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【千駄ヶ谷だより】狂言「萩大名」の稽古が行われました/善竹大二郎氏・善竹忠亮氏からコメントをいただきました!(9月22日狂言の会)

 現在絶賛発売中の、9月22日(水)に開催される国立能楽堂狂言の会〈家・世代を越えて〉。
 家ごとでの上演が中心の狂言を、他の家との共演で、普段とは異なる魅力を味わっていただくシリーズの5回目です。今回は山本東次郎氏・茂山七五三氏・三宅右近氏の重鎮三氏に、異なる家の中堅・若手が挑みます。

 公演に先立って、山本東次郎氏シテの狂言「萩大名」の稽古が行われました。今回特別に、稽古の模様を皆様に少しだけお届けします。



狂言「萩大名」稽古風景

 


(左)善竹大二郎氏 (右)山本東次郎氏


(左)山本東次郎氏 (右)善竹忠亮氏

 また、稽古後に、山本東次郎氏の相手役を勤める善竹大二郎・善竹忠亮の両氏より、「萩大名」にかける意気込みもお聞きしました! おふたりともまだ乾ききらない汗をぬぐいながら、インタビューに答えてくださいました。



(左)善竹忠亮氏 (右)善竹大二郎氏

 

―今回の公演について、そして本日のお稽古の感想をお聞かせください。
善竹大二郎氏(以下、大二郎):東次郎先生とご一緒できる、大変光栄で贅沢な機会を与えていただきました。東次郎先生の気迫に負けないように、横綱に対して若手力士が挑戦するような、いつも以上に汗をかいた下申合せ(今回の稽古のこと)でした。下申合せなんですが、なんだかもうすでにひと公演やったような気がします(笑)。
善竹忠亮氏(以下、忠亮):東次郎先生と共演させていただける上に、下申合せまでやらせていただいて、もう幸せ、ですね(大二郎氏と顔を見合わせて笑い)。最近は立合狂言会や大蔵流五家狂言会など、山本家の若い世代の方とはご一緒する機会もありますけれども、特に関西の僕は山本家の方々と中々ご一緒する機会がないものですから(忠亮氏は神戸市在住:編者注)。それだけに、こんな貴重な体験をさせていただいて、非常にありがたいなと思っております。

―同じ大蔵流ですが、山本家と善竹家という違うお家で同じ舞台に立たれるというのはあまりない機会かと思います。今回のお稽古で、普段との違いを感じたところはありますか。
大二郎:東次郎先生の山本家のテンポと、私たちの善竹家のテンポが少し異なるので、東次郎先生はどういう間(ま)で行かれるかを確かめながらやっていました。それと、セリフもちょっと違うんですよね。お稽古の前に台本を合わせるのを、私の家では「すり合わせ」と言うんですが、すり合わせてからやりました。
 あとは、幕から出る時も違いますね。東次郎先生の出るスピードが本当にお早いので、ああ、ついていかなくちゃ、と。太郎冠者がのそのそ行ってしまったら、大名が名乗っているときに太郎冠者が座ることになってしまうので。邪魔にならないように、名乗る前にちゃんと座らなくては、と思いながらやっていました。
忠亮:予習をして臨んだんですが、やはり改めて違うところがあるなと感じました。カマエ(基本の立ち姿勢)なんかも、家として違うのはもちろんそうなのですが、東次郎先生の後ろに座って先生のカマエを見ていると、そうした家の違い以上に、ああ、自分のカマエでは比べ物にならないな、と。
 あとはお稽古の前の台本の合わせで、僕らは「下で合わせる」って言いますけれども、セリフの順番が逆になっているところもあって、三者三様に「あ、そこあるんだ」「あ、そこないんだ」という発見がありました。特にノリがついてきて、どんどんやりとりのテンポが早くなってきたときに、僕がひとつセリフをすっ飛ばしてしまうと、ノリを壊してしまうので、そこを気を付けないとなと思います。

―本番への意気込みをお願いします。
大二郎:「萩大名」は学校に呼んでいただいて演じることは多いのですが、意外と能楽堂でやる機会が少ないんです。なので国立能楽堂で「萩大名」の太郎冠者を演じる、ということ自体が貴重な機会です。それと、僕はほとんど父(善竹十郎)や兄(故善竹富太郎)の大名の相手役として太郎冠者を勤めてきたので、今回東次郎先生が大名で、忠亮さんが亭主という初めての顔合わせで、どういう「萩大名」ができるかなという楽しみがあります。当日は、今、狂言ができる喜びとか、東次郎先生とご一緒できる喜びなど、全てに感謝しながら勤めたいと思います。
忠亮:実は、私は「萩大名」の亭主の役は、今回が初役なんです。東次郎先生と大二郎さんは東京にお住まいですが、私は関西ですので、もともとの芸も少し違うかなと思いますし、「入れ言葉」というアドリブ的に入れるところもあります。亭主は大名と太郎冠者の間に入る役なので、邪魔にならないよう、うまく受けてお二人の相手になれればいいなあ、と思っております。…意気込みを聞かれたらなんて答えようか、なんて話を事前に大二郎さんとしていたんですけども、「胸を借りて一生懸命やります」って、結局そのひと言ですね。


◇◇◇


同時上演の「鏡男」では茂山七五三氏に山本東次郎家の山本則秀氏が、「腰祈」では三宅右近氏に野村万作家の深田博治氏と高野和憲氏が挑みます。めったにご覧いただけない組み合わせで交わされる、丁々発止、軽妙で愉快なやりとりをどうぞお楽しみに。

あらすじ

萩大名
 長く都に滞在していた大名が気晴らしに遊山を思い立ち、今が盛りの萩を見に風流人の庭に立ち寄ることにします。ただし庭の主人は、萩を見に来た者には当座(即興の和歌)を求めるらしく、家来の太郎冠者が聞きかじりの和歌を主人に教えます。ところが物覚えの悪い大名はなかなか覚えることができず…。

鏡男
 故郷の越後を離れて都で仮住まいをしていた田舎男。ようやく帰国できることになり、妻のために鏡を買って帰ります。夫から土産にもらった鏡をのぞき込んだ妻は、喜ぶかと思いきや、いきなり怒り出して…。妻の怒りの原因は、はたして何だったのでしょう?

腰祈
 葛城山での修行を終えた新米山伏が、故郷の出羽国へ戻る途中、都に住む祖父を訪ねます。久しぶりに会った祖父の腰はひどく曲がって辛そうです。山伏は修行の成果を発揮して、腰を伸ばしてあげることにします。祈祷をはじめると、祖父の腰はみるみるまっすぐになっていき…。

【あらすじ/氷川まりこ(伝統文化ジャーナリスト)】

 

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