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【千駄ヶ谷だより】「節木増」本面も登場!「半蔀 立花」ほか(5月29日特別公演)


 国立能楽堂5月29日の特別公演は、能「半蔀 立花」、狂言「蚊相撲」、能「鷺」を上演。月間特集のテーマである〈日本人と自然 草木成仏〉にちなみ、花・虫・鳥と、人間ならざる生き物を主題にからめた、とっておきの演目が揃いました。
 貴重な能面も登場した本公演の模様を、写真とともにご紹介します。

 

能「半蔀 立花」

  能「半蔀 立花」大坪喜美雄  立花=倉田克史(池坊華道会)


 まずは国立能楽堂の主催公演では開場以来初上演の能「半蔀 立花」です。
 幕が上がると、舞台正面前方に大きな「立花」が二人がかりで設えられます。鏡板(かがみいた=舞台後方の羽目板)に描かれた老松を借景に立てられたものです。真となる木にひっそりと夕顔が絡み、うねる松の枝と添えられた花々が色を添えました。
 僧(ワキ)が立花供養をはじめると女(シテ)が現れ、立花に夕顔の花を立て添えます。
 今回このシテの面に用いられたのは、宝生流でもとりわけ大切にされている、〈節木増(ふしきぞう)〉の本面(流儀の基準となる優れた面のこと)。
 節木増は、鼻筋の左付け根あたりに節(ふし)があるためその名がつけられました。面の用材となった木の節が彩色の上まであらわれたものですが、その様子にかえって風情があるとされ、のちにはこの節をあえて描き足した面が写しとして作られました。国の重要文化財に指定される名品です。
 歴史ある面の表情が、花の陰に現れた女の、夕顔の花の精とも、あるいは源氏物語の夕顔の女の霊とも映る面差しに陰影を加えました。

 

狂言「蚊相撲」


 
狂言「蚊相撲」大藏吉次郎 大藏基誠 善竹大二郎


 新たに相撲取りを雇いたい大名のもとにやってきたのは、なんと――「蚊」の精!
 そろそろあの「プーン」という羽音が気になる季節になってきました。狂言における蚊の精は、「空吹(うそふき)」というひょうきんな顔をした面の口に、紙のストローのようなものを差すことで蚊の針を、褸水衣(よれみずごろも)という透ける上衣を着ることで蚊の羽をあらわします。
 蚊の精と相撲を取ることになった大名は、一度はまんまと血を吸われて目を回してしまうものの、相手が蚊と気づいて対抗策を考え出します。「プーン」と巨大な羽音を立てて迫りくる蚊の精を、太郎冠者に扇であおがせて、風で吹き飛ばす大名。水浅葱色の褸水衣をはためかせて迫る巨大な蚊の精の、風に負けてくるくると吹き飛ばされる様子が会場の笑いを誘いました。

 

能「鷺」


 
能「鷺」野村幻雪


 神泉苑に赴いた王(ツレ)の前に降り立った純白の鷺。王命で捕獲されそうになった鷺は、一度は逃れますが、蔵人(ワキ)に勅諚だと呼びかけられると自ら飛び戻り、その神妙さを称えられ、五位の位を授けられた喜びに舞を舞います。
 古来、特に大切にされてきた能であり、シテの鷺は、子方か還暦以上の役者が演じるのが原則です。
 シテは今年、観世宗家より由緒ある号「雪号」を許された野村幻雪(前名・四郎)。
 純白の装束に、鷺の羽をあしらった冠を頂いた、無垢な鷺そのままの舞に、客席中が時を忘れて見入りました。

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