日本芸術文化振興会トップページ  > 国立劇場  > 【9月文楽】初日を迎えました

国立劇場

トピックス

【9月文楽】初日を迎えました


 9月8日(土)、9月文楽公演が初日を迎えました。第一部では〈明治150年記念〉に因み、明治期に作られた名作『良弁杉由来』と『増補忠臣蔵』を、第二部では夏狂言の決定版『夏祭浪花鑑』を上演しています。初日の舞台の様子をご紹介します。

◆◆◆


 奈良・東大寺二月堂にまつわる良弁僧正の伝説を題材に、生き別れになった母子の30年ぶりの再会を描いた『良弁杉由来』。
 幕開きの「志賀の里の段」では、夫の忘れ形見である幼子を鷲にさらわれてしまう母・渚の方の深い悲しみと絶望が描かれます。

志賀の里の段


 心を病んでしまった渚の方は30年もの年月、子を探し求めて彷徨います。ふと川面に映った自らの姿を見て正気に戻った渚の方は、東大寺の良弁僧正の生い立ちの噂を聞きつけ、一縷の望みをかけて東大寺を目指します。


桜の宮物狂いの段


 渚の方と良弁僧正が対面する「二月堂の段」。良弁僧正は幼い時に鷲にさらわれて、二月堂の杉に引っかかっていたところを先代の僧正によって助け出されました。今は人々の尊敬を受ける立場になったものの、己の出自がわからず、まだ見ぬ父母への想いでむせび泣く良弁僧正の姿が胸を打ちます。
 そして二人は対面します。自らの境遇を語る渚の方に対し、目の前の老女の心の内を思いやる僧正の慈愛。互いにもしやと思う二人の揺れ動く心、ついに親子の絆を証明する決め手が見つかり、「そんならあなたが」、「そもじが」と続いていく件は、心に深く響く浄瑠璃と、緻密な人形の描写によって胸に迫ります。


二月堂の段


 『増補忠臣蔵』は、三大名作の一つ『仮名手本忠臣蔵』の外伝(“増補物”の解説はこちらをご参照ください)にあたる作品で、桃井若狭之助と加古川本蔵の主従の絆を描いています。
 本蔵の行動によって“へつらい武士”と蔑まれるようになった若狭之助。縄をかけられ引き出された本蔵は若狭之助によって成敗されるかに思われましたが、若狭之助が討ったのは自らの毒殺を企んでいた悪臣でした。


本蔵下屋敷の段


 全てを見抜いていた若狭之助は、本蔵の覚悟を察して、長の暇を与えます。主従は三世と言われた時代。「未来で忠義を尽くしてくれ」と語り本蔵を送り出す若狭之助と、主君の命とお家を守った本蔵の主従の絆が克明に描かれます。箏と尺八が奏でられる中での別れの場面は、若狭之助と本蔵、三千歳姫が三幅対の絵面となって美しい風情を見せ、太夫と三味線の語りが情感豊かに盛り上がりました。


本蔵下屋敷の段


◆◆◆



 第二部『夏祭浪花鑑』は、大坂の夏の風俗を背景に、三人の俠客と連れ添う女房たちの心意気を描いた夏狂言の代表作です。今回は、「長町裏の段」の後の「田島町団七内の段」も付けて11年ぶりの本格的な上演です。
 主人公・団七九郎兵衛は、俠客として全身全霊を賭けて、恩人の子息である玉島磯之丞やその恋仲の傾城・琴浦を守ろうとしますが……。


 主要な人物たちの出会いが描かれる「住吉鳥居前の段」。団七は泉州浜田家の家来と喧嘩をしたことで入牢していましたが、御赦免となり出牢します。髪結床で身なりを整えてさっぱりとした団七に、一寸徳兵衛が喧嘩をしかけますが、団七の女房・お梶の仲裁により打ち解け、二人は義兄弟の契りを結びます。


住吉鳥居前の段


 「内本町道具屋の段」と「道行妹背の走書」では、団七によって道具屋に預けられた玉島磯之丞と、磯之丞と仲睦まじい関係となった道具屋の娘・お中を中心に物語が展開します。悪人たちによって陥れられた磯之丞は、報復のために殺人を犯してしまいますが、老俠客・釣船三婦の機転によって一旦は難を逃れます。お中が悪者から首括りを指南されるというおかし味のある場面もあります。


道行妹背の走書


 磯之丞を逃がすための算段を巡って事件が起こる「釣船三婦内の段」。三婦の女房・おつぎは、家を訪ねてきた徳兵衛の女房・お辰に磯之丞を預けようとしますが、三婦が制止します。お辰は一旦請け合った自分の面子を守るために意外な行動に出ます。俠客の妻としての覚悟を示したお辰に対して、三婦は喜んで磯之丞を託します。お辰の俠気と品位が鮮やかに描かれる場面です。
 後半は琴浦を狙う連中がからみ、物語は急展開します。団七の舅・義平次が金銭欲から琴浦を連れ出してしまうことによって、団七の悲劇が始まります。


釣船三婦内の段


 団七が舅・義平次を手にかけてしまう「長町裏の段」。運命のいたずらか、それとも必然か、やむにやまれず舅を殺害することを決心した団七の暗い情念が、異様な雰囲気の中で噴出します。だんじり囃子と三味線が響く中での立廻りは、互いに泥池にはまり、ぬかるみに足をとられながらの暗闘となります。大坂のじっとりとした暑さまでをも感じさせ、圧巻です。


長町裏の段


 舅殺しという大罪を犯した団七。「田島町団七内の段」では、苦悩する団七夫婦と、夫婦をなんとかして助けようとする徳兵衛、三婦たちの思いやりが丁寧に描かれます。ついに捕り手に囲まれた団七が屋根上で見せる大立廻りは迫力充分。自ら捕り手に名乗りを挙げた徳兵衛は、団七を召し捕るようにみせかけつつ、落ち延びさせるのでした。


田島町団七内の段



田島町団七内の段



◆◆◆


 おかげさまで初日は多くのお客様にご来場いただき、熱気冷めやらぬ中での幕となりました。9月文楽公演は24日(月・休)まで。
 なお、小劇場ロビーでは、第一部と第二部の30分休憩時間と、入れ替え時間に、人形浄瑠璃文楽座との共催により北海道胆振地方東部地震災害への義援金を募っています。
 皆様のご来場をお待ちしております。






チケット好評販売中!特設サイトはこちらから


 

 

 

  • 国立劇場歌舞伎情報サイト
  • 平成30年度歌舞伎・能楽・文楽鑑賞教室のご案内
  • 文化プログラム
  • 明治150年記念事業
  • バリアフリー情報
  • 会員募集中! 国立劇場友の会 あぜくら会
  • グループ・団体観劇のご案内
  • キャンパスメンバーズのご案内
  • 伝統芸能を「調べる」「見る」「学ぶ」文化デジタルライブラリー
  • 英語教材 Discover KABUKI
  • 伝統芸能に興味津々 養成事業
  • 国立劇場のマスコット くろごちゃん公式サイト
  • 観劇マナー入門 Q&A