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【9月文楽】初日を迎えました!


 9月7日(土)、9月文楽公演が初日を迎えました。第一部では近松門左衛門の世話物の傑作『心中天網島』を、第二部では盲目となった平家の武将と娘の情愛が胸を打つ『嬢景清八嶋日記』と、道ならぬ恋をつらぬく若い二人と彼らを想う周囲の人々を描いた『艶容女舞衣』を上演しています。初日の舞台の様子をご紹介します。

◆◆◆

 第一部は『心中天網島』を上演。大坂・網島で実際に起こった心中事件を脚色した世話物です。
 幕開きとなる「北新地河庄の段」では、浮き立つ曽根崎新地を舞台に、遊女・小春の偽りの愛想尽かしが描かれます。


北新地河庄の段

 天満の紙屋の主人・治兵衛は、妻子ある身ながら、小春に深く馴染み、心中の約束までしています。しかし、小春が侍客に「治兵衛と心中するつもりはない」と話しているのを立ち聞き、逆上。小春に罵声を浴びせる治兵衛でしたが、彼をなだめたのは、小春の本心を質すため侍客に扮した治兵衛の兄・粉屋孫右衛門でした。
 治兵衛は兄の前で小春との別れを決意し、小春もそれを受け入れます。しかし、小春の心の奥底にはある想いが隠されていました。


北新地河庄の段

 治兵衛、孫右衛門、小春、三者三様の心の動きが、太夫と三味線、人形遣いによって鮮やかに浮かび上がります。

 治兵衛一家のドラマが展開する 「天満紙屋内の段」。
 紙屋では、うたた寝をする治兵衛とは対照的に、妻のおさんが忙しく働いています。そこに、小春が天満の客に身請けされると聞いた孫右衛門とおさんの母が、治兵衛のことかと心配して訪ねてきます。
 それを否定し、二人を安心させる治兵衛でしたが、小春が死ぬつもりだと悟ったおさんから、小春の真意を伝えられます。おさんは小春の命を助けようと、何とか金を用意して治兵衛に身請けさせようとしますが、そこに生真面目なおさんの父・五左衛門が現れ……。
 治兵衛を心配する孫右衛門や母、小春への義理を尽くそうとするおさん、娘を案じる五左衛門、それぞれの思いはすれちがい、やがて痛ましい結末へとつながっていきます。


天満紙屋内の段

 続く「大和屋の段」では、身請けが決まった小春と進退窮まった治兵衛は、心中の決意を固めます。夜も更けた遊里で、なおも弟を死なすまいと心を砕き、治兵衛を捜し歩く孫右衛門の姿が胸を打ちます。やがて、夜闇に紛れ出た小春と治兵衛は、死出の道行へと歩みを進めます。


大和屋の段

 二人が死地を探し求める「道行名残の橋づくし」。
 八百八橋と言われた大坂をさまよう二人は、やがて網島の大長寺へとたどり着きます。おさんへの義理を果たせないことを嘆く小春とそれをなだめる治兵衛でしたが、夜明けが近づき、二人はついに最期を迎えます。


道行名残の橋づくし

 哀切を含んだ三味線の音色の余韻が残る中、第一部は幕となります。

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 第二部一つ目の演目は、勇猛で知られる平家の武将・悪七兵衛景清の、源平合戦後の姿を描いた『嬢景清八嶋日記』です。五段構成の時代物で、三段目に当たる「花菱屋の段」「日向嶋の段」の上演です。

 景清の娘・糸滝の身の上が語られる「花菱屋の段」。
 幼い頃、両親と生き別れた糸滝は、養い親の遺言から、父が盲目となり日向で落ちぶれていることを知ります。父を官位に付ける金の工面のため、遊女屋の花菱屋に身を売る糸滝。その孝心に感じ入り、花菱屋の主人や、口入家業の左治太夫も、糸滝が日向へ行けるよう計らいます。ついには、普段は人使い荒く店を切り盛りする花菱屋の女房も、意外な行動に。
 人々の優しさに胸が温かくなる一場面です。


花菱屋の段

 「日向嶋の段」は、謡曲『景清』を題材としていて、冒頭は『景清』の詞章そのままに謡の節で語り出されます。また、青竹が用いられた手摺(舞台の上手から下手までを仕切る板)や、景清の特殊な首(かしら)が印象的です。
 源氏の世を受け入れられず、自ら盲目となった景清は、今は日向国で一人、旧主・平重盛の菩提を弔う日々を送っています。落ちぶれてもなお武士としての矜持を失わない景清の人物像が、重厚な語りと三味線によって描かれます。
 その景清の元を訪ねてきた糸滝。娘との思いがけない対面に、最初は名乗るのを拒む景清でしたが、やがて娘への情愛に心を動かされ、娘を強く抱きしめます。


日向嶋の段

 互いに本心を明かさず再び別れる父娘でしたが、糸滝の乗った船を見送った景清は、残された書き置きから糸滝が身を売ったことを知り、船を呼び戻そうとします。力強い人形の動きが、景清の深い悲しみを感じさせます。
 父を慕う娘と娘を想う父を描く、文楽作品でも指折りのヒューマンドラマです。


 本公演の最後を飾る『艶容女舞衣』は、大坂・千日墓所で起きた女舞芸人三勝と赤根屋(作中では「茜屋」)半七の心中事件を脚色した世話物です。
 半七の周囲の人々の苦悩が描かれる「酒屋の段」。
 人を殺めて行方知れずとなった半七の実家・茜屋に、幼子を抱いた女が訪れます。酒を買い求めたその女は、子供を置いて姿を消してしまいます。そこに実家に連れ戻されていた半七の妻のお園が、父である宗岸に連れられやってきました。半七を想って泣き暮らす娘を案じた宗岸は、お園を再度嫁にしてほしいと頼みにきたのです。しかし、茜屋の主・半兵衛は、「もう嫁ではない」と受け合いません。それぞれに半七とお園を案じる二人の父親の深い愛情が胸にしみます。
 一人になったお園は、半七は今どこで何をしているだろうかと、嘆き悲しみます。夫を一途に恋い慕うお園の切ないクドキ(旋律に乗せ心情をかき口説く箇所)が、本作一番の聞きどころです。
 その時、お園の泣き声に幼子が起きてきます。その子の顔を見たお園は、三勝と半七の娘のお通であると気付きます。お通の懐に入れられていた書き付けは、半七から両親とお園に宛てたものでした。


酒屋の段

 手紙を読んで悲しみにくれる一同と、店の外で様子を窺う三勝と半七。親不孝な身の境遇に涙を流す二人でしたが、密かに別れを告げ、その場を跡にします。
 国立劇場では44年ぶりの上演となる「道行霜夜の千日」。
 死に場所を求める三勝と半七は、千日寺(法善寺)へとたどり着きます。
 最後まで両親や子を想う二人の言葉に胸を締め付けられます。


道行霜夜の千日


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 おかげさまで初日は多くのお客様にご来場いただき、熱気冷めやらぬ中での幕となりました。
 9月文楽公演は23日(月・祝)まで。
 皆様のご来場をお待ちしております。


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