公式アカウント
チケット購入
English
国立能楽堂

トピックス

【千駄ヶ谷だより】国立能楽堂1月主催公演がまもなく発売です!

 まもなく発売となる国立能楽堂1月主催公演のラインナップをご紹介いたします。1月7日(土)定例公演では、能舞台には注連縄をはり、各所にお正月飾りを飾るなど、賑々しく新年を寿ぎます。新春の国立能楽堂へ、皆様のご来場をお待ちしております。

竹生島

 竹生島参詣のため琵琶湖を訪れた朝廷の臣下たち。湖岸で、若い女を乗せた漁翁の舟を見つけ、同乗させてもらいます。島に着くと、漁翁は霊地・竹生島の由緒を語り、島の守り神・弁才天へと案内します。臣下は、同乗していた女が、女人禁制と聞くこの島に足を踏み入れていることを不審に思いますが、女は「弁財天は女体だから、この島は女人禁制ではないのだ」と答えます。そうして漁翁と女は、実は自分たちこそ琵琶湖の龍神と島の弁財天なのだと明かして、波間に姿を消してしまいました。
 夜になり、参籠している臣下たちの前に、弁才天が来臨して舞を見せます。さらに龍神が水中から姿を現すと、臣下に宝珠を捧げて御代を寿ぎ、勇壮な舞を見せるのでした。

昆布柿

 年貢を納めに行く途中、道連れとなった二人のお百姓。都に着くと、淡路国のお百姓は淡路柿を、丹波国のお百姓は昆布と野老(ところ・山芋)を、無事に納めました。奏者(そうしゃ・取次役)は、海山川を隔てた土地の二人が同時に年貢をもって上がったことをめでたいと喜び、歌を詠むように命じます。柿、昆布、野老などを詠み込んで首尾よく歌をつくった二人に、奏者は税を免除することにして盃を与えます。さらに二人に名を問うと…。
 新年を迎える寿ぎに満ちた脇狂言です。

 主人が太郎冠者を供にして外出すると、途中で水嵩の増した川にさしかかります。背負って川を渡れと言う主人に、太郎冠者はひどい皸(あかぎれ)で水がしみて痛いからと言って断ります。すると主人は、皸を詠み込んだ歌を作れば、自分が背負ってやろうと言い出します。太郎冠者は巧みに歌を詠むのですが…。

船橋

 旅の途中の山伏一行が上野国・佐野の里にやって来ると、この里に住むという男女が現れ、橋を架けるための寄付を乞います。男は、この橋が万葉集にも歌われた由緒ある橋だと言い、その古歌の由来を語りはじめます。かつてここで逢瀬を重ねた男女がいて、それを不快に思う二人の親が橋板をはずしたこと。そこから川に落ちて死んだ男は、今も地獄に堕ちて苦しんでいること。そうして、実は、自分達こそその二人の霊だと明かすと、弔いを頼みつつ姿を消してしまいました。
 やがて、弔う山伏の前に現れた男女の亡霊は、回向に感謝し、逢瀬の果てに命を落とすに至った昔の有り様を再現して見せるのでした。

隠狸

 主人に内緒で狸を捕獲して売る副業をしている太郎冠者。噂を耳にした主人は、太郎冠者に真偽を確かめますが、太郎冠者は知らぬ存ぜぬとしらを切ります。そこで主人は、来客に狸汁をふるまいたいから市場で狸を買ってくるようにと太郎冠者に命じます。太郎冠者が昨日仕留めた狸を売りに市場に行くと、そこに主人が待ち受けていて…。

東北

 東国から旅してきた僧の一行が都にたどり着くと、とある古寺の庭に咲き誇る梅と出会います。寺の門前の男にたずねると、梅の名は「和泉式部」だと教えられました。その美しさに眺め入る僧の前にどこからともなく現れた優美な女性は、かつてここが和泉式部が暮らした場所で、愛したこの梅の木に「軒端(のきば)の梅」と名づけた故事を語ります。そうして自らはこの梅の主だとほのめかして、花蔭に消えて行きました。
 夜、読経する僧の前に和泉式部の霊が現れます。この地を通りかかった御堂関白(藤原道長)が読み上げた法華経を聞き、即座に和歌を詠じた昔を懐かしく振り返ると、和歌の功徳で歌舞の菩薩となったことを喜び舞うのでした。

【文/氷川まりこ(伝統文化ジャーナリスト)】

 
●1月主催公演発売日
  • ・電話インターネット予約:12月10日(土)午前10時~
  • ・窓口販売:12月11日(日)午前10時~
※ 令和4年度よりチケット予約開始日が変更になりました。

  国立劇場チケットセンター(午前10時~午後6時)
  0570-07-9900/03-3230-3000(一部IP電話等)
  https://ticket.ntj.jac.go.jp/