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【2月文楽】登場人物紹介・世話物の女たち

 2月文楽公演では、第一部と第二部でそれぞれ世話物(江戸時代当時の現代劇)の作品を上演します。
 第一部『桂川連理柵』は、心中物の名作の一つで、中年男性と14歳の少女の間違いから起こる悲劇を描いています。第二部『大経師昔暦』は、特権的な町人の家で起こったスキャンダルを近松門左衛門が脚色した、"姦通物"と呼ばれるジャンルの作品です。
 町人の世界で起きた実際の事件を脚色した世話物では、もがきながらも懸命に生きる市井の人々の心情が細やかに描かれます。上演に先駆け、『桂川連理柵』と『大経師昔暦』で運命に翻弄される三人の女性をご紹介します。

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【第一部】『桂川連理柵』

◎信濃屋娘お半

   


 京の信濃屋の娘お半は、伊勢参りから戻る途中の石部宿にて、ふとしたことから隣家の帯屋長右衛門と間違いを犯してしまいます。長右衛門の子を身籠り、思いつめたお半は、長右衛門あての書置きを残して一人、桂川へと向かいます。


◎女房お絹

   



 帯屋長右衛門の女房お絹は、舅・繁斎の後妻おとせが夫に辛く当たることに加え、夫とお半との噂に胸を痛めつつも、機転を利かせ長右衛門の窮地を救おうとします。長右衛門に夫婦の情愛を訴えるお絹の言葉に夫への深い想いがにじみます。

 『桂川連理柵』は、桂川で中年の男性と十代の少女の遺体が発見された事件を脚色した作品です。この事件は、知人の娘が大坂に奉公に出る際、付き添いを頼まれた大坂の商人が、桂川で金目当てに殺され、心中に見せかけて桂川に流された、というもので、実際には心中ではなかったようです。しかし、事件後、話題となったため浄瑠璃や歌舞伎に取り上げられました。
 『桂川連理柵』は、先行作を踏まえ、お半・長右衛門の宿命的な関係を軸に、長右衛門ををとり巻く複雑な家庭環境を絡めて描いた恋愛悲劇となっています。

 ちなみに、上方落語『胴乱の幸助』は、『桂川連理柵』をモチーフとしており、喧嘩の仲裁をするのが趣味のような男・幸助が、義太夫節の稽古屋から聞こえてきた「帯屋」の話を事実だと思い込み、果てには「帯屋」のもめごとを仲裁しに大阪から京まで駆けつける、という筋になっています。それ程この作品が人口に膾炙していたと言うことができそうです。


【第二部】『大経師昔暦』

◎女房おさん

   


 大経師以春の女房・おさんは、夫の不行状に悩むうち、偶然の行き違いから手代の茂兵衛と姦通を犯してしまいます。計らずも起こってしまった過ちは、周囲の人々を巻き込みながら悲劇へとつながっていきます。

 作品名にもある「大経師」とは、宮中の定めた新暦の発行権を認められていた家のことです。宮中への出入りが許され、町人に課せられる義務も免除される格式のある商家でした。そんな特権的な家で起こった姦通事件は、人々の関心を惹き、井原西鶴『好色五人女』や歌祭文に描かれました。『大経師昔暦』は、二人の三十三回忌にちなんで作られた作品です。作者・近松門左衛門は、事の起こりを偶然の産物とし、追い詰められる二人と、二人をなんとかして救おうとする周囲の人々の苦悩を描く人間ドラマに仕立てています。

 また、昭和29年(1954)に公開された溝口健二監督作品の『近松物語』は、『大経師昔暦』を元にした川口松太郎の戯曲『おさん茂兵衛』を映画化した作品です。茂兵衛を当時の人気俳優・長谷川一夫が演じ、好評を博しました。おさん茂兵衛の物語は、時を超えてなお、人々に受け入れられてきたのです。


『大経師昔暦』予告編動画はこちら


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 運命に翻弄されながらも必死に生きた三人の姿にどうぞご注目ください。

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