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国立能楽堂

トピックス

【千駄ヶ谷だより】10月公演は本日発売開始です!

 本日発売開始となりました、国立能楽堂10月主催公演のラインナップをご紹介いたします。食欲の秋、スポーツの秋、読書の秋、と楽しみの多い季節、皆様のご来場をお待ちしております。

5日(水) 定例公演  午後1時開演

鎧腹巻

 自慢の鎧を持ち寄って優劣を競う“鎧比べ”に参加するため、主人は太郎冠者に都で鎧腹巻を買ってくるよう命じます。ところが鎧腹巻が何かを知らない太郎冠者は、すっぱ(たかり者)に騙され、“鎧腹巻について書かれた紙”を売りつけられて…。

雨月

 住吉明神の参詣に赴いた西行法師は、一夜の宿を借りようと社殿の近くにある庵を訪ねます。そこに暮らす年老いた夫婦は、秋の風趣を愛で、翁は「雨音を聴きたいから屋根を葺こう」と言い、嫗は「月の光を眺めたいから屋根は葺かずにおこう」と言って、互いに譲らず、半分だけ屋根を葺いた庵で暮らしていました。庵に招き入れられた西行は、老夫婦と共に秋の夜の風情を静かに味わいますが、気がつくとふたりの姿は消えていました。
 神託により、実は老人は住吉明神の化身であることが明かされると、やがて神職に憑依した住吉明神が西行の前に現れ、和歌の徳を称えて舞うのでした。

8日(土) 普及公演  午後1時開演

狐塚

 夜な夜な狐が出て人を化かすと噂の狐塚で、鳥追いの番を命じられた太郎冠者と次郎冠者。昼は陽気に鳴子を鳴らして鳥を追い払っていたふたりですが、日が暮れるにつれて、だんだんと心細くなってきます。夜になり、差し入れの酒をもって主人がやってくると、てっきり狐が主人に化けているのだと思い込み…。

花筐

 越前国で暮らしていた男大迹皇子(おおあとべのみこ)は、突然に降ってわいた皇位継承のため、大和へと旅立ちました。長く親しんだ照日前(てるひのまえ)は、皇子から託された手紙と形見の花かご(花筐)を受け取って、晴れの出来事を喜びつつも別れを悲しみます。
 都で即位した皇子は継体天皇となり、今日は、臣下とともに御遊に赴くところです。そこに、恋慕を募らせて物狂いの体となった照日前が現れます。古代中国の武帝と李夫人の逸話に託して切々と思いを訴えて舞う照日の前。彼女が手にしていた花かごに目をとめた継体天皇は、彼女がかつての恋人であると気づき、ふたたび宮廷に召すことを告げて、共に都へと帰って行くのでした。

14日(金) 外国人のための能楽鑑賞教室  午後5時30分開演

 6カ国語(日本語、英語、中国語、韓国語、スペイン語、フランス語)の字幕付きで上演します。

墨塗

 長らく都に滞在していた大名が国元に帰ることになり、暇乞いのため都の女の家を訪れます。別れを告げられた女は泣き出し、大名ももらい泣きに。ところが、大名の従者の太郎冠者がふと見ると、なんと女は脇においた水を目につけて泣きまねをしているではありませんか! その事実をなんとか大名に知らせようと、太郎冠者は…。

鍾馗

 中国・終南山(しゅうなんざん)の麓。皇帝に謁見するため都へ上ろうとしている旅人。そこに異形の男が現れ、「自分はその昔、国家試験に落第し、絶望し自ら命を絶った鍾馗の霊だ」と明かして、今は悪鬼を滅ぼす守護神となったとことを皇帝に伝えてほしいと頼み、消え去ります。
 やがて旅人の前に、道教の神となった鍾馗が現れ、治まる御代を祝福するのでした。

21日(金) 定例公演 午後5時30分開演

鶏聟

 男のもとに、聟入りの作法を教わりたいとやってきた若者。男は、この聟をちょっとからかってやろうと思い、当世風の聟入りでは、鶏の鳴き方や、蹴り合うさまを真似るのが作法だと、嘘を教えます。真に受けた聟は、舅のもとに行き、いきなり鶏の真似をはじめ…。

浮舟

 長谷寺参詣を遂げ、京へと向かう旅の僧。途中、宇治の里で、小舟に乗った一人の女が現れ、ここは『源氏物語』に描かれた浮舟ゆかりの地だと言います。そして、川に身を投げた浮舟について語った後、「実は自分はこの土地ではなく、比叡山の麓の小野の里に住む者。そこであなたのおいでをお待ちしています」と告げて、消えてしまいました。
 僧は、女が浮舟の亡霊であろうと察し、小野の里を訪ねて弔います。すると、浮舟の亡霊が現れて、状況に身をまかせるしかなかった自身の苦しみや、小野の里に流れ着いて命を拾われた過去を語ります。そうして僧の弔いに感謝して、夜明けとともに消えてゆくのでした。

29日(土) 特別公演 午後1時開演

野宮

 秋深まる九月七日、夕暮れ時の嵯峨野。斎宮となる皇女が精進潔斎のためにこもった仮宮(野宮)の旧跡を、旅の僧が訪れます。そこに里の女が現れて、昔日、光源氏がここに六条御息所を訪ねてきたことを語り、今日がその日だと言います。そうして、実は自身が御息所の亡霊だと明かし消えていきます。
 夜が更け、弔う僧の前に、牛車に乗った御息所の亡霊が現れます。そうして、賀茂祭の車争いで負った心の傷を抱えながら懐旧の舞を舞い、やがてまた車に乗り、闇の向こうへと去っていくのでした。

謀生種

 法螺が上手な伯父にたびたび騙されている甥は、今日こそは逆に騙してやろうと、伯父の家を訪ねます。富士山に紙袋を着せたとか、琵琶湖を茶碗にして茶を飲んだとか、互いに大袈裟な法螺を吹き合った後、降参した甥が、上手な法螺を吹く秘訣を尋ねると、伯父は「謀生種という“嘘の種”があるので、おまえにも一粒やろう」と言い出して…。

飛雲

 熊野から羽黒山へと向かう山伏の一行。木曽路へとさしかかり、錦秋の紅葉を眺めていると、薪を背負った老翁が現れて、心打ち解けたひとときを共に過ごします。
 その夜、山伏の夢に熊野権現の末社の神が現れて「先ほどの老翁は鬼の化身で、あなた方の命を取るつもりだ」と告げます。山伏が目を覚まして祈祷をはじめると、鬼神が現れ襲いかかってきます。しかし、山伏達の法力に力を奪われ、退散してゆくのでした。

【文/氷川まりこ(伝統文化ジャーナリスト)】

●10月公演発売開始日
  • ・電話インターネット予約:9月10日(土)午前10時~
  • ・窓口販売:9月11日(日)午前10時~
 ※令和4年度よりチケット予約開始日が変更になりました。

  国立劇場チケットセンター(午前10時~午後6時)
  0570-07-9900/03-3230-3000(一部IP電話等)
  https://ticket.ntj.jac.go.jp/