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【2月声明】『比叡山延暦寺の神前法要 日吉大社の山王礼拝講』
比叡山延暦寺 執行 水尾寂芳師より、公演によせてメッセージをいただきました


水尾 寂芳(比叡山延暦寺 執行)

 このたび、初代国立劇場さよなら公演という記念すべき公演に、比叡山延暦寺をお招き下さり、ありがとうございます。
 振り返りますと、私の師父は第1回声明公演より出演し、私も平成3年の第26回声明公演以来、何度かこの国立劇場公演に出演しておりますが、建て替えとなってしまうとは、大変寂しく思います。

 私ども比叡山延暦寺では年間200を超える法要を行っておりますが、今回上演する「山王礼拝講」は、比叡山麓にある日吉大社の拝殿で毎年5月26日に行う、唯一の神仏習合の法要です。今回、日吉大社様のご協力を得て、初めて公演としてご覧いただくことになりました。
 神仏分離がなされた現代では、大変珍しい法要となっていますが、元来仏教にとって神々とは、仏の教えを聞くことをお喜びになり、それによって神力と威光を増して仏法と仏教者を守護して下さる存在といえます。
 山王礼拝講は、比叡山の山の神(山王権現)に法華経の講説、論義を捧げて、神の加護に報いる法会です。もともと日吉の神は、天台宗の開祖である伝教大師最澄(でんぎょうだいしさいちょう)と深いご縁があります。両親がこの山の神に祈って授かった子供が最澄であり、生まれ育った場所から仰ぎ見るお山の神様であり、出家してこの山に籠もって修行しました。以来、日吉の神は比叡山の仏法を守護する神となり、全国に3000あるという日吉神社、山王社は天台の寺院と共に存在しています。
 伝えられる縁起に依れば、あるとき日吉の神が、比叡山の僧侶の学問修行の懈怠(けだい)を嘆き、この地から他所へ移ろうとされた為に、山麓の山林が一斉に枯れてしまいました。このことを知った山の僧侶たちは、急いで山から走り下りて日吉大社の門前で足をすすぎ、到着した者から役を定め、法華八講(ほっけはっこう)を始めたといわれます。現代においても足をすすぎ、席を定めて確認する所作が残っていますので、是非ご注目ください。
 また、八講を終えた後、拝殿から出て五伽陀(ごかだ)を唱えるのは、重ねて法華経の功徳や神徳を称えて、枯れた山林の再生を祈るためで、伽陀の終わる毎に念珠を磨(す)って山を見上げ、三礼を行います。

 今回の公演には、第1回公演に出演した僧侶の弟子である子や孫・親族が、私の他にも複数名参加しております。時の流れを感じるとともに、伝承してきた天台声明を、お客様にも是非堪能していただければ幸いに存じます。

2月声明公演は25日(土)午後2時開演!
ぜひお見逃しなく!


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