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国立能楽堂

トピックス

【千駄ヶ谷だより】11月公演が間もなく発売開始です!

 間もなく発売開始となります、国立能楽堂11月主催公演のラインナップをご紹介いたします。秋気深まりゆく頃、皆様のご来場をお待ちしております。

9日(水) 定例公演  午後1時開演

悪太郎

 酒好きの悪太郎が、伯父の家を訪ねて酒をねだります。伯父は悪太郎の酒癖の悪さを諭しますが、「今日限り酒を断つから、最後に飲ませてくれ」という悪太郎の懇願に負け、酒を飲ませます。気分よく酔った悪太郎は、帰り道でうっかり眠ってしまいます。心配してあとをつけてきた伯父は、その姿を見てこらしめようと、悪太郎を僧形に変え、「今日からお前の名は南無阿弥陀仏だ」と告げて立ち去ります。目を覚ました悪太郎は自らの姿に驚きつつも…。

羽衣

 穏やかな波が打ち寄せる春の三保の松原。漁夫の白龍は、松の枝に掛かった美しい衣を見つけ、家に持ち帰ろうとします。すると天人が現れて、衣がなければ天に戻れないので返してほしいと頼みます。返すかわりに天人の舞が見たいと願う白龍に天人は美しい舞を見せ、数々の宝を降らせながら天へと昇って行くのでした。

12日(土) 普及公演  午後1時開演

附子

 外出する主人は、太郎冠者と次郎冠者に“附子”を預け、「これは命を落とすほど危険な猛毒だから近づいてはならない」と言い残して出かけます。ダメと言われるとよけいに気になって仕方ないふたり。恐る恐る附子の入れ物の蓋を開けてみると、中に入っていたのは…。

大江山

 酒呑童子を退治せよとの勅命を受けた源頼光の一行は、山伏に変装して酒呑童子が隠れ棲む大江山へと向かいます。都でさらわれ召使いにされている女の手引きで館に入った一行は、童形に化けた酒呑童子と対面します。もとの棲み処の比叡山を追われた哀れな境遇を打ち明けた酒呑童子に、頼光たちは同情のていを装います。心を許した酒呑童子は酒宴をひらいて一行を歓待し、上機嫌で眠ってしまいました。
 深夜、戦いの身支度を調えた頼光たちが酒呑童子の寝室に踏み込むと、そこには本性を現した巨大な鬼の姿がありました。激しい戦いの末、見事、酒呑童子の首を討ち取った頼光一行は、京の都に凱旋を遂げるのでした。

18日(金) 定例公演 午後5時30分開演 ◎演出の様々な形

樋の酒

 主人は太郎冠者に米蔵、次郎冠者に酒蔵の番を命じ、決して蔵を離れてはならないと言って出掛けます。ところが、次郎冠者はひとりで酒蔵の番をするうちに、さびしさを紛らわそうと酒を飲みはじめてしまいます。それに気づいた米蔵の太郎冠者も飲みたくなりますが、蔵を離れることを固く禁じられているので飲むことができません。すると次郎冠者が、蔵に放置されていた外れた雨樋を見つけて…。

天鼓

 中国、後漢の時代。天から降ってきた不思議な鼓をもつ少年・天鼓は、鼓を差し出せという皇帝の命に背いて、呂水に沈められてしまいます。以来、その鼓は誰が打っても鳴ることはありませんでした。そこで、天鼓の父・王伯を召し出して打たせると、鼓は聴くも妙なる音を響きわたらせました。皇帝は、王伯に恩賞を与え、天鼓の魂を弔うことを約束します。やがて管絃講(音楽を奏す法会)がはじまると、天鼓の霊が現れ、鼓との再会を喜び、弔いに感謝して舞うのでした。
 「呼出」の小書(特殊演出)により、前シテの登場の仕方が変わります。「楽器」は、中入で管絃講の演奏についての語りが加わる狂言方の小書です。

24日(木) 企画公演 午後5時30分開演 ◎聖徳太子1400年遠忌によせて

聖徳太子絵伝絵解き

 北陸の古刹・井波別院瑞泉寺で毎年七月に行われる「太子伝会」は、三百年以上の歴史をもつ伝統行事です。八幅の掛け軸に描かれた絵伝を通して聖徳太子の遺徳が語られる“絵解き説法”を、能楽堂でご披露いただきます。

夢殿

 聖徳太子ゆかりの法隆寺を訪れた旅の僧の前に、ひとりの老翁が現れます。老翁は、太子が夢で金人(きんじん)に教示を受けたという伝説が伝わる夢殿へと案内し、太子のさまざまな偉業や逸話を語って聞かせると、やがて金色の光を放ちながら夢殿の内へと消えて行きました。
 夜更けて、太子を回向する僧の前に、黒駒に乗った聖徳太子その人が姿を現し、神々しいまでの舞を舞います。やがて連なる峰々を天翔けて、空の彼方へと去って行くのでした。
 昭和十八年に、歌人で国文学者の土岐善麿と喜多流十五世宗家・喜多実によって作られた新作能です。

30日(水) 企画公演 午後1時開演 ◎聖徳太子1400年遠忌によせて

太子手鉾

 神参りに出掛けて、帰京しても出勤してこない太郎冠者。怒った主人は、罰として太郎冠者が持っていると噂に聞いた“太子手鉾”を取り上げようと決めて、太郎冠者の家へ向かいます。主人を迎えた太郎冠者は「雨漏りがひどく出られなかった」と言い訳をするので、主人は許すかわりに「太子手鉾を差し出せ」と要求するのですが…。

世阿弥自筆本による 弱法師

 讒言を信じて息子の俊徳丸を家から追放したことを悔やむ高安の長者・通俊は、天王寺で七日間の施行(施し)を行っています。その結願の今日は、春の彼岸の中日、天王寺では、落日を見つめることで西方極楽浄土を観想する行事「日想観」が催されます。にぎわう境内で、通俊は、施行を受ける人の列に変わり果てた我が子がいることに気づきます。やがて日想観の時刻となり、今は弱法師とあだ名される盲目の俊徳丸は、心眼で夕日を見つめます。瞼の裏に、かつて見た難波の海の景色を感得し、感極まる俊徳丸。やがて西海の彼方に日が沈むと、再会を果たした父と子は、夜にまぎれ、ともに高安の里へと帰っていくのでした。
 聖徳太子の誓願によって建立された、日本初の官寺・四天王寺を舞台にした作品を、世阿弥自筆本による演出で上演します。

【文/氷川まりこ(伝統文化ジャーナリスト)】

●11月公演発売開始日
  • ・電話インターネット予約:10月10日(月・祝)午前10時~
  • ・窓口販売:10月11日(火)午前10時~
 ※令和4年度よりチケット予約開始日が変更になりました。

  国立劇場チケットセンター(午前10時~午後6時)
  0570-07-9900/03-3230-3000(一部IP電話等)
  https://ticket.ntj.jac.go.jp/