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国立能楽堂

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【千駄ヶ谷だより】鎌倉殿(時代)の能七番


 NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」で関心が高まる、鎌倉幕府成立前後にあたる11世紀の後半。『平家物語』等の軍記物語に残される源平の合戦の模様は、多くの能でも描かれています。今回は令和4年3月~6月に国立能楽堂主催公演で上演予定の、同時代を取り上げた能をご紹介します。


●能「朝長」(3月2日(水)定例公演)


「能楽図絵二百五十番」
月岡耕漁


 鎌倉幕府初代将軍の源頼朝が挙兵する20年以上前、1160年の平治の乱では平清盛と源義朝(頼朝の父)が争い、勝利した平家は戦後、武家政権を樹立することとなります。3月2日(水)定例公演で上演される能「朝長」は、義朝の子(頼朝の兄)で、平治の乱で命を落とした源朝長を描いた作品。青墓宿の女主人が朝長の最期を語ります。
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●能「俊寛」(4月15日(金)定例公演)


 時は平家全盛の1177年、鹿ケ谷(京都府京都市)の山荘で後白河法皇の近臣が平家打倒の謀議を行ったことが発覚し、平清盛によって捕らえられるという事件が起こります。その結果、鬼界島(鹿児島県の離島)に流された一人が俊寛僧都。4月15日(金)の定例公演の能「俊寛」は、恩赦により流刑地より帰京する同志たちを、ただ一人残されて見送る俊寛を描いたもの。歌舞伎等にも取り上げられた名曲です。
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「能楽図絵二百五十番」
月岡耕漁


●能「兼平」(6月8日(水)定例公演)


「能之図」
狩野柳雪


 驕り高ぶる平家を追討すべしと、1180年に出された以仁王の令旨(皇太子からの命令)を受け真っ先に入京したのは、頼朝の従兄弟にあたる源義仲(木曽義仲・朝日将軍とも)でしたが、1184年の粟津(滋賀県大津市)の戦いで頼朝の送った源範頼・義経に討たれています。6月8日の定例公演で上演の能「兼平」では、義仲の乳兄弟である今井兼平の亡霊が、主君義仲の最期や自身の戦いの様子を語ります。
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●能「箙」(3月12日(土)普及公演)


 3月12日の定例公演の能「箙」で活躍する梶原源太景李は、頼朝に重用された父・梶原平三景時とともに武名を上げました。本曲では生田川(兵庫県神戸市)周辺を舞台に、1184年に行われた一ノ谷の戦いで景季が、梅の枝を箙(矢を入れる容器)に挿して奮闘したというエピソードが物語のもとになっています。敗れ去った武将を描くことが多い修羅能の中で、勝ち戦を描いた本曲は、後に紹介する「八島」や「田村」とともに勝修羅物と呼ばれています。
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「能楽図絵二百五十番」
月岡耕漁


●能「俊成忠度」(5月28日(土)特別公演)


「能楽図絵二百五十番」
月岡耕漁


 一ノ谷の戦いにおいて命を落とした武人の一人が、清盛の弟にあたる平忠度。歌人としても優れ、藤原俊成に師事しました。忠度の歌は、俊成が選者をつとめた『千載和歌集』にも採用されていますが、忠度が朝敵であることを憚り、詠み人知らずとして掲載されました。5月28日の特別公演の能「俊成忠度」は、俊成の前に忠度の亡霊が現れ、自分の名前が記されていないことを嘆き、また修羅道での戦いの様子を見せる、という内容です。
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●能「八島」(4月6日(水)定例公演)


 4月6日の定例公演で上演される能「八島」が描くのは1185年に起こった屋島(現在の香川県高松市)の戦い。平景清(悪七兵衛景清)がつかんだ、美尾谷十郎国俊の兜の錣(しころ・兜の左右や後方に垂れて首を守るもの)を引きちぎったという"錣引き"、那須与一が遠く平家の船に掲げられた扇を射落としたという"扇の的"、義経が誤って海に流した自身の弓を、こんな弱い弓を使っていることを知られたら恥であると沖まで拾いに行ったという"弓流し"と、数々の逸話が伝わります。
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「能楽図絵二百五十番」
月岡耕漁


●能「小袖曽我」(5月14日(土)普及公演)


「能楽図絵二百五十番」
月岡耕漁


 5月14日の普及公演の能「小袖曽我」は歌舞伎等にも取り上げられる曽我兄弟の仇討ちが題材です。所領争いに端を発し、工藤祐経が親族である伊藤祐親を襲撃し、祐親の子である河津祐泰が殺されたのが1176年のこと。祐泰の遺児である曽我十郎祐成と五郎時致に、頼朝の寵臣となっていた祐経が討たれたのは、1193年に頼朝が行った富士の巻狩り(大勢で追い詰めた獲物を弓で射る催し)でのことでした。本曲では仇討ちの直前、母のもとを訪ねて暇乞いをし名残の舞を見せる兄弟を描き出します。
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 是非これらの作品を併せてご覧いただき、能がこの時代の武士たちをいかに描いてきたのかをお楽しみいただければと思います。

 
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