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国立能楽堂

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展示と公演にまつわる取材がありました!(企画展「秋の風」と9月23日企画公演《復曲の会》)


 国立能楽堂では、現在資料展示室で企画展「秋の風 能楽と日本美術」を開催しています(10月21日まで)。
 また、去る9月23日(金・祝)には企画公演《復曲の会》が開催されました。
 これらの企画展と企画公演《復曲の会》に共通したモチーフは、秋の風物詩である〈すすき〉。



鈴木其一《芒野図屏風》(千葉市美術館蔵)展示の模様


 この度、《復曲の会》で上演された復曲能「薄(すすき)」と、期間限定で展示中の「芒野図屏風(鈴木其一筆)」について取材があり、美術展ナビにて記事が掲載されましたのでお知らせいたします!

 掲載記事はこちら:
 鈴木其一の代表作《芒野図屏風》も展示(10月2日まで) 「秋の風 能楽と日本美術」国立能楽堂資料展示室で10月21日まで
 鈴木其一「芒野図屏風」と復曲能「薄」が国立能楽堂で共に
 ※美術展ナビに移動します

 二つ目の記事『鈴木其一「芒野図屏風」と復曲能「薄」が国立能楽堂で共に』では、復曲能「薄」でシテを勤められた金剛流宗家・金剛永謹氏と、「芒野図屏風」所蔵元である千葉市美術館の館長・山梨絵美子氏が、実際に「芒野図屏風」を前にしてお話しされた際の貴重な模様をお伝えしています。どうぞお読み逃しなく。

 9月23日の企画公演《復曲の会》も、秋らしいしとしととした雨模様の中、おかげをもちまして盛況のうちに終演しました。



復曲能「薄」 シテ=金剛永謹氏


 最初に上演されたのは、今回が初演の復曲狂言「空腹(そらはら)」。
 某(なにがし)に金の無心を断られた男は、かくなる上は潔く腹を切るから座敷を借りたい、と言っておどそうとしますが、某に思いのほかあっさりと「それなら座敷を貸してやろう」と言われてしまい……。なんとか切腹を逃れようと様々な言い訳を繰り出しては失敗する男(シテ=野村又三郎氏)の様子に、会場が大きな笑いに包まれました。

 つづく復曲能「薄」では、垣根にすすきの生花を結びつけた作リ物が舞台前面に置かれ、芒野図屏風さながら、一面のすすき野原の風情を醸し出しました。
 実は当日用いられた小鼓(曽和正博氏)にも、全面にすすきの蒔絵が施された胴が用いられていたそうなのですが、ご覧の皆様はお気づきになりましたでしょうか。
 一見無彩色に見えるすすき野原にも、様々な色合いが潜んでいるのだと説く薄の精(シテ=金剛永謹氏)。「花軍」と並んで金剛流の「花の能」と呼ばれる佳曲が甦りました。

◆◆◆

 企画展「秋の風 能楽と日本美術」は国立能楽堂資料展示室にて、10月21日まで開催中です。注目の「芒野図屏風」は10月2日までの展示と、展示期間が残り僅かとなっておりますので、どうかこの機会をお見逃しなく。

 展示の最終日である10月21日には、定例公演にて狂言「鶏聟」と能「浮舟 彩色」を上演いたします。
 結婚後、聟が初めて妻の実家に挨拶に行く儀式を「聟入り」と言いました。装いを改め、本来なら供も連れるなど、作法のある厳粛な儀式です。ところが作法を知らない聟。ある人の元に教えを請いに行きますが、「聟入りの時は鶏の蹴り合う真似をすると良い」ととんでもない嘘を教えられ……。
 見ている側は大嘘を真に受けてしまう聟にはらはらさせられますが、その聟を迎える舅の心遣いの温かさに胸打たれます。

 『源氏物語』宇治十帖を原作とする源氏能の佳曲・「浮舟」とともに、展示と合わせてお楽しみください。