国立能楽堂

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【千駄ヶ谷だより】「月刊国立能楽堂7・8月号」 特集ページのご案内:佐藤友彦さんにお話を伺いました(この人に聞く―語り継ぐ能楽の世界―)

 



佐藤友彦氏(狂言方和泉流)

 

 国立能楽堂公演プログラム「月刊国立能楽堂7・8月号」(税込590円)では、特集【この人に聞く―語り継ぐ能楽の世界―】第四回と題して、狂言方和泉流の佐藤友彦さんにお話を伺いました。


 ご自身について、各家の演出や演技の違い、そして小道具や狂言面のことなど盛りだくさんの内容を語っていただきました。
 聞き手は能狂言研究家の小田幸子さん。実際の小道具や面を近くで拝見し、貴重な道具に時折歓声を上げつつ、終始和やかにお話が進みました。

 以下、一部をご紹介します!


 

(本誌より抜粋;本文には多少の異同がございます)


小田幸子氏

 うちの父は割と温厚だったのですが、友人はみんな「友(友彦さんの愛称)の親父は恐ろしい人だ」と思っていたようです。僕がいつもピリピリしながら稽古の時間を気にしていたから。家に来ても呼び鈴を絶対鳴らさず、外で寮歌を歌うんです。そうすると僕が出ていく。そんな高校時代でした。
  ~略~
 (大学では)当初は仏文を専攻するつもりでしたが、一般教養時代に松村博司先生という、『栄花物語』を研究していた先生に呼び出しをうけまして、お前みたいな恵まれた環境にあるやつが国文やらんでどうするって。それで国文学を専攻することになったんです。それまでは教えてもらうだけだった狂言を、初めて自分で考えるようになってから面白くなりましたね。

◆◆◆


 ―(ご自身の所属される狂言共同社について)演技や演出の特色について教えてください。
 基本的な部分で、構える時に三宅派では通常手を軽く握った形で構えますが、私たちは手を開いて構えます。太郎冠者を呼び出す主人の名乗りは、大名と同じく必ず正先(能舞台正面の前方中央)となります。これらは(野村)又三郎家と同じです。名乗りの時は必ず右足が半歩出た形で止まり、右、左と足を引きます。「名乗り足」といって、厳しく言われたものです。三宅派では両足揃えて止まり、左、右と引きますね。和泉流の中では三宅派独自の演出が多いと言うべきかもしれません。個々の曲での演出の違いはたくさんあります。
  ~略~

 ―「樋の酒」も家による差がありますね。
 「樋の酒」は、うちは大蔵流と同じく正先で樋を渡します。三宅派の橋掛リで欄干越しに樋を渡す演出、あれはよいなと思います。ただ我々は歌ったり舞ったりする時間が結構長いんです。あまり長いこと橋掛リでやりとりするわけにはいかないのですが、何か工夫できたらいいなあとは思いますね。けれど一方で、台本にきちんと書かれているから、それはそれで残していかなくてはなりませんね。
  ~略~
 ―狂言というのはずっと変わらずこの形だったんだと固定観念で思い込んでいても、実はそうではなくて、色々工夫されていく余地があるのではないか、そう再発見していくのが面白いですね。 ~略~ 狂言の見立といえば、「昆布売」の昆布に烏帽子を使うなど、気が利いていますね。
 羽箒を雁に見立てる「雁礫」とかね。僕が好きなのは「牛馬」の牛と馬ですね。白垂れと黒垂れの。あれはとてもうまい。狂言らしくていいなと思います。これを牛・馬に見せていくという演技。狂言の小道具の最たるものじゃないかと僕は思います。 ~略~ 舞台・演技の中で観客の目にどう見えていくのかを、演者は常に意識しなくてはならないんです。道具の使い方も演技と心がけによると思います。

 


 

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 電話注文    :国立能楽堂営業課 03-3423-1331(代)
 インターネット注文:国立劇場売店の文化堂(外部のサイトへ移動します)

 

◇佐藤友彦さんは令和3年10月30日(土)国立能楽堂特別公演の狂言「飛越」にご出演予定です。
 こちらもどうぞお楽しみに!
 10月30日(土)特別公演の詳細はこちら