日本芸術文化振興会トップページ > 国立劇場 > 2022年度 > 【5月文楽】好評上演中、24日まで!(舞台写真あり)
5月文楽公演が7日(土)に初日を迎えました。
文楽屈指の大作である『義経千本桜』をはじめ、名作揃いの三部制でお送りいたします。
舞台写真とともに、みどころをご紹介いたします。
【第一部】
『義経千本桜』(よしつねせんぼんざくら)
文楽三大名作の一つとされる屈指の人気作で、源義経の流転を軸に、源平合戦にまつわる武将たちの後日譚が描かれます。
今回は、その中から義経の家臣・佐藤忠信を中心とした物語を上演します。
都から落ち延びた源義経を追ってきた静御前が同行を願いますが、義経はそれを許しません。
義経は静御前に初音の鼓を形見に渡し、「源九郎」の名を与えた佐藤忠信に静御前を託すと、旅立ってしまいます。
義経が吉野にいると聞いた静御前は大和へ向かいます。
静が憂さを晴らそうと初音の鼓を打つと、遅れていたはずの忠信が突然現れました。
二人は源平合戦に思いを馳せながら、吉野への道を進んでいきます。
太棹の魅力あふれる名曲をお楽しみください。
義経が匿われている吉野の河連法眼の館に、二人の佐藤忠信が現れます。
初音の鼓を手掛かりに、静は忠信に対して詮議を始めます。
静を助け、お供をしていた忠信の正体とは……。
満開の桜が舞い散る華やかな舞台で、親子の情愛が語られる名場面です。
【第二部】
『競伊勢物語』(はでくらべいせものがたり)
在原業平の生涯を綴ったとされる『伊勢物語』を下敷きに、帝位争いに巻き込まれる業平と井筒姫を救うために人々が苦闘を重ねる姿が描かれています。
激情に満ちた展開が、格調高い雰囲気の中で繰り広げられます。
東京では昭和62年(1987)以来、35年ぶりとなる上演です。
春日村の小よしの娘・信夫は豆四郎と祝言を挙げたばかりで仲睦まじく暮らしています。
しかし、帝位争いに巻き込まれる中で、信夫は禁断の地・玉水渕に踏み込んでしまいます。
小よしがいる春日村の家に、紀有常が訪れました。突然の公卿の来訪に小よしは驚きますが、実は昔なじみの太郎助でした。二人は、はったい茶を飲みながら昔語りをはずませます。
家に帰ってきた信夫は、禁断の渕へ入った罪が母にかかるのを恐れ、勘当を受けるためにわざと不孝な仕打ちをします。
有常は信夫の実の父であることを告白し、今は小よしの養女となっている信夫を返してほしいと頼みます。
密告を受けた代官が、信夫を捕えにやってきました。
役人に渡すよりはと、小よしは信夫を有常に返すことを承知しますが、信夫が髪や衣服を整えたところで、有常は剣を抜き……。
それぞれの登場人物の胸の内が様々に交差し、余韻の残る幕切れを迎えます。
【第三部】
『桂川連理柵』(かつらがわれんりのしがらみ)
実際の事件を題材にした、世話物の名作です。
分別がある年齢の男性と少女の恋を中心に、人々の苦悩と葛藤が描かれます。
信濃屋の一人娘・お半は、伊勢参りの帰りに隣家の帯屋の養子・長右衛門と出会い、宿屋に泊まることになりますが、丁稚の長吉にしつこく言い寄られ、長右衛門の寝床へ逃げ込みます。
この夜に起きたことが、両家の人々を巻き込んだ大騒動へと発展していくのです。
長右衛門とお半のことを知った長右衛門の妻・お絹は悲しみを抱えながらも、長右衛門を何とか守ろうと策を考えます。
しかし長右衛門の義母・おとせや、義弟・儀兵衛は何かにつけて長右衛門をおとしめようとするのでした。
盗まれた刀の行方の見当がつかない上に、お半が身重であることがわかり、疲れ果てた長右衛門は眠ってしまいました。すると、そこにお半が現れます。
追い詰められたお半と長右衛門が最後に下した決断とは……。