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国立能楽堂

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【千駄ヶ谷だより】国立能楽堂7月主催公演がまもなく発売です!

 まもなく発売となる国立能楽堂7月主催公演のラインナップのご紹介です。いずれも能楽師による、プレトーク付きの国立能楽堂ショーケースやおはなし付きの親子で楽しむ狂言の会と、初めて能や狂言に触れる方にぴったりな公演を開催します。ぜひ皆さまお誘いあわせの上、国立能楽堂のへおいでください。

水掛聟

 日照り続きを心配して田の見回りにやってきた舅。案の定、田は水が枯れ、せっかく育った稲は瀕死の状態です。ところが、隣の聟の田を見ると、水がなみなみとあり、稲は生き生きとしています。舅は畔を切り、聟の田から自分の田に水を引き入れて帰っていきました。入れ替わりにやってきた聟も、同じく畔を切って自分の田に水を戻します。翌日、田んぼで鉢合わせとなったふたりは…。

 訴訟のため都に長期滞在中の夫は、筑前国芦屋の里で自分の帰りを待っている妻を気にかけて、侍女を遣わします。妻は侍女を迎え入れると、里人が打つ砧(布をやわらかくし艶を出すのに用いる木槌)の音を聞くうちに、孤独の慰めに自らも砧を打とうと思い立ちます。しんしんと冷えさびる秋の夜に、妻の心を託した砧の音が響き渡ります。そこに夫から、この年末も戻れなくなったという知らせが入り、希望を失った妻は重い病を得て息をひきとりました。
 訃報を聞き急ぎ帰郷した夫のもとに妻の亡霊が現れて、待つ日々の疑心暗鬼の辛さや恋慕の妄執を切々と訴えます。やがて亡霊は、夫の厚い弔いの功徳により成仏をはたすのでした。

魚説経

 殺生を生業とする漁師の仕事に嫌気がさし、仏門に入った出家。見物がてらに都に上ったところ、持仏堂を建てたばかりで住持(住職)をまかせる僧を探している施主と出会いました。施主は出家を持仏堂に連れて行き、さっそくお経をあげてもらうことにします。ところが、正式な修行をしていない出家は、まともな経をあげることができず…。

阿漕

 伊勢参詣に訪れた僧が、古歌に読まれた旧跡・阿漕浦にやって来ました。そこに現れた漁翁は、古来、この浦は伊勢神宮に捧げる魚を捕る聖域で、禁漁区とされていたのだと僧に教えます。さらに、かつてここで阿漕という名の漁師が密漁の罪が露見して海に沈められたという昔語りをして、実は自分はその亡霊だとほのめかし、姿を消してしまいました。
 やがて、弔う僧のもとに阿漕の亡霊が昔日の姿で現れ、密漁への執心で地獄に落ちてなお殺生をやめられない業ごうを語ると、呵責の猛火で焼かれる苦しみを訴えながら海の底へと沈んでいくのでした。

19日(水) 国立能楽堂ショーケース 午後7時開演
※ 能舞台にて午後6時30分よりプレトークを開催いたします。

 能・狂言を初めてご覧になる方にも親しみやすい作品を選んで、コンパクトに上演する入門向けの公演です。チケットご購入の方は無料で参加いただける、公演当日開演前の能舞台でのプレトークや、公演の一週間前のワークショップも開催します。

蚊相撲

 世間で相撲が流行っていると知った大名は、相撲取りを雇い入れることにします。候補者を探してくるよう命じられた太郎冠者が街道に出て張っていると、ちょうどそこに蚊の精が通りかかりました。その正体を知らない太郎冠者は、奉公したいという蚊の精を連れて帰ってしまい…。

杜若

 旅の僧が、今を盛りと杜若が群れ咲く三河国の八橋(やつはし)にやってきました。そこに、どこからともなく女が現れ、ここはかつて在原業平(ありわらのなりひら)が「かきつばた」の五文字を句の頭に置いた和歌「からころも きつつなれにし つましあれば はるばるきぬる たびをしぞおもふ」を詠んだ名所であることを教えます。僧に一夜の宿を勧めた女は、自らが杜若の精だと明かし、歌舞の菩薩の化身である在原業平の歌に詠まれたことで、草木の身ながら成仏がかなったと語ります。そうして伊勢物語の昔を懐かしみつつ優美な舞を舞い、夜明けとともに消えていくのでした。

二人大名

 誘い合わせて都へと向かう二人の大名。供の家来がいないので、通りかかった男を脅して無理やり太刀持ちをさせます。しぶしぶ大名に従っていた男ですが、持たされた太刀を武器にして反撃に! 立場が逆転した大名たちは、このピンチをどう乗り切るのでしょうか。

 ある男の庭に、奇妙なきのこが生えてきて、日を追うごとにどんどん増えていきます。困った男は山伏にきのこ退治を頼んで、やがて祈祷がはじまるのですが…。
 和泉流のタイトルでは『茸』の文字が使われます。

【文/氷川まりこ(伝統文化ジャーナリスト)】

 
●7月主催公演発売日
  • ・ 電話インターネット予約:6月10日(土)午前10時~
  • ・ 窓口販売:6月11日(日)午前10時~
  国立劇場チケットセンター(午前10時~午後6時)
  0570-07-9900/03-3230-3000(一部IP電話等)
  https://ticket.ntj.jac.go.jp/
  • ※ 7月29日(土)の親子で楽しむ狂言の会は大人1名様以上・子ども(18歳以下)1名様以上でご覧になるお客様向けの先行予約を承っております。先行予約で売り切れた場合は一般での販売はございませんので、あらかじめご了承ください。
  • ※ 7月27日(木)能楽普及イベント「せんだがや夏祭り in 国立能楽堂」は発売日が異なります。電話インターネット予約:6月18日(日)午前10時~/窓口販売:6月19日(月)午前10時~。