歌舞伎公演ニュース
2025年6月6日
【6月歌舞伎鑑賞教室】
『玩辞楼十二曲の内
土屋主税』
好評上演中、
21日(土)まで!
(舞台写真あり)
今回は、「赤穂浪士の討ち入り」を題材にした『土屋主税(つちやちから)』を上演します。サンパール荒川で、初日の幕が開きました!
〈歌舞伎鑑賞教室〉は初めての方にも分かりやすい解説付きで、歌舞伎の名作や名場面をお手頃な価格でお楽しみいただける公演です。
舞台写真とともに、公演の魅力をご紹介します。
『解説 歌舞伎のみかた』のご案内は、市川青虎です。「忠臣蔵」や「赤穂浪士」など、今回上演する『土屋主税』をご覧いただく上で重要なポイントを丁寧にご紹介します。「もしも赤穂浪士がスマホを持っていたら」という設定を取り入れるなど、歌舞伎が初めての方も、楽しく気軽にご鑑賞いただけます。

『解説 歌舞伎のみかた』
(市川青虎)
続いて、『土屋主税』の上演です。
俳諧師・晋其角(嵐橘三郎)は、土屋主税から今夜催される雪を楽しむ句会に招かれます。主税は、八千石の大身の旗本で、「都文公」という俳号を持ち俳諧を嗜んでいる人物です。その招きに応じるという其角の返事を受けた使いが帰っていくところに、元赤穂藩主浅野内匠頭の家臣であった大高源吾(中村錦之助)が現れます。
「子葉」という俳号を持ち俳諧を嗜む源吾は、付き合いの長い其角から土屋邸での俳諧の会に誘われます。
すると、源吾は、主君である浅野内匠頭が切腹して以来浪人生活を続けてきたが、西国の大名への仕官が決まり、挨拶に来たことを語ります。そこへ訪れた細川家の家臣である落合其月(市川青虎)は、亡き主君の恩を忘れ、新たに仕官をしようとするのを許せないと罵り、武士の恥より飢えることがつらいと答える源吾を足蹴にします。

[左より]大高源吾(中村錦之助)、
落合其月(市川青虎)、晋其角(嵐橘三郎)
立ち去る源吾に其角は餞別として「年の瀬や水の流れも人の身も」という句を贈り、源吾は「明日待たるるその宝船」と下の句をつけて去ります。

大高源吾(中村錦之助)
土屋邸の奥座敷では、主税(中村扇雀)が侍女お園(坂東新悟)の弾く箏歌を聴きながら、其角がやってくるのを待っています。主税は、大石内蔵助ら赤穂浪士が亡君の恨みを晴らすために、隣の吉良上野介の屋敷に討ち入りすることを密かに願っていることをお園に語ります。そこへ其角が訪れ、お園の暇乞いを願い出ます。お園は、赤穂浪士である勝田新左衛門の妹で、其角の仲介で侍女として主税に奉公していたのですが、主君の仇も討たない赤穂浪士の縁者を土屋公のそばに仕えさせるわけにはいかないと言うのです。

[左より]晋其角(嵐橘三郎)、
侍女お園(坂東新悟)、土屋主税(中村扇雀)
主税は源吾が再度仕官するという話をいぶかりますが、お園を退がらせ、其角が連れてきた其月に詳細を語らせます。其角と源吾が交わした句の話になると、主税はその句の意味に何か気づいた様子を見せ、寝入ってしまいます。其角らがその場を去ると、様子をうかがっていたお園が現れ、仇討ちをしない兄や源吾を恥じて代わりに自害しようとします。主税がお園を止めると、其角が贈った句に応えた源吾の句から、赤穂浪士が吉良邸に討ち入りすることを読み取ったと語り始めます。

[左より]侍女お園(坂東新悟)、土屋主税(中村扇雀)
その時、吉良邸から刃を交える音が聞こえて来て、赤穂浪士が吉良邸に討ち入ったとの知らせが入ります。喜んだ主税は、塀際に高張提灯を並べさせ、浪士たちを援助します。

土屋主税(中村扇雀)
主税が内蔵助に面談したいと使者を遣わすところへ、隣家を騒がせたことを詫びに内蔵助の使者として源吾が現れます。源吾が、本望を達し、幕府の沙汰を待つという内蔵助の口上を伝えると、主税は源吾に労わりの言葉をかけました。其月は源吾に対する申し訳なさから切腹しようとしますが、源吾がそれを止めます。

[手前左より]落合其月(市川青虎)、大高源吾(中村錦之助)、
[奥左より]晋其角(嵐橘三郎)、侍女お園(坂東新悟)、土屋主税(中村扇雀)
主税は、お園を末永く家に置くことを約束し、また、お園は、無事に奉公しているという兄への伝言を源吾に託します。立ち去っていく源吾の後ろ姿を主税たちは見送るのでした。

大高源吾(中村錦之助)

土屋主税(中村扇雀)
命をかけて真剣に生きる人々が織りなす心沸き立つドラマをぜひ劇場で!
予備知識をコンパクトにまとめた鑑賞の手引きやプログラムの無料配布もあり、初めての歌舞伎鑑賞にもぴったりです。
14日(土)には、午後7時開演で平日や日中忙しい方にもご観劇いただきやすい「大人のための歌舞伎入門」を開催します。また、20日(金)には、英語字幕・イヤホンガイド付きで楽しめる「Discover KABUKI ―外国人のための歌舞伎鑑賞教室―」がございます。
また、本公演は、東京都外の方にもご覧いただくため、静岡県と神奈川県でも上演いたします。6月23日(月)は静岡県コンベンションアーツセンターグランシップ、25日(水)・26日(木)は神奈川県立青少年センター(紅葉坂ホール)で開催します。
皆様のご来場をお待ちしております。
【公演関連トピックス】
◇中村扇雀、中村錦之助が意気込みを語りました!
◇聴覚に障害のあるお客様のための字幕サービスを実施します。
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