日本芸術文化振興会トップページ  > 国立能楽堂  > 【千駄ヶ谷だより】11月公演が間もなく発売開始です

国立能楽堂

トピックス

【千駄ヶ谷だより】11月公演が間もなく発売開始です

 間もなく発売開始となる、国立能楽堂11月主催公演のラインナップをご紹介いたします。秋気深まりゆく頃、皆様のご来場をお待ちしております。

10日(水) 定例公演  午後1時開演

無布施経(ふせないきょう)

 毎月の習わしで僧が檀家を訪ね、経をあげ終えました。ところが、今日に限ってお布施がありません。催促するのもはばかられるので一度は帰りかけたものの、これが常となっては困ると思い直し、引き返します。とはいえ、さすがに「お布施をいただきたい」とは言えず、すっかり忘れている檀家になんとか思い出してもらおうと…。

忠度

 和歌の権威・藤原俊成にかつて仕え、旅の途中で須磨を訪れた僧。由緒ありげな桜の木を眺めているところに、一人の老人がやってきました。桜に手向けをする老人に僧が一夜の宿を請うと、「この桜の下以上の宿はほかにない」と言い、老人は俊成の弟子だった平忠度の歌を詠みあげます。さらに「この桜こそ忠度の墓標なのだ」と告げて、花蔭に消えてゆきます。
 夜になり、僧の夢の中に忠度の亡霊が現れます。和歌の師・俊成が撰者をつとめた勅撰和歌集『千載集』に自作の歌が取り上げられたものの、朝敵の身をはばかり「よみ人しらず」とされた無念。腰の箙(えびら=矢を入れておく道具)に和歌を記した短冊をつけて戦った最期の様を語り、忠度の亡霊は、和歌の道への執心を抱えたまま、回向をたのみつつ姿を消してゆくのでした。

13日(土) 普及公演  午後1時開演

寝音曲

 太郎冠者の謡が上手なことを知った主人は、太郎冠者を呼び出して、謡うように命じます。これからたびたび謡わされることになるのは面倒だと思った太郎冠者は「酒を飲み、妻の膝枕がなければ謡えない」と嘘をつきます。ならば酒を飲ませよう、自分の膝も貸そうと主人に言われ、仕方なく太郎冠者は主人の膝枕で謡い出すのですが…。

初雪

 出雲大社の神主の娘は、初雪と名づけ可愛がっていた鶏が死んでしまったことを深く悲しみ、追善供養を行います。すると初雪の霊が現れて、弔いにより極楽の妙鳥となることができたと喜び感謝します。歓喜の舞を舞った初雪は、懐かしそうにあたりを飛び回りながら、やがて何処ともなく飛び去っていくのでした。
 金春流にのみ伝わる金春禅鳳作の能です。

19日(金) 定例公演《演出の様々な形》  午後5時30分開演

 毎年恒例となった《演出の様々な形》。流派や家による違いに着目して、11月、12月の2カ月連続で同じ作品を上演します。

成上り

 今日は清水寺の縁日。太郎冠者を伴に参詣に向かった主人は、お堂にこもって夜を明かすことにします。太郎冠者が主人から預かった太刀を手にしてぐっすりと寝入っていると、そこにすっぱ(いかさま師)がやってきて、太刀と竹の杖をすり替えてしまいます。目が覚めた太郎冠者は、失態をなんとかごまかそうと主人に言い訳をはじめます。果たして主人は納得をしてくれるでしょうか?

海士

 自らの出生の秘密を知った大臣・藤原房前は、亡き母の追善のため志度の浦を訪れ、そこで出会った一人の海士の昔語りを聞きます。かつて唐の皇帝に嫁いだ藤原不比等の妹から興福寺に贈られた三種の宝があり、そのうちのひとつ「面向不背の玉」がこの浦沖で龍に奪われたこと。取り戻しにやってきた不比等が土地の海士と恋に落ち、生まれたのが房前だったこと。わが子を藤原家の世継ぎにすることを条件に、海士は海に潜り、命と引き換えに玉を取りもどしたこと――。話を終えた海士は、房前の母のその海士こそ自分であることを明かして、波の内へと消えてゆきました。
 やがて追善がはじまると、龍女となった海士が現れ、供養に感謝し、法華経の功徳により救われたことを喜んで報謝の舞を舞うのでした。
 懐中之舞の小書では、龍女は経巻を懐に納めて舞った後、房前に手渡します。これにより、海士の魂が成仏を遂げたことがより鮮明に伝わる演出です。

26日(金) 企画公演《蝋燭の灯りによる》  午後5時30分開演

 光と陰のコントラストがよりリアルに感じられる《蝋燭の灯りによる》公演です。

空腕

 淀までひとりで使いを命じられた太郎冠者。物騒だからと護身用に主人の太刀を借りて出かけます。根が臆病な太郎冠者の性格をよく知る主人は、あとをつけて物陰から様子を見ることにします。案の定、いもしない盗賊が出たと勘違いした太郎冠者は、あわてて地面に伏して太刀まで差し出す始末。あきれた主人が、太刀を取り上げ背中を打つと、太郎冠者は気絶してしまいました。意識を取り戻した太郎冠者は、さて、どうするのでしょう?

 摂津国芦屋の里を訪れた旅の僧が、化生が出ると噂のある海べりの御堂で一夜を過ごしています。そこに一人の男が朽ちた小舟に乗って現れ、自らを妖怪・鵺の亡魂だと明かして姿を消しました。
 その晩、鵺の魂を弔う僧の前に鵺の亡霊が現れて、国を傾け仏法を妨げようとしたため源頼政に討たれた顛末を語ります。討った頼政が名を上げた陰で、討たれた自らの亡骸はうち捨てられ淀川を漂って、この里で朽ちた口惜しさ。鵺は、いまなお闇をさまよう苦しみを語り、救済を願いながら闇に消えてゆくのでした。
 白頭の小書は、通常は赤頭で演じる後シテに白頭を用いて装束も変えることで、役の位が重くなります。

【文/氷川まりこ(伝統文化ジャーナリスト)】

●11月公演発売開始日
  • ・電話インターネット予約:10月8日(金)午前10時~
  • ・窓口販売:10月9日(土)午前10時~

  国立劇場チケットセンター(午前10時~午後6時)
  0570-07-9900/03-3230-3000(一部IP電話等)
  https://ticket.ntj.jac.go.jp/

  • 歌舞伎・能楽・文楽鑑賞教室のご案内
  • バリアフリー情報
  • 会員募集中! 国立劇場友の会 あぜくら会
  • 快適なご観劇のために
  • キャンパスメンバーズのご案内
  • 伝統芸能を「調べる」「見る」「学ぶ」文化デジタルライブラリー
  • 伝統芸能に興味津々 養成事業
  • 芸術の創造・普及活動を援助する 芸術文化振興基金
  • 国立能楽堂 出版物のご案内