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【9月舞踊公演】出演者メッセージその3 「お七」井上安寿子

雪降る冬の夜、恋人の危機を救うため、大罪人となるのを厭わずに火の見櫓の鐘を鳴らす「八百屋お七」の物語は、歌舞伎や人形浄瑠璃でも取り上げられ、日本舞踊でも「櫓のお七」として知られています。京舞井上流の「お七」は独自の詞章を持つ曲と演出、そして井上流ならではの人形振りでお七の恋心を鮮烈に描きます。



井上安寿子

—いよいよ「さよなら公演」が始まりますが、安寿子さんの中で一番古い国立劇場の記憶は、いつ頃の、どんなことでしょうか?

井上安寿子(以下、安寿子):いつ頃なのか分かりませんが、「舞の会-京阪の座敷舞-」がある時など連れてもらっていたので、舞台の印象よりも楽屋の印象が強いですね。母(井上流家元・五世井上八千代)や他のお師匠さんや芸妓さんと皆一緒の楽屋で、舞台に向けて集中力を高め、準備していく姿がそれぞれで面白いなと思っていたのが一番古い記憶です。


—初めて国立の舞台で舞ったのはいつでしたでしょうか? また、その時の劇場の印象はいかがでしたか?

安寿子:平成23(2011)年3月1日、小劇場での「世界舞踊祭2011」で、同じ世代の(地唄の)富山清仁さんの演奏で「八島」を舞わせていただいたのが、国立の舞台に立った最初でした。
初めての国立劇場での舞台でとても緊張していた事は覚えているのですが、舞台上の記憶が全く無く……お恥ずかしい事ですが、終わった後のご飯が本当に美味しかったこと(笑)。


—「お七」は3回目と聞いています。今回心がけていることや、お客様にご覧いただきたいポイントがあれば、お教えください。

安寿子:井上流の中でも大掛かりなこの作品をさせていただける機会を頂戴し、大変嬉しく思っております。1回目は平成22年に金沢の石川県立音楽堂の公演で、2回目は平成27年に京都で自分のリサイタルで上演しました。3回目に東京、国立劇場大劇場。この大きな舞台で、本当に有難いし、凄く楽しみであると同時に緊張で震える毎日を送っています。
井上流でも大事にしている、息を「溜める、抜く」舞台をお見せ出来たらと思います。
ある意味向こう見ずで自分勝手なお七。彼女の起こす行動は、恋人吉三郎のためとはいえ、若さからの勢いと思います。感情で行動してしまう。大罪と分かっていながら、火の見櫓に登り半鐘を打つ。頭では理解してるけど、身体が先に動いてしまう、この時は、これしかない。何が何でも吉三郎の元に行くという強い意志。 お腹で息を溜める、そして抜く事で、お七の悲しみと強い意志がより鮮明に感じていただけると思います。只今、猛稽古中ですが、しっかりと勤められますよう頑張ります。
また、義太夫ですので、先走らず、自分が語っているように感情込めて舞わせていただきたいと思います。
駒之助師匠、津賀寿先生には、母の襲名の会の折より何度もお世話になっており、お七も過去 2 回ともお二人に語り、弾いていただきました。
駒之助師匠、津賀寿先生のお力を借りて、儚いようで、直向きで、芯の強いお七を演じたいと思います。



「お七」(第3回「葉々の会」、平成27(2015)年2月)
お七=井上安寿子


—劇場の思い出として1枚、写真に残すとしたらどこを撮影しますか?

安寿子:小劇場の下手舞台袖から見る、舞台の景色ですね。
劇場には「舞の会」の時に来る事が多かったので、他流儀の先生方の舞台も沢山拝見させていただきました。立方はもちろんですが、三味線や箏の先生方、囃子方の先生方の息づかいなどが感じられる場所で、お客様のお顔や反応もチラリと見えたり、客席から正面で拝見するのとは別の楽しみがあった場所です。


―ありがとうございました。


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