東山の清水に涼みにきた主人。滝の前で、伴ともの太郎冠者に「お冷やしを掬んでこい」と命じます。気取ったその言葉に、「水を汲む」でいいではないかと物言いをつけ、さらに西行の歌まで持ち出してくる太郎冠者に、主人も負けじと言い返し…。さて、この争い、どう落着するのでしょうか?

芦刈

 零落し、心ならずも妻と別れた日下左衛門。一方、今は高貴な家の若君の乳母となっている妻は、夫の行方を捜しに津の国・日下の里へとやってきます。そこに通りがかった蘆売りは、求められるままに蘆や土地にまつわる故事を語り、「笠尽くし」の芸を見せます。その様子を見ていた妻は、この蘆売りこそ夫だと気づきますが、夫は今の自分を恥じて身を隠してしまいます。やがて妻とのやりとりに心を開き打ち解けた左衛門は、烏帽子直垂に着替えて再会を祝って颯爽と舞い、妻とともに都へと上って行くのでした。

28日(木)・30日(土) 特別企画公演 午後1時開演

◎能を再発見する

賀茂物狂

 東国見物に出かけたまま三年もの間もどらない夫への思いを断ち切ろうと、女が上賀茂社にやってきます。すると末社の岩本明神の「再会を待て」という神託があったので、女は希望をもってその場を立ち去ります。
 後日、ようやく帰京した夫が五条あたりの自宅にもどってみると、妻は物詣に出たまま行方がわからなくなっていました。折しも今日は賀茂の祭礼の日。男は賀茂の社へと向かってみることにします。するとそこで、帰らぬ夫への思いを募らせて物狂いとなった女と出会います。言葉を交わし、その狂乱の舞を見るうちに、男は女が自分の妻であることに気づきます。やがて女も男が夫であることに気がつきますが、恥ずかしさに名乗り合うことができません。そうしてふたりは、互いに知らぬふりをしながら、五条のわが家へと帰って行くのでした。
 観世流では上演が途絶えていたこの作品は、宝生流・金剛流・喜多流の現行曲(レパートリー)になっていますが、いずれも前場を割愛した形です。今回は、観世流宗家・観世清和師をシテに迎え、前場も含めた完全版で復曲上演いたします。

【文/氷川まりこ(伝統文化ジャーナリスト)】

●7月公演発売開始日
  • ・電話インターネット予約:6月10日(金)午前10時~
  • ・窓口販売:6月11日(土)午前10時~
 ※令和4年度よりチケット予約開始日が変更になりました。

  国立劇場チケットセンター(午前10時~午後6時)
  0570-07-9900/03-3230-3000(一部IP電話等)
  https://ticket.ntj.jac.go.jp/