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【千駄ヶ谷だより】深田博治さんからコメントをいただきました![3月17日(金)定例公演]
3月17日(金)の定例公演に、狂言「孫聟」のアド(主人公の相手役)でご出演の、深田博治さん(狂言方和泉流)よりコメントをいただきました。
「孫聟」のシテ(主人公)をつとめるのは、深田さんの師匠である、人間国宝(重要無形文化財各個認定保持者)の野村万作さん。また深田さんは能楽とは無縁の家庭に育ちましたが、大学卒業後に、国立能楽堂で未来の能楽師を育成する6年間の養成研修を修了し、プロの狂言師となりました。現在は多くの舞台で活躍されています。
師匠とともに舞台に立つ思いや、研修生時代の思い出など、普段はなかなか聞けないお話をしてくださいました。
深田博治さんからのコメント
深田博治
―「孫聟」は師匠である野村万作さんとの舞台となります。師匠とのご出演には、どのような思いで臨まれていますか。
狂言の公演は、基本的には一日一回のみです。一期一会の舞台にかける万作先生の思いや気迫をひしひしと感じます。アド役として、その思いにしっかり応えられるようにと思って臨んではおりますが、まだまだ先生の要求に応えられないのが現実です。
―万作さんとのエピソードなど、研修生時代の印象的な出来事を教えてください。
私は大学時代に演劇を志し、国立能楽堂での能楽研修の選考試験は、軽い気持ちで受験しました。当然、志望動機も演劇活動の延長線のような内容だったのを思い出します。それをお読みになった万作先生が、選考員として主に質問をされました。最後に先生から「何を志望しているのかい」と問われ、反射的に「狂言です。」と言ってしまい、それから、早30年が過ぎてしまいました。
―「孫聟」への意気込みをお聞かせください。
「孫聟」は、聟入り(結婚後、初めて聟が妻の実家を訪ねること)の日が描かれます。聟を迎える舅(私が演じる役)と太郎冠者を差し置き、何かにつけてしゃしゃり出て来る少し迷惑な祖父ですが、決して舅たちは祖父を嫌っているわけではありません。みんなが祖父を敬う気持ちが、ご覧になった方へ伝わり、あたたかな舞台になるよう、包容力のある舅が出来ればと思います。頑張ります!
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今回の公演で、同時上演されます能は「盛久」です。囚われの身となった平家の武将、平盛久が登場します。護送された鎌倉で処刑の瞬間に、盛久が清水観音に向かって念仏を唱えると奇跡が起こります。果たしてどのような奇跡なのでしょうか!? 狂言「孫聟」、能「盛久」と見どころが満載です。ぜひ足をお運びください。
第12期能楽[三役]研修生募集中!
国立能楽堂では現在、能楽研修生を募集中です。募集期間は2月28日(火)まで。
応募方法等詳細は下記リンクをご覧ください。
能楽を未来へつなぐ若者を待っています。
能楽(三役) | 独立行政法人 日本芸術文化振興会 (jac.go.jp)
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1967(昭和42)年生まれ。
1994(平成6)年「魚説法」シテで初舞台。
「奈須与市語」「三番叟」「釣狐」「金岡」を披く。野村万作に師事
国立能楽堂第四期能楽研修修了
重要無形文化財保持者(総合指定) 公益社団法人能楽協会会員万作一門の研鑽会「狂言ざゞん座」同人
全国各地の狂言ワークショップで講師を勤めるほか、出身地・大分県で「狂言やっとな会」を主宰している。
◇令和5年3月17日(金)定例公演 (午後5時30分開演)
狂 言 「孫聟」
野村 万作 (和泉流) アド 深田 博治
能 「盛久」
辰巳満次郎 (宝生流)
▶公演の詳細は こちら