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【千駄ヶ谷だより】能「代主」国立能楽堂主催公演に初登場!(12月1日(水)定例公演)
12月1日(水)の定例公演では、上演が非常に稀な作品をご覧にいれます。国立能楽堂主催公演での上演が平成24年3月の定例公演以来2回目となる狂言「樽聟」、そして能「代主」はなんと初めての上演となります。この機会を是非お見逃しなく。
聟入りの失敗談や笑い話を描く狂言の中で、とびきりの稀曲「樽聟」
今日は聟入りの日。聟(高野和憲)は酒樽を持つ供を借りに何某(野村萬斎)を訪ねますが、あいにくと家来が出払っており、何某が自ら酒樽を担ぐことに。舅(石田幸雄)を訪ねた聟と何某を、舅宅の太郎冠者(中村修一)が取り違えて……。
という聟入りにまつわる失敗を描いた狂言です。聟入りとは結婚後しばらくして、はじめて夫が妻の実家を訪ね、妻の親兄弟と杯を交わす儀礼のこと。聟入りを扱った狂言が他にも「二人袴」や「舟渡聟」など数多くあることから、それだけ身近な風習であったことがわかります。笑ってお楽しみください。
国立能楽堂主催公演で初上演、能「代主」とは?
代主 事代主神=井上裕久
大和葛城山の賀茂明神を参詣した、都の賀茂明神の神職(原大)に、辺りを掃き清める老人(前シテ・井上裕久)が社の謂れを語り、自分こそ祭神の事代主神であると告げて去って行きます。再び現れた事代主神(後シテ・井上裕久)は颯爽と舞い、泰平の世を寿ぐのでした。
京都の賀茂別雷神社(上賀茂神社)と賀茂御祖神社(下鴨神社)の由緒を描いた能に「賀茂/加茂」がありますが、本曲の舞台は奈良に鎮座し、同様にカモの名を冠した神社です。高鴨神社(上鴨社)、葛木御歳神社(中鴨社)、鴨都波神社(下鴨社)の三社がありますが、事代主神を祭神としているのは鴨都波神社だそうです。記紀によると事代主神は大国主神の子で、高天原の使者に対して父に代わって国譲りの誓約をしたとされていますが、より身近な例だと七福神の恵比寿がこの事代主神であるとする説があります。
はるかな神話の時代にも思いを馳せながら、ご堪能ください。