国立能楽堂

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【千駄ヶ谷だより】子方(子役)が活躍する能「初雪」(11月13日(土)普及公演)

 令和3年11月13日(土)の国立能楽堂普及公演では、小林健二(国文学研究資料館名誉教授)による解説・能楽あんない "能「初雪」に見る金春禅鳳の作風" に続いて、主人に謡を命じられた太郎冠者(召使)が謡わずに済ませようと画策する姿が面白い狂言「寝音曲」(シテ:井上松次郎)と、出雲大社の神主の姫君と愛育する鶏を描いた能「初雪」(シテ:金春安明)を上演します。

 能「初雪」は上演の機会が少ない珍しい曲ではありますが、本公演では解説を通してどなたにもお楽しみいただけます。令和元年10月12日(土)普及公演は今回と同一演目・ほぼ同じ出演者が計画されていましたが、令和元年台風19号の影響で公演を中止いたしました。今回は2年越しで、満を持して上演いたします。ご期待ください。

能「初雪」の見どころ

 本曲の大まかなあらすじは、出雲大社の神主の姫君が愛育する真っ白い鶏「初雪」が亡くなってしまい、弔いを行っていると、初雪の霊魂が飛来し、歓喜の舞を見せて去って行く、というものです。

 能の演出は時代とともに変化するもので、現在はシテ(主演)が前場(前半)では姫君を、後場(後半)では鳥の精を演じる形が、常の演出とされています。しかし今回は「古式」という小書(特殊演出)で古い時代の演出に立ち返り、後場もシテは姫君として舞台上に残り、鳥の精役は子方(子役)が可憐に勤めます。

 本曲は金春流にのみ伝わる演目で、作者は流儀の中興の祖である金春禅鳳(1454年~1532年?)です。他にも「嵐山」「一角仙人」「生田敦盛」といった子方が活躍する能を仕立てており、これらは自身の愛孫を出演させることを企図したものだったそう。本公演ではシテの姫君役を、前宗家(家元)であるシテ方金春流80世宗家の金春安明が、子方の鳥の精役を、孫娘の金春初音(81世宗家金春憲和の長女)が勤めますので、まさに禅鳳の作意に沿った配役です。是非、子方の活躍にもご注目ください。

国立能楽堂11月普及公演のご案内

【日 時】
  令和3年11月13日(土)午後1時開演
【演 目】
  解説・能楽あんない 能「初雪」に見る金春禅鳳の作風 小林健二
  狂言「寝音曲」 井上松次郎(和泉流)
  能 「初 雪」 金春 安明(金春流)

◆国立能楽堂では、引き続き新型コロナウイルス感染症拡大予防の取り組みを講じたうえで、皆様のご来場をお待ちしております。 (ご来場のお客様へのお願い)