日本芸術文化振興会トップページ  > 国立劇場  > 【2月文楽】初日を迎えました!(舞台写真あり)

国立劇場

トピックス

【2月文楽】初日を迎えました!


 2月文楽公演が8日(土)に初日を迎え、竹本津駒太夫改め六代目竹本錣太夫襲名披露の公演が、東京でも幕を開けました。初日の舞台の様子をご紹介します。
◆◆◆

 第一部『菅原伝授手習鑑』は、学問の神様・菅原道真(作中では菅丞相)の伝説を題材にした人気作品で、三大名作の一つに数えられます。今回は、菅丞相が名付け親となった三つ子の一人・桜丸のドラマを中心に上演しています。
 幕開きは、三つ子である梅王丸、松王丸、桜丸の対立が描かれる「吉田社頭車曳の段」。三人の性格の違いやそれぞれの立場が示されることで、次の段の登場人物の関係性が明確になります。また、牛車から現れる藤原時平は、今回はこの場面にしか登場しませんが、圧倒的な威勢を放ち、邪悪さを印象付けます。


吉田社頭車曳の段

 続く「佐太村茶筅酒の段」より、三つ子の父・白太夫が住む佐太村(現在の大阪府守口市)へと舞台が移ります。白太夫の70歳の誕生日に、三つ子の女房たちが祝儀の準備を整えます。後の悲劇とは対照的に、舅と嫁たちとのやりとりがなごやかな場面です。

 桜丸の女房の八重を連れて白太夫が氏神詣でに出かけると、松王丸、梅王丸が順にやってきます。吉田神社での遺恨が残る二人は、顔を合わすなり喧嘩を始め、庭に植えられた菅丞相の愛樹である梅・松・桜のうち、桜の木を折ってしまいます。めでたい雰囲気から一転、不穏な空気が漂い始めます。


佐太村喧嘩の段

 梅王丸は筑紫の菅丞相のもとへ行くこと、松王丸は勘当を、それぞれ父に願い出ますが、白太夫は取りあわず、ついには二組の夫婦を追い出してしまいます。

 第一部の最後は、桜丸の悲劇的な最期が描かれる「桜丸切腹の段」。
 後に残った八重が、まだ現れない夫・桜丸を案じていると、密かに父のもとを訪れていた桜丸が奥から姿を見せます。菅丞相失脚の要因を招いたことを悔いる桜丸は、切腹の意志を固めていました。
 死を覚悟した桜丸と、すでにその決意を聞かされていた白太夫の述懐からは、いかんともしがたい宿命を受け入れざるをえない諦観が漂います。対して、夫の言葉にうろたえる八重のクドキ(旋律にのせ心情をかき口説く箇所)には、愛する夫が先立つことを知った驚きと悲しみが滲み、心を揺さぶります。


佐太村桜丸切腹の段

 父の打ち鳴らす鉦の音と念仏の声に送られ、桜丸は最期を迎えます。その死出の旅路を彩る物悲しい旋律の余韻のなか、第一部は幕となります。
◆◆◆

 第二部最初の演目は『新版歌祭文』「野崎村の段」。長閑な田舎村を舞台に、若い男女の恋模様が描かれます。
 野崎村の百姓・久作の養子・久松は、大坂の油屋へ丁稚奉公に出ていましたが、主家の娘のお染と許されぬ仲となっています。それに加え、集金した店の金を盗まれてしまい、奉公先から実家に戻されることになりました。
 野崎村に帰った久松は、久作の女房の連れ子・おみつと婚礼を上げることとなります。久松を慕うおみつは喜んで祝言の支度を始めますが、そこに久松に会いにお染が訪れます。嫉妬にかられ、お染を遠ざけようとするおみつの姿は、恋する娘のいじらしさを感じさせます。
 お染と再会した久松は、共に死ぬことを約束しますが、それを聞いていた久作が条理を説いて二人を諭します。久作の言葉についに別れを口にするお染と久松。しかし、視線を交わして互いの覚悟を確かめ合うのでした。


野崎村の段

 婚礼衣裳に着替えたおみつですが、綿帽子を取ると髪を切り、尼となっていたことが分かります。心中の意志を悟ったおみつは、二人を救おうと自ら身を引いたのです。
 段切では、三味線が奏でる明るい調子の曲調によって、大坂に戻るお染と久松を見送るおみつの切ない心情がより一層浮き彫りになります。

 続いて、襲名披露狂言の『傾城反魂香』「土佐将監閑居の段」です。
 舞台は、勅勘を受けた御用絵師・土佐将監の山科の詫び住まい。数日前から近隣の田畑に出没する虎は、絵から抜け出たものであることが分かります。将監の弟子・修理之介は筆の力でその虎を消し、土佐の苗字を許されます。


土佐将監閑居の段

 又平夫婦の登場する後半から、いよいよ錣太夫襲名披露です。由緒ある名跡が80年ぶりに復活しました。
 出語り床が廻ると、豊竹呂太夫、竹澤宗助、そして、新・錣太夫が並び、襲名披露口上が行われます。呂太夫からご挨拶の口上が述べられると、「錣太夫!」と声がかかりました。


竹本津駒太夫改め六代目竹本錣太夫襲名披露口上

 土佐将監の弟子の浮世又平は、生まれつき言葉が不自由で、今は土産物の大津絵を描いて生計を立てています。又平とその妻・おとくは、弟弟子の修理之介が“土佐”の苗字を許されたことを知り、又平にも苗字をと願い出ますが、将監はそれを許しません。絵師として身を立てることを懇願する又平の姿には、不器用ながらも一途な性格が伺えます。また、又平の思いを代弁するおとくの饒舌さは、愛嬌を含みつつも、夫への深い愛情と思いやりを感じさせます。
 望みが潰え、悲しみにくれる又平は、決死の覚悟で筆を取ります。すると、その時、ある奇跡が起き……。


土佐将監閑居の段

  絵の道の功を立てたことで苗字を許され、喜び勇む又平の大頭の舞、弟子を思う将監が起こすもう一つの奇跡と続き、めでたく打ち出しとなります。


土佐将監閑居の段


六代目竹本錣太夫

 新・錣太夫が、又平の苦悩と喜び、おとくとの夫婦の情愛、師弟の心の交流を情感たっぷりに語り終えると、客席から大きな拍手が贈られました。
◆◆◆

 第三部『傾城恋飛脚』「新口村の段」は、江戸時代・宝永期(1704~1711)に起こった公金横領事件を題材にした作品で、近松門左衛門の『冥途の飛脚』の改作です。
 遊女・梅川と深い仲になり、ついには公金に手をつけてしまった飛脚屋の養子・亀屋忠兵衛。死を覚悟しながらも、実父の孫右衛門との対面を願い、梅川と共に故郷の新口村にたどり着きます。


新口村の段

 父と息子とその恋人、互いを想う三者三様の葛藤と情愛が胸に迫る一場面です。雪景色の中、永遠に別れることとなった親子の悲哀が浮かび上がります。

 本公演最後の演目は、能や歌舞伎でも知られる、義経一行が「安宅の関」を通ろうとする場面を描いた『鳴響安宅新関』「勧進帳の段」です。弁慶は主遣いだけでなく、左遣い、足遣いも出遣いで遣われます。
 兄・源頼朝に疎まれ奥州へと逃れる義経主従。山伏に変装した一行は、加賀国安宅の関(現在の石川県小松市)で、関守の富樫之介正広に留められます。
 通行を阻む富樫に対し、弁慶が高らかに勧進帳を読み上げる場面は、本作一番の見どころです。読み上げの後も、弁慶と富樫の丁々発止の問答、富樫に見とがめられた義経への打擲、と手に汗握る場面が続きます。


勧進帳の段

 関所を通り過ぎた後半は、背景が松羽目から浜辺へと変わります。
 弁慶による勇壮な延年の舞、そして、飛び六方による豪快な引っ込みと最後まで舞台から目が離せません。


勧進帳の段

 三人遣いによる弁慶の大きくも緻密な動きは、文楽ならではのもの。また、床にずらりと並んだ太夫7人の掛け合いと7挺の太棹三味線による義太夫節が、緊迫感溢れる舞台をさらに盛り上げ、2月文楽公演の最後を華やかに飾ります。
◆◆◆

 おかげさまで初日は熱気冷めやらぬ中での幕となりました。
 新・錣太夫の門出となる『傾城反魂香』をはじめ、三大名作の一つ『菅原伝授手習鑑』、近松半二の世話物の名作『新版歌祭文』、父子の情愛と別れを描く『傾城恋飛脚』、そして、「勧進帳」を文楽ならではの迫力で楽しめる『鳴響安宅新関』。どれをとっても名場面揃いの2月文楽公演は24日(月・休)まで。
 皆様のご来場をお待ちしております。


チケット好評販売中
国立劇場チケットセンターはこちら

↓↓↓公演詳細はこちら↓↓↓


 

 

 

  • 国立劇場歌舞伎情報サイト
  • 歌舞伎・能楽・文楽鑑賞教室のご案内
  • 文化プログラム
  • バリアフリー情報
  • 会員募集中! 国立劇場友の会 あぜくら会
  • グループ・団体観劇のご案内
  • キャンパスメンバーズのご案内
  • 伝統芸能を「調べる」「見る」「学ぶ」文化デジタルライブラリー
  • 英語教材 Discover KABUKI
  • 伝統芸能に興味津々 養成事業
  • 国立劇場のマスコット くろごちゃん公式サイト
  • 観劇マナー入門 Q&A