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国立劇場

【研修生募集】[連載第2回] 研修修了者に聞く(^^) 鶴澤卯太吉

 国立劇場では、伝統芸能の伝承者を養成するため、将来舞台で活躍する志を持つ歌舞伎音楽(竹本・鳴物)及び大衆芸能(寄席囃子)の研修生を募集しています。
 研修を修了し、第一線で活躍している若手の皆さんを連載でご紹介いたします。

第2回 鶴澤卯太吉(つるさわうたきち)(平成29年3月第22期竹本研修修了)

前座時代の運命的な出会い
Q. 卯太吉さんと歌舞伎との出会いについてお話を聞かせてください。
A. 元々噺家になりたくて、三遊亭歌之介師匠のもとで16歳から4年間修業をしていました。その間に、先輩の噺家に誘われて初めて歌舞伎を観に行ったところ、ちょうど義太夫狂言が上演されていました。幕があいて、最初に聞こえたのが竹本でした。小学生の時に趣味で長唄三味線を弾いていた私は、「こんな三味線もあるのか!」とびっくりしました。芝居が始まって一番最初にお客様の注目を集めるのが竹本なのだと強く印象に残りました。

Q. 研修生になろうと思ったきっかけは何ですか?
A. その後、噺家の前座修行をやめて、数年間アルバイトをしていましたが、妻が研修生募集を目にして、私に勧めてくれました。義太夫の三味線の音や、一挺一枚(三味線1人、太夫1人)の2人だけで演奏するスタイルに惹かれ、面白そうだと思って応募してみました。それから、当時私は23歳で、応募できる最後のチャンスだったこともあり、踏ん切りがついたところもあると思います。

国立劇場と同じ敷地内にある演芸場にて

学生にもどったみたい!?
Q. 研修生になって、それまでと生活は変わりましたか?
A.はい、研修生は毎日決まった時間に出退勤しないといけないので、まるで学生に戻ったみたいでしたね。前座時代は、師匠から呼び出しがかかったらどんな時でも駆け付けなければいけませんでしたが、自分のやりたいように仕事をすることができました。

Q. 研修期間中はどんなことを学びますか?
A. 一言で言うなら、研修生の2年間は詰め込む時期ですね。開講して半年は義太夫全般について学び、適性審査後から三味線弾きとしての修行が始まります。

Q. 研修で苦労したことは何ですか?
A. 竹本未経験者でしたので、最初のうちは先生からご注意いただいたことに対してすぐに反応できませんでした。長唄とは譜面がちがいますし、音を理解するのが大変でした。三味線の弦の押さえ方ひとつで音が変わってくるんです。まあ、それが面白いところでもあるのですが。

Q. 研修期間中に印象に残ったことはありますか?
A. 2年次の最後に行われる研修修了発表会です。1年次の適性審査で演奏した「櫓のお七」と、大曲である「六段目」を披露しました。稽古は大変でしたが、修了後すぐにはやらせてもらえないような大曲を演奏することができて、嬉しかったです。

Q. 研修は厳しかったですか?
A. 厳しかったです。将来仕事にするものですから、多少の厳しさは覚悟しておかないといけないと思います。

Q. 初心者が研修生に応募しても大丈夫ですか?
A. 大丈夫です。三味線の組み立て方やバチの持ち方から、一人ずつ丁寧にご指導いただき、修了までに必要なことはできるようになります。竹本は他の芸能の分野と比べて師弟制度がないので、一人で仕事をしていきますが、修了してからすぐにでもそうできるように先生方が教えてくださいます。技術的なことだけではなく、就業して楽屋に入った時に必要となる作法や心構えのようなことも教えていただきます。右も左も分からないような状態で研修生活をスタートしても、徐々に興味がわいてくることもありますし、どんどん応募してください!

フレンドリーな先輩方に囲まれて、厳しい芸を追及
Q. 普段のお稽古は何をしていますか?
A. 次の月の役が決まると、映像を見て、音源を聞いて、本を見ながら自分で浚います。そして、上の方にお願いして稽古をつけていただきます。

Q. 職場の雰囲気はいかがですか?
A. 竹本の先輩方は皆さんフレンドリーで優しいです。厳しいところは厳しいので、メリハリがあります。

Q. プロとして舞台に出演するようになってから、思い出深い興行はありますか?
A. 2018年10月に大阪松竹座で通し狂言『雙生隅田川』を上演した時のことです。初めて東京以外の興行に出ることになり、しかも知らない曲を演奏することになったので、印象に残っています。作品中の「班女道行」は普段あまり出ることのない難しい曲ですが、好きな曲です。2017年9月の初舞台で、歌舞伎座にて演奏した『仮名手本忠臣蔵』の「八段目」も印象深いです。

Q. 東京以外で公演を行うということは、日本全国いろいろなところに行って演奏するのですか?
A, はい。歌舞伎は1か月興行なので、旅に出ると1か月はその土地にいることになります。土地の魅力を知り尽くすことができるので、旅は楽しいです!

Q. 舞台では、三味線の譜面は持ち込まず、暗譜する必要がありますか?
A. はい、暗譜です。一挺一枚の場合は、太夫さんの床本(太夫の譜面)が視界に入って、少し確認することはできますが(笑)。

Q. 卯太吉さんは前座修行をなさっていたから、覚えることに抵抗はなかったのかなと思いますが、いかがでしたか?
A. 義太夫は型がきっちりしていますし、太夫さんが隣り合わせにいる、つまり相手のある芸ですから、勝手が違いますね。

情景の分かる演奏を目指して
Q. 竹本の魅力とは何ですか?
A. 一挺一枚で演奏することです。ある意味自分を全面に出すことができます。緊張はもちろんしますよ。でも、緊張している方が舞台全体を見られていいです。それと、実力主義なところも魅力だと思います。厳しい世界ではありますが、実力があれば大御所の役者さんからお声がかかるというのは、挑戦のしがいがあります。

Q. お好きな竹本の曲は何ですか?
A. 先ほど申し上げた「班女道行」と、あと『本朝廿四孝』の「狐火」も好きです。「狐火」には、三味線の合方の聴かせどころがありますからね。

※鶴澤卯太吉の「吉」の上部は、正しくは「土」です。

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