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【2月文楽】初日を迎えました


 2月2日(土)、2月文楽公演が初日を迎えました。2月文楽公演は恒例の三部制で、それぞれに人形浄瑠璃文楽の魅力に溢れた作品を上演しています。初日の舞台の様子をご紹介します。

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 幕開けとなる第一部『桂川連理柵』は、心中物の代表作の一つ。40歳になろうかという分別盛りの長右衛門と14歳の娘のお半の宿命的な関係を軸に、長右衛門の複雑な家庭環境を絡めて描かれる恋愛悲劇です。二人が過ちに至るいきさつを描く「石部宿屋の段」からの上演です。

石部宿屋の段


 「六角堂の段」では夫・長右衛門の噂に胸を痛めている妻・お絹の姿が描かれます。横恋慕をしかけてくる義弟・儀兵衛をあしらいながら、隣家の丁稚長吉を丸め込んで噂の火消しに努める如才なさを見せます。


六角堂の段


 「帯屋の段」で、義母のおとせと、その息子・儀兵衛の追及により長右衛門は追い詰められます。難儀を救おうとするお絹ともども悔し涙を流す長右衛門。隣家の長吉が呼ばれてのおかしみのあるやりとりには客席からも笑いが起こり、長右衛門の置かれた状況の深刻さをより浮き彫りにします。

 そして長右衛門と二人きりになったお絹。自らの悋気を押し殺し、長右衛門に女房としての誠を尽くそうとつむぐ言葉が胸に迫ります。父の慈悲や、妻の深い愛情、言い訳できない失策の数々、自らに愛想が尽きた長右衛門でしたが、そこへお半が忍んできて……。お絹の情愛に満ちた女房ぶりと、お半の年端もゆかない娘の可憐さが対照的に描かれます。


帯屋の段


 お半と長右衛門が死出の道を急ぐ「道行朧の桂川」。哀調を帯びた曲節が美しく響く一幕で第一部は打ち出しとなります。


道行朧の桂川



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 第二部『大経師昔暦』は、暦を納める権利を許された特権的な商家で実際に起きた事件を、近松門左衛門が脚色した”姦通物”の作品です。

 おさんと茂兵衛が、意図せずに間違いを犯してしまう「大経師内の段」。夫の大経師以春が下女の玉に言い寄っていたことを知ったおさんは、玉と寝所を交換して夫を待ちますが、そこへ忍んできたのは手代の茂兵衛でした。暗闇の中、相手を取り違えてしまったことに気づいた男女の深いため息と共に幕が引かれるのが印象的です。


大経師内の段


 茂兵衛とともに逃避行を続けるおさんが、両親と偶然再会する「岡崎村梅龍内の段」。姦通の罪(当時は死罪に値する重罪でした)を犯してしまった娘の悲惨な運命を嘆きながらも、なんとかして助けようと苦心する親・道順夫婦の姿が涙を誘います。


岡崎村梅龍内の段


 隠れ住んでいた二人がついに捕らえられる「奥丹波隠れ家の段」。玉の叔父・赤松梅龍が玉の命を犠牲にして二人を助けようとしますが、その行動がかえって仇となり、ついに悲劇的な結末を迎えます。


奥丹波隠れ家の段


 封建社会における姦通の罪の重さから追い詰められるおさんと茂兵衛の絶望、二人を助けたいと思いながらも世間への義理から叶えることができない親たち、そして周囲の苦悩を濃密に描き、見応え十分の舞台です。


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 第三部『鶊山姫捨松』は、当麻曼荼羅(たいままんだら)の発願者とされる中将姫の伝説を下敷きにした作品。

 天皇からお預かりの観音像紛失の罪を継母・岩根御前からなすりつけられた中将姫は、庭に引きずり出されて折檻を受けます。極寒の中、着物をはぎ取られた上、割竹で打擲されながらも責め苦に耐える中将姫。その後、侍女同士の争いを止めに入った姫の急所に竹が当たり、姫は息絶えてしまいます。

 雪の中、自ら中将姫を折檻する岩根御前の残虐性と、その継母をかばってひたすらに仕打ちに耐える中将姫の清廉さが際立ちます。正に”聖女”たる中将姫の姿が現れます。


中将姫雪責の段



 第三部の後半は、平家の侍大将悪七兵衛景清の行方を白状させるため、景清の想い人である遊君阿古屋が拷問にかけられる『壇浦兜軍記』「阿古屋琴責の段」。人形浄瑠璃文楽の中でも屈指の華やかな場面です。

 阿古屋が源氏方の智将・秩父庄司重忠から命じられる、琴、三味線、胡弓の三曲演奏は圧巻です。自らの芸の力を駆使して、傾城としての意気地を示す阿古屋の姿は気高くそして美しく、太夫の掛け合いの語りと三曲演奏の美しい響きを通じて観る者の心を奪います。


阿古屋琴責の段



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 心中物の代表作『桂川連理柵』、近松門左衛門の異色作『大経師昔暦』、聖女たる中将姫を描く『鶊山姫捨松』、圧倒的な三曲演奏『壇浦兜軍記』。どれをとっても名場面揃いの2月文楽公演は18日(月)まで。
 皆様のご来場をお待ちしております。



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